ワカサギ
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ワカサギ | ||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Hypomesus nipponensis McAllister, 1963 | ||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||
Japanese smelt |
ワカサギ(鰙<魚へんに若>、公魚) Hypomesus nipponensis は、キュウリウオ目・キュウリウオ科に分類される魚。日本の内湾や湖に生息する魚で、美味な食用魚でもある。
目次 |
[編集] 特徴
成魚の全長は15cmほど。体は細長く、各ひれは小さい。背びれの後ろには小さなあぶらびれがある。また、背びれは腹びれより少しだけ後ろについていることで近縁種のチカと区別できる。
本来の分布域は、太平洋側は千葉県以北、日本海側では島根県以北の北日本で、日本以外ではカリフォルニアにも分布する。ただし水温や塩分には広い適応力があり、食用魚としての需要も高いことから、日本各地の湖やダムなどでも放流された個体が定着している。いまや南西諸島と伊豆・小笠原諸島を除く日本各地に分布域を広げている。
内湾、汽水域、湖などに生息する。食性は肉食性で、ケンミジンコやヨコエビ、魚卵や稚魚などの動物プランクトンを捕食する。一方、敵は人間以外にも肉食魚や鳥類など数多い。
地域にもよるが産卵期は冬から春にかけてで、この時期になると大群をなして河川を遡り、水草や枯れ木などに付着性の卵を産みつける。卵は1mmほどで、1匹の産卵数は1000-2万粒にも達する。寿命は1年で、産卵が終わった親魚は死んでしまうが、北海道など寒冷な地域では2年魚、3年魚も見られる。
[編集] 食用
冬期(10月から3月程度)が漁期で、釣りや刺し網、地引網などで多く漁獲される。
中でも寒冷地での釣りは、凍りついた湖面にアイスドリルという専用の道具、またはつるはし等で直径15-20cmほどの穴をあけ、その穴からワカサギを釣り上げるもので、「穴釣り」と呼ばれ日本の冬の風物詩のひとつともされる。長野県の野尻湖や諏訪湖などでは、ストーブを備えた「ドーム船」とよばれる船に乗りこみ、船内から釣る漁も行われている。
成長した親魚では骨が太くて硬いが、小ぶりなものは骨も細くて柔らかく、丸ごと食べられる。天ぷら、フライ、から揚げ、マリネ、南蛮漬けなど、いろいろな料理にされる。
[編集] 別名
アマサギ(山陰地方)、オオワカ、コワカ、サイカチ、サギ、シラサギ、シロイオ、メソグリなど
なお、漢字で「公魚」と書くのは、かつての常陸国・麻生藩が徳川11代将軍徳川家斉に年貢としてワカサギを納め、公儀御用魚とされたことに由来する。
[編集] 近縁種
- イシカリワカサギ Hypomesus olidus(Pallas, 1814)
- ワカサギに似るが、体色が全体的に黒っぽい。朝鮮半島からカナダまでの北太平洋沿岸地域に分布するが、日本では北海道だけに分布する。北海道に生息するものは完全な河川・湖沼陸封型である。
- チシマワカサギ Hypomesus chishimaensis Saruwatari, Lopéz & Pietsch 1997
- 1997年に発表された新種で、名のとおり千島列島に分布する。
- チカ Hypomesus japonicus Brevoort, 1856
- 全長20cmほどになり、ワカサギよりも大型。背びれは腹びれより少しだけ前についていることでワカサギと区別できる。ワカサギと違って淡水域には入らず、沿岸域で一生を過ごす。東北地方の太平洋岸と北海道、日本海北部沿岸、千島列島、カムチャツカ半島まで分布する。
他にも北アメリカ西岸部に Hypomesus pretiosus と Hypomeus transpacificus の2種類が分布する。