クエンティン・タランティーノ
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クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino, 1963年3月27日 - )は、アメリカ合衆国テネシー州生まれの映画監督・脚本家・俳優・映画プロデューサー。
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[編集] 略歴
高校中退後、レンタルビデオショップ店員として大量の映画に埋もれ働きながら脚本を書いた。この当時に培った映画の知識が後の映画制作に役立っている。マニアックな映画(主にアジア中心)・日本のアニメ・音楽に精通しており、自身の監督作品の随所に独特のセンスがうかがえる。シネ・フィルを自称する。
『レザボア・ドッグス』で脚本家・映画監督としてデビューした。脚本が米映画俳優のハーヴェイ・カイテルに認められ、彼の出演とプロデュースを受けて、カンヌ映画祭にも出品され、カルト的ヒットとなった。世界的にも配給されタランティーノはデビュー作にして注目されることとなる。監督二作目『パルプ・フィクション』では早くもカンヌ映画祭・パルムドール賞(最優秀作品賞)を始め数々の賞に輝き、米アカデミー賞脚本賞も受賞、新しい米映画の旗手として認知されるに至った。エルモア・レナード原作の『ジャッキー・ブラウン』では、深みのある演出が評価された。一時期沈黙したが、『キル・ビル Vol.1』『キル・ビル Vol.2』で復活した。
タランティーノの作風は、彼自身の映画趣味が随所に見受けられ、パロディ、オマージュ、引用などが特徴とされる。レンタルビデオショップ店員時代に日本映画にもどっぷりハマっており、『パルプ・フィクション』ではブルース・ウィリスに日本刀での殺陣を行わせたり、三隅研次・『修羅雪姫』(梶芽衣子版)の影響を強く受けたとされる『キル・ビル Vol.1』では千葉真一(ソニー千葉)や大葉健二らを起用するなどタランティーノの独特の感性を垣間見ることができる。『キル・ビル Vol.1』は、アジア監督の中ではジョン・ウーと並んで彼に大影響を及ぼした故・深作欣二に捧げられている(本当は深作欣二と合作映画にする筈が、深作欣二が急逝した為出来なかった)。敵のヤクザの名前がイシイであり、脚本を担当した映画『トゥルーロマンス』(トニー・スコット監督)でも、主人公のサブカルチャー・ショップの店員がソニー千葉の空手映画のファンという設定であるところから石井輝男ファンである点も言を待たない。映画監督エド・ウッドのファンでもある。
初めて会った深作にサインを求めたのが『ガンマー第3号 宇宙大作戦』のLDであったとされる。
彼の映画製作会社「A Band Apart」は彼自身の映画を製作するほか、長年埋もれていた中国のB級アクション映画を米国内で配給するなどしている。この社名は彼の偏愛する映画『はなればなれに』(ジャン=リュック・ゴダール監督、1964年)にちなんでいる。
2004年度カンヌ国際映画祭の審査委員長を務めた。毎回、カンヌ映画祭は審査委員長の統括を受けることが多く、審査員大賞を受けた韓国映画『オールド・ボーイ』はタランティーノの趣向を表すものといえる、バイオレンス作品。
[編集] 作品
[編集] 監督・脚本・演出
- ホステル -hostel (2006年、製作総指揮)
- CSI:科学捜査班シーズン5 「CSI"12時間"の死闘 [前・後編]」 - CSI: Crime Scene Investigation 「Grave Danger: Part 1, 2」 (2005年、特別ゲスト監督)
- シン・シティ -Sin City (2005年、特別ゲスト監督)
- キル・ビル Vol.2 -Kill Bill: Vol. 2 (2004年、脚本・監督)
- キル・ビル Vol.1 -Kill Bill: Vol. 1 (2003年、脚本・監督)
- ジャッキー・ブラウン -Jackie Brown (1997年、脚本・監督)
- ER緊急救命室 -ER 第1シーズン 第24話(1994年、演出)
- フォー・ルームス -Four Rooms (1995年、4話からなるオムニバスの第4話で企画・脚本・監督)
- ナチュラル・ボーン・キラーズ -Natural Born Killers(1995年、原案)
- パルプ・フィクション -Pulp Fiction (1994年、脚本・監督)
- トゥルー・ロマンス -True Romance (1993年、脚本)
- レザボア・ドッグス -Reservoir Dogs (1992年、脚本・監督)
[編集] 主な出演作
- レザボア・ドッグス -Reservoir Dogs (1991)
- パルプ・フィクション -Pulp Fiction (1994)
- サムバディ・トゥ・ラブ -Somebody to Love(1994)
- デスペラード - Desperado (1995)
- フォー・ルームス -Four Rooms (1995)(第4話「ペントハウス ハリウッドから来た男」に出演)
- フロム・ダスク・ティル・ドーン -From Dusk Till Dawn (1996)
- ガール6 -Girl 6 (1996)
- リトル★ニッキー -Little Nicky (2000)
- キル・ビル Vol.1(2003)(出演シーン未確認だが出演していると本人が言っている)
※無名時代には履歴書に『ゴダールのリア王』(ジャン=リュック・ゴダール監督 1987年)や『ゾンビ』(ジョージ・A・ロメロ監督 1978年)に端役として出演したと嘘の経歴を書いていたらしい。
[編集] 受賞歴
- アカデミー賞脚本賞(1995年) 『パルプ・フィクション』
- カンヌ映画祭パルムドール(1994年) 『パルプ・フィクション』
- MTVムービー・アワード(2004年)ベスト・ファイト賞(ザ・ブライド VS GOGO夕張 のシーン)(2004年) 『キル・ビル Vol.1』
- MTVムービー・アワード(2005年)ベスト・ファイト賞(ザ・ブライド VS L・ドライバー のシーン)(2005年) 『キル・ビル Vol.2』
- ABCラジオの深夜番組、アシッド映画館のジングル
[編集] CM
- 関西デジタルホン(現・ソフトバンクモバイル)=千葉真一と共演。「シャベリタランティーノ」というダジャレコピーがキャッチフレーズで、いかなる状況においても延々と電話でしゃべり続ける男を演じた。
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