モノコック
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モノコック(英Monocoque)、モノコック構造( - こうぞう)とは、自動車・鉄道車両・ミサイル・一部の航空機などの車体・機体構造の一種で、車体・機体の外板にも応力を受け持たせる構造のことをいう。応力外皮構造(おうりょくがいひこうぞう)、または張殻構造(はりがらこうぞう)ともいう。
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[編集] 工法の特徴など
ギリシャ語で「ひとつの…」という意味の接頭語monoと、フランス語で「貝殻」という意味の語coqueを組み合わせた合成語。外板自体が強度部材となっているため、骨組み(鋼体)を簡素化することができるので、軽量化にもつながる。
外板を強度部材とする場合、卵やカメの甲羅などのように丸みを持たせた構造のほうが高い強度を得られるため、モノコック構造で作られたものは一般的に断面形状が丸みを帯びているのが特徴である。
[編集] 歴史
1930年代から航空機用として採用され、1940年代からは自動車にも用いられるようになった。
日本では、第二次世界大戦後の1950年代以降から自動車や鉄道車両に多く用いられるようになった。第二次世界大戦の終戦後、航空機の開発・生産が禁止されたのを受けて、航空機製造技術とその技術者を活かして開発が進められた経緯がある。
[編集] 輸送機器の種類別概説
[編集] 自動車
フレームとボディを一体に作った車体で、現在のバスを除く自動車のほとんどに用いられるボディ構造。フレームレス構造とも呼ばれ、英語ではframeless construction、米語はunitized constructionにあたる。
日本のバスにおいては、戦後間もない頃に採用され、1980年代前半までこの工法が用いられたが、車体に大きな開口部を設けることができないなどの理由により、スケルトン構造と呼ばれる新構造に代わった(スケルトン構造は、骨組みとなる部材だけが応力を受け持つ)。
関連:フレーム形式 (自動車)
[編集] 鉄道
車体の軽量化の為にこの構造を採用した。代表的な例は1954年製の初代東急5000系電車が挙げられる。当時はまだステンレスを加工する技術が完全に確立されていなかったので、この方法が一部の鉄道で使用された。
最大のメリットとしては軽量化が出来ることであるが、その反面、剛性が高い筐体の維持が難しく、素材によっては筐体の老朽化が進行しやすい。このため、例示された初代東急5000系電車では強度保持のために側面素材に波形の素材を用いた。また、デメリットとして冷房装置搭載など、将来の拡張が困難になりやすい。
その後東急車輛と米国バッド社の技術提供でオールステンレス製の東急7000系電車が製造され技術が確立された事から以降はステンレスが主流となる。
このほか、昭和30年代には路面電車の車両にもこの工法が多く用いられた。
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