スティーヴン・スピルバーグ
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スティーヴン・アラン・スピルバーグ KBE(Steven Allan Spielberg KBE, 1946年12月18日 - ) は、アメリカの映画監督、映画プロデューサー。米国フォーブス誌によると2006年の彼の年収は約350億円で米国有名人(俳優・映画監督・スポーツ選手・ミュージシャンなど)で総合1位。
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[編集] 概要
ロシア系ユダヤ移民の3代目。Spielbergというドイツ語の苗字は直訳すると「芝居山」という意味で、祖先が17世紀に居住していたオーストリアの町の名前に由来する。英語訳では「Playmount」となり、彼が若い頃の映画製作の社名にしていた。
オハイオ州に生まれ、アリゾナ州に育つ。古い資料では1947年生まれとなっているが、これはスピルバーグが長年1947年生まれと偽ってきたためで、1946年生まれが正しい。

映画監督としては、世界最高のヒットメーカーの一人として挙げられる。凄まじいほどの早撮りで、3時間近くある自身渾身の大作『プライベート・ライアン』はわずか3ヶ月で撮影を終えたという。また、このために多作である。製作費を安く抑えることでも知られ、製作費が1億ドルを越えたのは『マイノリティ・リポート』と『宇宙戦争』だけである。このことに関しては、ルーカスの助言が影響している[1]。
映画プロデューサーとしても手腕を発揮しており『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ、『メン・イン・ブラック』などのヒット作、話題作の制作を手がけている。
現在の妻は女優のケイト・キャプショー。同業のジョージ・ルーカスは友人であり、『インディ・ジョーンズ』シリーズを一緒に製作しているほか、『スター・ウォーズ』でも一部を手伝ったことがある。
また、日本漫画のファンであり、自身の作品にもその影響が見られる。
ソルトレークシティオリンピックの開会式では、オリンピック旗を掲揚する際の旗手を務めた。
[編集] 来歴
幼い頃から8ミリカメラで自主的に映画を製作する。スタンリー・キューブリック、デヴィッド・リーン、黒澤明、アルフレッド・ヒッチコック、『ゴジラ』など様々な映画の影響をうけるが、特にディズニー映画は初期の彼の作品にさまざまな影響を与えている。
1972年に、テレビ映画として撮った『激突!』が評判を呼び、海外では劇場公開され、スピルバーグの名前が世界に知られるようになる。1974年に『続・激突! カージャック』で、劇場用映画監督に進出。
初期の頃は、娯楽映画をつくることで評価を得ていたが、やがて上記のように様々なジャンルの映画を手がけるようになる。ヒット作に『ジョーズ』、『未知との遭遇』、『インディ・ジョーンズ』シリーズ、『E.T.』、『ジュラシック・パーク』、『シンドラーのリスト』など多数。
映画学科が充実していることで知られる南カリフォルニア大学への入学を希望したが、3度にわたり入学を断られたため、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校にて映画を専攻したものの中退し、後に再度入学し卒業した。後に、南カリフォルニア大学の名誉教授に就任する。
1993年のアカデミー賞では、『シンドラーのリスト』で作品賞、監督賞を受賞する。スピルバーグは、この作品の製作に意欲的で報酬を断っている。
1994年にドリームワークスを設立。1998年に『プライベート・ライアン』で、2度目のアカデミー監督賞を受賞する。2001年に英国王室より、ナイト爵を授与された。
『宇宙戦争』のオリジナルCMを日本限定で公開するなど、親日家でも有名。
欧米(とくにハリウッド)で和牛の普及におおいに貢献する。彼があまりに神戸ビーフを連呼したがために、和牛=神戸ビーフと呼ばれるようになってしまったという逸話がある。
[編集] フィルモグラフィー
[編集] 主な監督作品
- 『刑事コロンボ/構想の死角』(Columbo: Murder by the Book, 1971年) (テレビ映画)
- 『激突!』(Duel, 1971年) (テレビ映画)
- 『続・激突! カージャック』(The Sugarland Express, 1974年)
- 『ジョーズ』(Jaws, 1975年)
- 『未知との遭遇』(Close Encounters of the Third Kind, 1977年)
- 『1941』(1941, 1979年)
- 『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(Raiders of the Lost Ark, 1981年)
- 『E.T.』(E.T. the Extra-Terrestrial, 1982年)
- 『トワイライト・ゾーン 超次元の体験』 (Twilight Zone: The Movie, 1983年) (監督4名によるオムニバス作品の第2話)
- 『プロローグ 本当に怖いもの』ジョン・ランディス監督作品
- 『第1話 偏見の恐怖』ジョン・ランディス監督作品
- 『第2話 真夜中の遊戯』スティーブン・スピルバーグ監督作品
- 『第3話 こどもの世界』ジョー・ダンテ監督作品
- 『第4話 2万フィートの戦慄』ジョージ・ミラー監督作品
- 『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(Indiana Jones and the Temple of Doom, 1984年)
- 『世にも不思議なアメージング・ストーリー』(Amazing Stories, 1985年)
- 『最後のミッション』 出演:ケヴィン・コスナー/キーファー・サザーランド
- 『ゴースト・トレイン』 出演:ドリュー・バリモア/ルーカス・ハース
- 『カラー・パープル』(The Color Purple, 1985年)
- 『太陽の帝国』(Empire of the Sun, 1987年)
- 『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』 (Indiana Jones and the Last Crusade, 1989年)
- 『オールウェイズ』(Always, 1989年)
- 『フック』(Hook, 1991年)
- 『ジュラシック・パーク』(Jurassic Park, 1993年)
- 『シンドラーのリスト』(Schindler's List, 1993年)
- 『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』 (The Lost World: Jurassic Park, 1997年)
- 『アミスタッド』(Amistad, 1997年)
- 『プライベート・ライアン』(Saving Private Ryan, 1998年)
- 『A.I.』(Artificial Intelligence: AI, 2001年)
- 『マイノリティ・リポート』 (Minority Report, 2002年)
- 『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(Catch Me If You Can, 2002年)
- 『ターミナル』(The Terminal, 2004年)
- 『宇宙戦争』(War of the Worlds, 2005年) (H・G・ウェルズ原作『宇宙戦争』の再映画化)
- 『ミュンヘン』(Munich, 2005年)
[編集] 公開予定の監督作品
- インディ・ジョーンズ4Indiana Jones 4 (2008年)
- スピルバーグ未タイトル作/エイブラハム・リンカーン計画Untitled Steven Spielberg/Abraham Lincoln Project (未定)
[編集] 主な製作作品
- 『グレムリン』(Gremlins, 1984年)
- 『世にも不思議なアメージング・ストーリー』(Amazing Stories, 1985年)
- 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(Back to the Future, 1985年)
- 『インナー・スペース』(Innner Space,1987年)
- 『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(Back to the Future Part II, 1989年)
- 『ロジャー・ラビット』(Who Framed Roger Rabbit,1988年)
- 『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(Back to the Future Part III, 1990年)
- 『グレムリン2 新・種・誕・生』(Gremlins 2: The New Batch, 1990年)
- 『タイニー・トゥーンズ』(Tiny Toon Adventures, 1990年-1992年, 1994年, 1995年)(テレビアニメ)
- 『アニマニアックス』(Animaniacs, 1993年-1999年) (テレビアニメ)
- 『キャスパー』 (Casper, 1995年)
- 『ピンキーとブレイン』 Pinky and the Brain, 1995年-1999年) (テレビアニメ)
- 『メン・イン・ブラック』(Men in Black, 1997)
- 『ツイスター』(Twister,1996)
- 『スモール・ソルジャーズ』 (Small Soldiers, 1998)
- 『ディープ・インパクト』(Deep Impact, 1998)
- 『マスク・オブ・ゾロ』(The Mask of Zorro, 1998)
- 『チキンラン』(Chicken Run, 2000)
- 『バンド・オブ・ブラザース』(Band of Brothers, 2001)(テレビドラマ)
- 『メン・イン・ブラック2』(Men in Black II, 2002)
- 『TAKEN』(Taken, 2002)(テレビドラマ)
- 『レジェンド・オブ・ゾロ』(The Legend of Zorro, 2005)
- 『SAYURI』(Memoirs of a Geisha, 2005)
- 『父親たちの星条旗』(Flags of Our Fathers, 2006)
- 『硫黄島からの手紙』(Red Sun, Black Sand, 2006)
- トランスフォーマー(Transformers,2007)
[編集] 関連文献
- 猪狩哲郎著『スピルバーグ ハリウッド魔宮の伝説』竹書房、1986年5月、ISBN 4884750179
- フランク・サネッロ著、中俣真知子訳 『はじめて書かれたスピルバーグの秘密』 学習研究社、1996年11月、ISBN 4-05-400714-7
- 原著: Frank Sanello, Spielberg: the Man, the Movies, the Mythology, Taylor Publishing Co., Mar 1996, ISBN 0878339116, Sep 2002, ISBN 0878331484
- ジョン・バクスター著、野中邦子訳 『地球に落ちてきた男 スティーブン・スピルバーグ伝』 角川書店、1998年1月、ISBN 4-04-791289-1
- 原著: John Baxter, Steven Spielberg: The Unauthorized Biography, HarperCollins, May 1997, ISBN 0002555875, Trafalgar Square, Feb 1998
- 橋本勝著『スピルバーグ』(『For beginnersシリーズ』88)、現代書館、2000年2月、ISBN 4768400884
- 年譜あり
- 筈見有弘著『スピルバーグ』(講談社現代新書)、講談社、1987年11月、ISBN 4-06-148875-9
- スピルバーグ関係ブックガイド・フィルモグラフィ: p202~208
- ダグラス・ブロード著、栗山微笑子訳『スティーブン・スピルバーグ シネマの天才』(『シネマ・スター・ライブラリー』)、シンコー・ミュージック、1995年11月、ISBN 4401615271
- 原著: Douglas Brode, The films of Steven Spielberg, Citadel Trade, Jan 1995, ISBN 0806515406, Oct 2000, ISBN 0806519517
- アンドリュー・ユール著、高橋千尋訳『スティーブン・スピルバーグ 人生の果実』プロデュース・センター出版局、1999年10月、ISBN 4938456540
- 原著: Andrew Yule, Steven Spielberg: Father to the Man,Little Brown and Company, 05 Dec 1996,
Andrew Yule, Steven Spielberg: Father of the Man: His Incredible Life, Tumultuous Times and Record-Breaking Movies, Warner Little Brown & Co Ltd, Nov 2002, ISBN 0751512907
- 原著: Andrew Yule, Steven Spielberg: Father to the Man,Little Brown and Company, 05 Dec 1996,
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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