ロシア・ベラルーシ連邦国家創設条約
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ロシア・ベラルーシ連邦国家創設条約(ロシア・ベラルーシれんぽうこっかそうせつじょうやく)は、1999年12月8日に、ロシア連邦とベラルーシ共和国との間で調印された条約。全部で19の基本項目、計71条の条文からなり、将来の両国の政治・経済・軍事などの各分野での段階的な統合について規定されている。
[編集] 概要
1994年にベラルーシで実施された大統領選挙で当選したアレクサンドル・ルカシェンコは、かねてからロシア連邦とベラルーシの統合を目指すなどの選挙公約を打ち出していた。ルカシェンコ大統領は、1999年12月8日に、ロシア連邦のボリス・エリツィン大統領との間に、将来の両国の政治・経済・軍事などの各分野においての統合を目指すロシア・ベラルーシ連邦国家創設条約に調印した。しかし、2000年にウラジミール・プーチンがロシア連邦の新大統領として就任すると、ベラルーシのロシアへの事実上の吸収合併を示唆する発言を繰り返すようになったため、ルカシェンコ大統領はベラルーシをロシアに吸収合併する形での両国の統合構想に反発するようになり、両国の統合は事実上停滞している。
条約に基づいて、ベラルーシでは連邦国家準備に向けて事業を進めてきた。しかしロシアではそれほど積極的ではなく、例えばベラルーシ発ロシア行きの飛行機が国内線扱いであるのに対し、ロシア発ベラルーシ行きは他国行きと同じ国際線扱いのままであった。
ただし、ロシア連邦とベラルーシ両国の大統領や首相以下の閣僚、議会(国会)の議長らで構成される、連邦国家の最高執行機関である「最高国家評議会」については、現在も、毎年、定期的に開催されている。
[編集] 連邦国家創設条約の主な条項
- 連邦国家の最高執行機関は、ロシア連邦とベラルーシ両国の大統領や首相以下の閣僚、両国の議会議長などで構成される「最高国家評議会」で、「国家元首」である「最高国家評議会議長」は 、両国の大統領が交代で務める。
- 連邦国家の機関として、二院制の連邦議会(両国の議会の議員から選出される「連邦会議」と、両国国民の有権者から普通選挙で直接に議員を選出する「代表者会議」とで構成)、連邦内閣、連邦最高裁判所、連邦会計検査院などを設置する。
- 連邦国家自体も連邦構成国も、ともに主権国家(独立国家)としての諸権利を保有する。
- 単一の通貨の導入。
- 連邦国家構成国の国民は、構成国と連邦国家の両方の国籍を保有する。
- 関税を含めた共通の税金制度の導入。
- 共通の地域軍司令部と地域軍集団の設置、編成。
- 両国の統合の進行度を見て、連邦国家独自の憲法の制定を行なう。
など。