メン・イン・ブラック (映画)
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『メン・イン・ブラック』(Men in Black)は1997年にアメリカで製作公開されたSFアクション・コメディ映画。
2002年には続編『メン・イン・ブラック2』が公開された。
映画の主題となった都市伝説のメン・イン・ブラックについては"メン・イン・ブラック"を参照。
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[編集] あらすじ
ニューヨーク市警の警官ジェームズ(ウィル・スミス)は、自分が追跡していた犯人が人間でない事を知るが、警察署に現れた黒服の男“K”(トミー・リー・ジョーンズ)によってその記憶を消されてしまう。“K”は、地球を訪れる、あるいは地球で平穏に生活している異星人の監視を行う秘密組織MIB(メン・イン・ブラック)の一員で、ジェームズを組織にスカウトする。指紋に至るまで一切の過去を抹消したジェームズは、MIBのエージェント“J”として生まれ変わり、“K”とコンビを組む事になった。“K”と“J”は、監視活動の中で地球に滞在する異星人の王族が所持する秘宝の異星人間の争奪戦に遭遇し、地球を巻き添えにした宇宙戦争の勃発を防ぐために奔走する。
[編集] メガヒット娯楽作
アメリカでUFOがらみの都市伝説として知られ、UFOや宇宙人の目撃者、遭遇者のもとに出現して脅迫的な圧力をかけるとされる黒づくめの衣装の男たち、「メン・イン・ブラック」を主題とし、エルヴィス・プレスリー生存説などのアメリカでよく知られたいくつかの都市伝説を宇宙人がらみの事実だったという設定でパロディー化して配した喜劇である。全米のみでも2億5千万ドルを稼ぎ出し(全米歴代興行収入37位=2007年3月現在)、公開当時不振にあえいでいたソニー・ピクチャーズの懐を大いに潤した。
同年公開のアメリカ映画、『陰謀のセオリー』が、同様に都市伝説的な陰謀論が実は真実であったという設定で製作されているが、同作品があくまでも深刻なサスペンス映画として作られているのに対し、『メン・イン・ブラック』は、あくまでも都市伝説をパロディー化してこっけいな荒唐無稽さをアクション・シーンとともに楽しむ愉快な娯楽映画として仕上げている。
[編集] 『ミクロコスモス』との相関
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
映画全体の構成は前年の1996年に公開され、昆虫の世界を描いたフランスの芸術映画『ミクロコスモス』のパロディーとなっており、ミクロコスモスとマクロコスモスの対比関係が繰り返し表現される。
プロローグは闇夜を飛び獲物の小昆虫を追うトンボの視点、つまり昆虫の世界というミクロコスモスから描写し始め、このトンボが走行する自動車のフロントガラスに衝突してつぶれるところから昆虫の世界より相対的に巨大な人間界の世界、つまりマクロコスモスの中で展開される本編に移行する。
本編では異星人の王族が所持し、異星人間の争奪戦の対象となっている秘宝がひとつの宇宙を封じた小球である様が描写され、「秘宝内部の宇宙=ミクロコスモス」対「我々の世界=マクロコスモス」という対比関係が提示される。敵役のゴキブリに強いシンパシーを持つ異星人との対決のクライマックスでは、人間の皮をかぶって変装していた異星人が巨大な節足動物様の本体を露呈する描写が、『ミクロコスモス』のクライマックスで、カが蛹の殻の中から高く伸び上がって黄金色の光沢を放ちながら羽化する神々しい映像の、グロテスクなパロディーとなっており、圧縮されていた異星人の体が高く伸び上がるように出現する。
事件がすべて解決し、映画の世界が平穏な日常を回復したところから唐突なエピローグが提示される。我々の地球の属する宇宙が画面の中でどんどんズームアウトし、それが映画本編で争奪戦が繰り広げられた秘宝と同様な、小球に封じ込められた小宇宙(ミクロコスモス)に過ぎないことを暴露する。そして同様の無数の小球をもてあそぶ、マクロコスモスに住まう異相の異星人の姿に画面がズームインして映画が終了する。マクロコスモスとミクロコスモスは、エドモンド・ハミルトンの『フェッセンデンの宇宙』にも登場する思想(我々の住むこの宇宙が、別の高度な知性を持つ何者かの手による物でないという保証はない)である。
[編集] スタッフ
- 監督:バリー・ソネンフェルド
- 製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ
- 音楽:ダニー・エルフマン
- 特殊メイク:リック・ベイカー
[編集] キャスト
- トミー・リー・ジョーンズ (エージェント・K)
- ウィル・スミス(エージェント・J)
- リンダ・フィオレンティーノ
- トニー・シャルーブ
- ヴィンセント・ドノフリオ
- リップ・トーン
[編集] こぼれ話
- 公開直後に発売されたメルセデス・ベンツ Eクラスが主役の愛車として登場し、映画を使った新発売プロモーションとして注目された。
- 当初、エージェントK役にはクリント・イーストウッドが候補に挙がっていた。
- ウィル・スミスに決まる前デヴィッド・シュワイマーやクリス・オドネルが、J役に打診されていた。
- 最初、監督にはクエンティン・タランティーノが打診されていた。
- 劇中に地球に潜伏する有名人を装った宇宙人として、スティーブン・スピルバーグ、ダニー・デヴィート、監督のバリー・ソネンフェルド、シルヴェスター・スタローン、エルヴィス・プレスリー、デニス・ロッドマンらが挙げられている。
[編集] 関連項目
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