モスラ (1996)
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『モスラ』は1996年に公開された日本映画である。製作は東宝。東宝怪獣映画の生みの親田中友幸会長は環境問題をテーマにモスラを復活させようと試みて、映画『ゴジラvsモスラ』で一応の完成を見たが、前年に『ゴジラ』シリーズを終えた機会に新たに復活させた。好評を受けてシリーズは以後3年間製作公開される事となった。なお、1961年に公開された映画『モスラ』と異なり、所謂怪獣映画的な要素を排除したジュブナイル映画、そしてファミリー映画として製作される。また脚本の末谷真澄により、この映画は1987年に起きた知床の国有林伐採問題を元に作られ、「普通の市民が環境破壊に荷担」していたり、「環境保護を訴えるマスコミがエゴイスト」であったりと、社会派のテーマを持った作品として完成させた。また政治家や軍隊、科学者に変わり、家族を助けるために市井の市民が活躍するファミリー映画としては2006年公開の『小さき勇者たち~ガメラ~』や『グエムル -漢江の怪物-』より10年早く完成させていた。
なお、当初はモル役に宝生舞、ロラ役に小林恵が予定され、製作発表でもそのメンバーが集結していたが、病気のため宝生が降板。代役として、モル役に小林、ロラ役に山口紗弥加がキャスティングされることになった。
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[編集] ストーリー
北海道の紋別で豊国商事は森林の伐採をしていた。その現場監督の後藤裕一は古代遺跡を発見し、何も知らずに遺跡のメダルを外したのだ。だが、その遺跡は妖精のエリアス族の遺跡であり、そこには6千5百万年前に宇宙から来訪して植物を滅ぼし、恐竜絶滅の原因を作った宇宙怪獣デスギドラをそのメダル = 「エリアスの盾」で封印していたのだ。
裕一はそれを都内の自宅に持ちかえり、娘のペンダントにして再び伐採現場へ行った。そこへ黒い妖精ベルベラがエリアスの盾を狙って飛来し、彼女と対立するエリアス姉妹と戦い盾を奪っていった。エリアス姉妹に「エリアスの盾と封印の意味」を知らされた後藤一家はエリアス姉妹を伴い、紋別へ行くが、紋別では巨大な岩隗が出現していた。後藤一家の協力でエリアスの盾を奪還したエリアス姉妹だが、ついに岩隗からデスギドラが復活してしまう、その姿は悪魔と言うに相応しいおぞましい姿をしていた。デスギドラを倒す為にエリアスはモスラを召還したが、モスラは卵を産んだ後で、寿命も長くなかったため、デスギドラとの決戦はかなり苦戦を強いられた。親を助けようと予定より早く生まれた幼虫が糸、光線で親モスラを援護するが、2匹ともやられるだけであった。
デスギドラを挑発し、ダムを破壊させて、向こう岸まで追い遣る事に成功するが、親モスラは遂に力尽き、海底に沈んだ。その後、幼虫は屋久島で森林のエネルギーを充分に吸った「新生モスラ」となり、かつて地球を滅ぼした時の形態の完全体となったデスギドラと再戦し、その圧倒的な力でデスギドラを再び地中に封印した。
その後、モスラはデスギドラによって焼き払われ荒廃した北海道の大地に緑を瞬く間に甦らせて、エリアス姉妹と共にインファント島に帰って行ったのであった。