マルクス・アントニウス・パッラス
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マルクス・アントニウス・パッラス（Marcus Antonius Pallas、紀元後1年-紀元後63年）はローマ皇帝クラウディウスに使えた解放奴隷。クラウディウス帝の在位に帝国業務と取り仕切る、いわば官僚としての役割を担った。
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[編集] 生涯
[編集] 奴隷時代
もともと彼は小アントニア（マルクス・アントニウスとアウグストゥスの姉オクタヴィアの娘）の奴隷であった。フラウィウス・ヨセフスによるとティベリウス帝にセイヤヌスがドルースス（ティベリウス帝の弟「大ドルースス」）の殺害したと証言した奴隷というのは彼の事であったと言う。パッラスが31から37歳の時に解放され、以後彼女の名を氏族名（ノーメン）として名乗る事となった。そして長年の奉仕に報いられて帝室の領地だったエジプト領の不動産を所有するようになる。アントニアが37年に死ぬとローマの伝統に従って息子クラウディウス−後のローマ皇帝クラウディウス−とクリエンテス関係を引き継いだ。
[編集] ローマ帝国の官僚へ
その後、パッラスは解放奴隷としては異例の地位まで上り詰める事となる。
当時ローマ皇帝の業務はもはや一人の人間では背負えないほどの膨大になっており、思い掛けない形で帝位に上がる事となったクラウディウス帝はローマのエリートたる元老院 (ローマ)議員と連帯関係をうまくおさめる事ができなかった。またローマの上流階級としてのキャリアをまともに積んではいない彼には膨大な帝国統治の業務をこなすには解放奴隷である彼を頼るしか手はなかった。こうしてパッラスはクラウディウス帝に重用され−大プリニウスによれば−それにより彼は膨大な財産を築いたと言う。しかしながらこれは彼本来の才によるものであり、後世の歴史家も認めているように、帝国の金庫からの横領によるものではなかった。
[編集] アグリッピーナ擁護
皇妃メッサリナが死を賜った後、クラウディウス帝の新しい皇妃としてパッラスは小アグリッピーナを擁立する。タキトゥスによればローマ皇帝の血統であるユリウスとクラウディウスの血統を再び融合させるのが理由だったらしい。他のローマ時代の歴史家はアグリッピーナと愛人関係にあったから彼女を擁立したと言っているが、この説は現在の歴史家たちには否定されている。彼等の関係はあくまでも政治的なつながりであったという説が現在では主流である。
[編集] そして没落
クラウディウス帝が没し、ネロが帝位に就くとパッラスは以前のように国庫管理の役に留任する。一説によれば、身の保身のために彼はアグリッピーナによるクラウディウス帝の暗殺に加担したと言われている。しかしながら彼の保身は長く続かず、ネロ帝により自分の帝位を脅かし、ファウストゥス・スッラ（前帝の娘クラウディア・アントニアの夫）の擁立を企てたと告発される。この時ネロ帝と親しかったセネカが弁護に立ち、なんとか罪は免れる事ができた。しかしながらネロの勘気は解けず、63年に死罪となった。
クラウディウス帝からクリエンテス関係を引き継いだネロ帝が彼の膨大な財産を欲したからと言われている。
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