常陸国
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常陸国(ひたちのくに)は、日本のかつての行政単位だった国の一つで、東海道の最遠、関東地方の東北端に位置する。常州(じょうしゅう)と呼ぶこともある。延喜式での格は大国、遠国。親王任国。
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[編集] 沿革と歴史
7世紀に成立した。当初の常陸国は現在の茨城県の大部分(西南部を除く)と、福島県から宮城県南部にまで至る辺境の広大な国であった。後に陸奥国が設けられると、常陸の北限は菊多郡までになった。常陸国風土記は数少ない現存する『風土記』の一つである。
養老2年(718) に菊多郡を新設の石城国に譲った。これ以後長く国の形は変わらず、西南部を除いた茨城県に相当する範囲となった。新治郡、筑波郡、信太郡、茨城郡、行方郡、香島郡(後に鹿島郡)、那珂郡、久慈郡、多珂郡(後に多賀郡)、白壁郡(後に真壁郡)、河内郡からなる。
平安時代には、上総国、上野国とともに親王が守となる親王任国であった。例えば時康親王や人康親王のような常陸守が実際に任地に赴くことはないので、国司の実質的長官は常陸介であった。
[編集] 国府・国分寺・国分尼寺・安国寺・利生塔・一宮以下・総社
国分寺は石岡市府中にあった。石岡市府中の真言宗智山派浄瑠璃山東方院国分寺(本尊:薬師如来)がその法燈を伝承する。安国寺は、岩間町上郷の曹洞宗朝日山安国寺(本尊:南無釈迦牟尼仏)。国分尼寺と利生塔は現存しない。
延喜式神名帳には大社7座6社・小社21座21社の計28座27社が記載されている。大社は全て名神大社で、以下に示すものである。
- 鹿島郡 鹿島神宮(茨城県鹿嶋市宮中)
- 鹿島郡 大洗磯前薬師菩薩明神社(現 大洗磯前神社、茨城県東茨城郡大洗町)
- 久慈郡 静神社(茨城県那珂市静)
- 筑波郡 筑波山神社二座(茨城県つくば市)
- 那賀郡 吉田神社(茨城県水戸市宮内町)
- 那賀郡 酒烈磯前薬師菩薩神社(現 酒列磯前神社、茨城県ひたちなか市)
- 新治郡 稲田神社(茨城県笠間市)
一宮は鹿島神宮、二宮は静神社、三宮は吉田神社である。鎌倉時代までにはこの三社で確立していた。総社は石岡市総社の総社神社(常陸総社宮)である。
[編集] 国司
[編集] 常陸介
- 大伴弟麻呂 - 783年(延暦2年)任官。
- 藤原緒嗣 - 791年(延暦10年)から797年(延暦16年)7月までの間のいずれか。
- 源満仲 - 912年?(延喜12年)から997年(長徳3年)10月6日(8月27日)までの間のいずれか。
- 平家盛 - 1147年任官
- 平頼盛 - 1149年(久安2)任官、1158年(保元3)中務権大輔兼任として再任。
- 源義光 - 1045年(寛徳2年)から1127年(大治2年)11月25日(10月20日) までの間のいずれか。
- 佐竹貞義 - 1287年(弘安10年)から1352年10月18日(正平7年/文和元年9月10日)までの間のいずれか。
[編集] 守護
[編集] 鎌倉幕府
- 1189年~1203年 - 小田知家
- 1228年~? - 小田知重
- 1248年~1250年 - 宍戸国家
- 1301年~? - 小田宗知
- 1315年~? - 宍戸時家
- ?~1333年 - 小田氏・宍戸氏
[編集] 室町幕府
- 1335年~1352年 - 佐竹貞義
- 1352年~1362年 - 佐竹義篤(九代当主)
- 1362年~1389年 - 佐竹義宣(十代当主)
- 1389年~1407年 - 佐竹義盛
- 1407年~? - 佐竹義人(義憲、義仁)
- 1425年~? - 山入祐義
[編集] 郡
[編集] 人口
- 1721年(享保6年) - 71万2387人
- 1750年(寛延3年) - 65万5507人
- 1756年(宝暦6年) - 64万1580人
- 1786年(天明6年) - 51万4519人
- 1792年(寛政4年) - 49万5083人
- 1798年(寛政10年)- 49万2619人
- 1804年(文化元年)- 48万5445人
- 1822年(文政5年) - 49万5575人
- 1828年(文政11年)- 49万5859人
- 1834年(天保5年) - 45万7321人
- 1840年(天保11年)- 49万9761人
- 1846年(弘化3年) - 52万1777人
- 1872年(明治5年) - 64万8674人
出典: 内閣統計局・編、速水融・復刻版監修解題、『国勢調査以前日本人口統計集成』巻1(1992年)及び別巻1(1993年)、東洋書林。
[編集] 関連項目
- 令制国一覧
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