中川圭一
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中川 圭一(なかがわけいいち、男性 196?年(時代と共に1950年代、70年代生まれだったりする) - )は秋本治原作の漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の登場人物である架空の警察官である。新葛飾警察署地域課所属、亀有公園前派出所勤務。階級は巡査。身長185cm、体重65kg前後。誕生日は12月24日で血液型はO型。年齢は不詳(32巻9話で25歳と書き込まれていたことがある)。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 人物
スーパービジネスマンである父の龍一郎と、ピアニスト・女優である母の小百合の長男として東京都で生まれる(妹に登志恵がいる)。中川家は、明治のころから財閥として名を馳せており、幼少時代からベビーシッターに囲まれながら非常に恵まれた環境で育った。16歳まではニューヨーク郊外の父の別荘で過ごすこととなる。一人称は「僕」。また、家族は超多忙で全員そろうことはほとんどない(2006年に全員そろった)。
徹底した英才教育を受け、7歳でハイスクール教科をすべて修了してしまい、200人以上のコーチに様々なことを教えられたが故に音楽や美術など芸術的な感性も豊かになる。また、子供の頃から自宅のレーシングコースでは毎日練習していて、8歳でフェラーリの四輪ドリフトを完成させるほどである。年月が経っても衰えを見せないプロ並みの運転技術はこの頃の経験がもととなっていると考えられる。
日本に帰国した圭一は日本の大学に入学するが、そこでも人気の的であり、学園祭ではバンドを組み女性にもチヤホヤされ、また「エレキの若大将」とよばれるほどであった。大学卒業後は、カーレーサー、ファッションモデル、デザイナーと一人で三役をこなしていたが、どういうわけか家族が決めた就職先をあっさりことわり警察学校に入学してしまい、卒業後に公園前派出所に配属された。
以上が単行本第69巻6話「中川メモリアル」による設定である。
なお、警察官として勤務する一方、中川グループの統括会社「中川エクスクルーシブ」の社長も勤めている(公務員は本来、兼職禁止だが、中川が勤務可能となっている理由は不明)。
[編集] 登場履歴
初登場は、原作は第1話(第1巻1話)、アニメは第2話。レギュラーキャラで両津勘吉以外で唯一初回から登場している(寺井は名前しか登場していない)。ロシアンルーレットで死亡した(単行本の台詞改訂により「マヨネーズの一気飲みが得意だった」に変更されている)松本という警官の後任という設定で初登場。タクシーに乗って派出所に現れ、タクシー代を署につけておくという登場の仕方だった。また、両津と『ダーティーハリー』の話に盛り上がった末、「ねらいをさだめ・・・」と派出所の前を通りかかったライトバンに向けて44マグナムを誤射してしまうなど過激な行動を行っていた(2006年に掲載された30年前にタイムスリップした回では、現在と登場当初の違いからキャラが変化しているということを作者が実感している様子が見られる)。また、第1巻1話では両津と花札をやるシーンがあるが、意外な事に花札のルールを知っていた(その後戸塚とこいこいをやるシーンがみられる)。相当なガンマニアであり、警察官になった理由も銃が撃てるからであった。このように初期の頃は、常識知らずのお金持ちのお坊っちゃんであり(どちらかというと両津の方がまともである)、大原部長の悩みの種であった。また、登場初期は泳げなかったようで、3巻の寒中水泳の見本では溺死しかけている。原作では、中川が来た後に、麗子が来たのだが、アニメでは第一話には麗子が登場するが、中川は登場せず、第二話で新人警官として中川が登場する。
その中川も徐々に常識人になって、金持ちである事を鼻にかけるような言動も減り、最近では、家業である中川グループのいくつもの関連会社の社長も兼務しつつ、頭も良く、気配り細やかで女性にももてるなど、完璧すぎるほどの好青年となっている(もしかしたら両津が反面教師になったのかもしれない)。しかし、近年は再び金持ちである事を鼻にかけるような言動が目立ってきている。
また、漫才を得意にするなど、他のキャラ同様にキャラクターのイメージを壊すような設定がついてしまい、崩壊が目立っている。
なお、作者は「こち亀」を描く以前は、ニューヨークを舞台としたハードボイルドなポリスアクション漫画を構想していて、その作品の主人公になる予定だったのが後の中川だった。しかし、ニューヨーク市警の細部を調べるのに行き詰ったため、身近な日本の警察を舞台にした「こち亀」が出来上がった。結局「こち亀」の主人公には、「ニューヨーク市警物語」の脇役として構想していた日系人警官をあてた(これが後の両津勘吉である)が、折角構想した主人公、ということで脇役の警官として「こち亀」に登場させた。それが中川圭一になるのであった。
[編集] 身長と体重の変遷
- 身長179cm 体重63kg:第10巻5話「適材適署!? の巻」
- 身長180cm 体重65kg:カメダス2
- 身長185cm 体重不明:133巻8話「おしえて両津先生 派出所七ふしぎの巻」
[編集] 生活
愛車は、数百台の高級車。運転技術はプロのF1レーサー並で、スーパーカーをメインに乗り回している。最初に派出所に愛車で登場した時はフェアレディ240ZGだったがそれ以降日本車で乗りつけることはほとんどなく、初期からかなりの間ランボルギーニ LP400「カウンタック」で登場していたが、フェラーリ F40以降はフェラーリのフラッグシップモデルを愛用している。しかし、所有車の車幅が広いせいもあるのか、下町の狭い道は不得手なようで、壁で擦ってしまったり、一般の民家の庭に迷いこんでしまったことがある(74巻8話「南千住に吹く風はの巻」)。また、車庫入れができないことが134巻で発覚した(いつも車庫入れは人に任せている為)。父は超多忙な為、滅多に家族で顔を合わせることが無く、更にはちょっと顔を合わせるだけでも数年先まで予約が埋まっている。そんな父親のキャッチフレーズは「72時間働けますか?」である。
[編集] 容姿
制服は、ピエール・エロダン(ピエール・カルダンのパロディ)デザインの30万円の特注品を着用していて、黄色である。1994年3月まで採用されていた旧型制服をモチーフにデザインされているが、制服が変わった後も新調することなく階級章などもそのまま。初登場以降、夏服になる時期を除いて、毎回ネクタイの柄が変わっている。貸与される制服を着ていないこと(また、警察官でありながら他の職業に従事していること)については、初登場時はだめだと言われたにもかかわらず特注品の制服を着用していたという設定だったが、現在は警視庁制服課発行の許可証があるため、一部の話を除いて周囲の者は気にしていない。また、アニメ版と原作では縦のラインがないなどの違いがある。
また、37巻1話「ニュー中川の巻!」~38巻2話「両さんのジンジロゲの巻」の間だけは、髪を短くして茶色のジャンパーを着るという、全く違うスタイルをしていた(38巻3話で元に戻るが、その事を両津に突っ込まれると、夢でも見ていたのではないかと言って誤魔化した)。TVアニメの場合は、制服と同じく黄色である制帽をかぶった事がない。
[編集] その他
「中川」の姓は、両津の姓にまつわる看護師の姓(デビュー前の作者が入院した際に出会った美人の看護師)から、名前の「圭一」は俳優の赤木圭一郎が由来である。
実は中川は、作者が『こち亀』を考え付く前に、漫画賞への応募作として考えていた『NYポリスストーリー(仮題)』の主人公として考案されたキャラクターである(「カメダス」)。
納豆が大嫌いで「人間の食べ物ではない」と否定している(「カメダス」。11巻でも「要するに豆の腐ったヤツでしょう。腐蝕して腐敗した食べ物…」と発言している)。
食通であり、世界の高級食材やワインなどに関して造詣が深い(ただし駄菓子など極度に安価の食べ物に関してはほぼ皆無)。味覚も鋭敏で、舌に10億ユーロの保険をかけているほどである(128巻1話「幻の“神の舌”の巻」で両津に変な郷土料理を大量に食べさせられて味覚障害になった時、実際に支払われた)。
幼い頃から常に美女に囲まれていたせいもあり、女性に対する美的感覚は庶民と大きく異なる(美少女ゲームに登場する美女たちを普通と言うのに、引き立て役超ドブスキャラを「きれいですね」と言う)。
家紋は「蔓三つ葵」
[編集] 中川と両津の関係
中川と両津は腐れ縁といっても良いほどの関係で、麗子と共に度々両津に振り回されていた。中川の場合はほとんどのトラブルに金銭がからんできている。78巻9話「兄として…!の巻」で両津の弟の金次郎が中川の遠戚である霧ヶ谷景子と結婚したことにより遠い親戚の関係となってからは、両津に親戚の立場を悪用されてさらにトラブルがエスカレートしている。しかし、その反面、両津に力を貸す場面も度々あり、腐れ縁とはいえど比較的関係は良好である。アニメでは基本的に両津に金は貸さずにきっぱり断るが、戦車や戦闘機は軽々と貸している。
一度、両津が購入した海外の宝くじが当選し借金が帳消しになったことがあったものの、145巻2話で、両津に貸している(又は損害賠償の)金額は3852億5415万9998円に達する。
[編集] 中川と麗子の関係
中川と麗子はともに大金持ちで、また似たような境遇でシンパシーを感じるのか、プライベートや会社での仕事でも顔を合わせることが多い。誰から見てもベストカップルに見える(飛鷹日光&月光に夫婦と間違えられた事もある上、御堂春に恋人同士に間違えられた事もある)のだが、今日に至るまで恋愛関係に発展したことがない。
これまでに何度か両津に「先輩、やっぱり麗子さんのことが好きだったんですね!」「先輩に対して気があるような感じがするんですが・・・」など、麗子の気持ちを汲んでいるかのような発言をしたことがある。
[編集] 中川と部長の関係
部長は、派出所メンバーの中では中川に一番信任を寄せているようである。部長が品行方正な中川と比較して遊び放題の両津を批判するのが基本である。また中川自身も両津か部長に付き従っていることがほとんどなので二人の対立に巻き込まれることが多い。
ただどちらに付く場合も「僕は知りませんよ(両津が部長にいたずらする場合)」「少しかわいそうですね(部長が両津を懲らしめる場合)」など一方的に片方を支持はせず、日和見主義者の態度は崩さない。ただし、両津が部長にいたずらする場合、両津が中川を拳銃などで脅して、両津に有利なコメントをさせる場合もある。
なお連載初期には中川が今のように品行方正ではなかったので、部長からは両津と同類視されており、両津と一緒に誰もいない場所の派出所へ左遷されるオチなどもしばしばあったが、現在では中川が部長の逆鱗に触れることはまずない。唯一の例外は若者関連である。部長は大の若者(文化)アレルギーなので、若者ネタになると逆に両津と組んで中川を叱り付けることもある。この場合の中川は反論せずにただ汗をかくしかない。