下灘駅
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下灘駅(しもなだえき)は、愛媛県伊予市双海町(旧伊予郡双海町)大久保にある四国旅客鉄道(JR四国)予讃線の駅である。駅番号はS09。
ホームから国道を挟んですぐ伊予灘の海が広がっているのでホームからは広い海を眺めることができる。このため青春18きっぷのポスターにこの駅はたびたび登場し、鉄道ファンの間ではかなり有名な駅となっている。しかし窓口業務を行っていないため、この駅で青春18きっぷを購入することはできない。また、この駅周辺は鉄道写真の撮影名所のひとつとしてもファンに知られている。
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[編集] 駅構造
単式ホーム1面1線を有する地上駅である。元は島式ホーム1面2線であったのだが向井原~内子間の新線の開業後駅舎側の1線を撤去して現在のようになった。かつて終着駅であったからか構内は比較的広く側線もある。
駅名標をポスターの写真撮影の際ひっくり返して、撮影が終わった後元に戻したが、ポスターどおりの風景を求める旅行者の声によって裏表共に駅名標が書かれたものを使用するようになった。
簡易委託駅だが、出札業務の受託をしている駅前のタバコ屋はまれにしか営業を行わないので乗車券の入手は事実上ほぼ不可能となっている。開業当初からの木造駅舎が改装されながら残っている。駅舎内部には待合所のほか今は使われていない出札口などがある。
[編集] 駅周辺
駅は下灘の集落からはやや東にある。
ホームに出て海の方向を眺めると国道を挟んですぐ目の前が伊予灘の海である。かつてはホームの下にすぐ波が打ち寄せていた「日本一海に近い駅」だったのだが、線路に面する海面を埋め立てて国道が開通してからは、海との間にある程度の距離が生まれてしまった。
駅舎は国道とは反対の方向にあるが駅から数分歩くと国道に出ることが出来る。駅の前には商店や民家などがあり少しはにぎやかであるが、駅から国道沿いにおよそ1キロほど西に行くと海を埋め立てて作った港があり、その周辺のほうがにぎやかである。そこには役所の支所や郵便局、小学校などがあり、さらにそこから豊田川上流のほうへ行くと中学校がある。
- 伊予市役所下灘支所
- 伊予警察署下灘駐在所
- 下灘郵便局
- 伊予市立下灘小学校
- 伊予市立下灘中学校
- 富岡川
- 豊田川
- 国道378号
[編集] 歴史
この駅は昭和10年(1935年)の6月9日に国鉄予讃本線が伊予上灘駅から当駅まで一駅分だけ延伸したのと同時に下灘駅(しもなだえき)として開業した。当初は終着駅であったが開業のおよそ4ヶ月後、昭和10年(1935年)10月には当駅から伊予長浜駅までが開通となったため終着駅ではなくなった。
昭和61年(1986年)の3月には向井原~内子間の新線開通により向井原駅から伊予長浜駅をへて伊予大洲駅にいたる線路ができ、幹線としての役割を喪失したためこの駅においても優等列車が通ることはなくなった。
その後この駅は昭和62年(1987年)4月の国鉄の分割民営化をへて現在に至っている。なお、予讃本線は昭和63年(1988年)の6月に予讃線に改称となった。
[編集] 年表
- 1935年(昭和10年)6月9日 - 下灘駅(しもなだえき)として開業。
- 1935年(昭和10年)10月6日 - 当駅から伊予長浜駅までが開通。
- 1986年(昭和61年)3月3日 - 向井原~内子間の新線が開通する。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄の分割民営化により四国旅客鉄道の駅となる。
- 1988年(昭和63年)6月1日 - 予讃本線が予讃線に改称となる。
[編集] ロケ等の舞台としての下灘駅
- 上述の通り青春18きっぷのポスターに度々採用されている。
- 渥美清主演の『男はつらいよ』シリーズの第19作『寅次郎と殿様』の冒頭シーンのロケに使われた。渥美清扮する寅さんが寝転がっていたのは下灘駅のホームのベンチで「列車がきますよ」という駅員の声に起こされるという設定。
- 「夕焼けプラットホームコンサート」は1986年(昭和61年)に始まり、毎年晩夏に再開されている。同年は「内山線」(内子経由の新線)開通の年であり、駅の利用が少なくなればやがて廃線にされるのではないかとの危機感から、双海町(当時)の産業課の若松進一(現:観光カリスマ)らの手によって実現に漕ぎ付けたもの。
- 財津和夫出演のロッテガムのテレビCMにも登場したことがある
- 2006年7月3日に放送された「HERO 特別篇」では山口県が舞台の作品だが、主人公が任地を離れるシーンに、この駅がロケで使われた。