ルイス1世 (ポルトガル王)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ルイス1世(ポルトガル語:Luís I, 1838年10月31日 - 1889年10月19日)は、ポルトガル(ブラガンサ王朝)の国王(在位:1861年 - 1889年)。全名はLuís Filipe Maria Fernando Pedro de Alcântara António Miguel Rafael Gabriel Gonzaga Xavier Francisco de Assis João Augusto Júlio Valfando de Bragançaで、「大衆王(o Popular)」と呼ばれる。マリア2世(敬虔王)とその王配で共治国王だったフェルナンド2世の次男。
ルイス1世は1831年にリスボンで生まれ、1861年に兄王ペドロ5世が急死したことを受けて王位に即いた。彼は自らポルトガル語で詩を書くような文化人であったが、政治の分野では卓越した才能を持っていなかった。その治世、政府は共和派と王党派の間で揺れ動き、有効な施策を行なえなかった。普仏戦争(1870年 - 1871年)に先立つスペインの王位継承者問題への関心にもかかわらず、教育・政局・科学技術・経済などといった内政は停滞し、他の西ヨーロッパ諸国と比してポルトガルはさらに没落した。植民地では、1875年にモザンビークのデラゴア湾がポルトガル領として承認された一方、アンゴラとモザンビークの間の地域を獲得しようとする活動は1885年にベルギーがコンゴ自由国を領有したことによって失敗した。
ルイス1世は科学、とくに海洋学に強い興味を示した。世界各地の海洋の標本を集めるための調査船に大量の資金を投入したことをはじめ、世界最初の水族館であるAquário Vasco da Gamaをリスボンに建設した。これは現在公開されており、10メートルものイカをはじめ多くの海洋生物を飼育している。
1889年、ルイス1世はカスカイスで死去した。王位は、王妃マリア・ピア・デ・サボイア(イタリア王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の王女)との間に生まれていた長男のカルルシュ1世が嗣いだ。
|
|
|