ルース=アーロン・ペア
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ルース=アーロン・ペア(Ruth=Aaron pair)とは、2つの連続した自然数のそれぞれの素因子の総和が、互いに等しくなる組のことである。非常に少なく、20000以下では26組しか存在しない。
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[編集] 名前の由来
アメリカの元プロ野球選手であるベーブ・ルースの1935年に達成した通算本塁打記録714本(当時歴代1位)を、同国の元プロ野球選手のハンク・アーロンが1974年に通算715本目の本塁打を放ち、その記録を破った。この時の記録(714, 715)が上記の性質になる事からこの名がついた。
[編集] 計算
(714, 715)で調べてみよう。
- 714=2×3×7×17
- 715=5×11×13
- 2+3+7+17=5+11+13=29
となり、(714, 715)の組はルース=アーロン・ペアということになる。又、条件とはなっていないが、
このような性質も合わせ持つルース=アーロン・ペアはさらに少なく、20000以下ではわずか2組である{(5, 6)と(714, 715)の2組}。
[編集] 始めの26組
(5, 6)、(8, 9)、(15, 16)、(77, 78)、(125, 126)、(714, 715)、(948, 949)、(1330, 1331)、(1520, 1521)、(1862, 1863)、(2491, 2492)、(3248, 3249)、(4185, 4186)、(4191, 4192)、(5405, 5406)、(5560, 5561)、(5959, 5960)、(6867, 6868)、(8280, 8281)、(8463, 8464)、(10647, 10648)、(12351, 12352)、(14587, 14588)、(16932, 16933)、(17080, 17081)、(18490, 18491)
素因数分解したとき 8=23 など指数部が現れる数の場合「素因子の総和」は 2+2+2 というように計算する。
[編集] ルース=アーロン・トリプレット
ルース=アーロン・ペアと同様にルース=アーロン・トリプレットも定義される。そのうち最小のものは(417162,417163,417164)であり、
- 417162=2×3×251×277
- 417163=17×53×463
- 417164=2×2×11×19×499
- 2+3+251+277=17+53+463=2+2+11+19+499=533 で素因子の和は全て等しい。
[編集] 未解決問題
ルース=アーロン・ペア及びルース=アーロン・トリプレットが無限に存在するかどうかは分かっていない。発見者の知人は、無限に存在すると予想している。x 以下のルース=アーロン・ペアの個数はO( x (loglog x)4/(log x)2)であることが知られている。特に、ルース=アーロン・ペアが無限に多く存在するとしても、その逆数の和は収束することがカール・ポメランスにより証明されている。
Carl Pomerance, Ruth-Aaron numbers revisited, Paul Erdös and his Mathematics, (Budapest, 1999), Bolyai Soc. Math. Stud. 11, János Bolyai Math. Soc., Budapest, 2002, pp. 567--579.
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