京成AE100形電車
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AE100形電車(AE100がたでんしゃ)は、京成電鉄の特急形車両。1990年(平成2年)6月19日から運用を開始した。「ニュースカイライナー」とも呼ばれる。
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[編集] 概要
新東京国際空港(現・成田国際空港)ターミナルビル直下への乗り入れを翌年に控え、AE形の8両編成への組成変更を行った1990年6月に運用を開始した。2代目の「スカイライナー」用車両として 1993年5月末までに8両固定編成7本、計56両が新製された。
当初の2編成は、既存のAE形8両編成化に伴う不足分として新製し、他の5編成はAE形の代替として新製された。新造車としては初めてVVVFインバータ制御(東洋電機製造製ATR-H8130-RG-630A形・GTO素子2世代形)を採用した。モーターは全て東洋製TDK-6170-A形を搭載する。この組合せは後に3700形に採用されたが、3700形では三菱電機製モーターを搭載する車両も存在する。AE形に続いて、定速制御装置を装備する。操作方法はAE形と全く異なり、速度25km/hの時点でマスコンハンドルがP5であった場合、P4に戻すと定速制御となり、P3に動かすと減速(減速力はB3相当)、P5にすると再度力行する。マスコンをN~P2に戻すと定速制御は解除される。地下区間に入ると定速制御は無効になる。
車両番号は、第1編成がAE101~AE108、第2編成がAE111~AE118の順で、末尾9と0は欠番である。京成の慣行として京成上野方の車号でAE108編成、AE118編成と呼ぶ。先頭車は電動車で、末尾6と3が付随車で補助電源装置の静止形インバータ(SIV)を搭載、末尾8と1の車両に交流電動機駆動の静音形空気圧縮機C-2000-MLを搭載した。パンタグラフは末尾7と2の車両両端に下枠交差式を2台搭載した。
外観スタイルは鋭角の流線形になり、床下の各機器は側面スカートで覆われた。将来は都営地下鉄浅草線経由で京急に乗り入れて羽田空港までの、両空港間を直結する列車に使用することを考慮し、流線形前面に非常用貫通扉を設置した。塗装はアイボリーをベースにブルーとレッドのラインが配され、前面の翼をイメージした帯配色が特徴である。
また鉄道車両としては珍しく前照灯には蓋付きのリトラクタブル・ヘッドライトを採用している。
室内はブラウン系+ベージュ系の落ち着いた色調でまとめられ、妻面にLED式の案内表示器を設置する。座席はリクライニングシートを採用したが、車体の関係で横幅は小さい。末尾5の車両にサービスコーナーを設置し、トイレと洗面所は末尾4の車両に設置する。
[編集] AE形との共通運用
1990年から1992年までは夏期の繁忙期前に各2本(AE108~158編成)を新製し、1991年夏以降AE形は順次休車、廃車となった。
1992年7月末以降、AE形は1編成予備車が残存するのみになり、「スカイライナー」・「モーニングライナー」・「イブニングライナー」全列車が終日本形式で運用される日が多くなった。
1993年5月下旬にAE168編成を新製し、AE形は同年6月末の「さよなら運転」をもって運用から完全撤退した。
[編集] 新製年度による変更点
- 1992年5・6月に新製した3次車のAE148・158編成ではトイレを増設した。1・2次車についても1992年4~7月に増設した。
- 4次車のAE168編成は1993年5月に3次車と同仕様で新製した。ただし帯は塗装からシールに変更した関係で、前面帯は若干V字形に近いものになった。
[編集] リニューアル工事までの動きなど
[編集] リニューアル工事
2001年12月出場のAE148編成を最初に順次室内リニューアル工事を行った。この工事では主にバリアフリー対応強化の他、内装の全面張替えも行った。
客室内・デッキ・サービスコーナー共にグレー系の化粧板・床面に、また座席表地はブラウン系からブルー系模様入りに変更した。初期に行ったAE148・118編成は客室の通路カーペット無しで出場したが、2002年4月に出場したAE108編成から通路カーペットを設置し、後にAE148・108編成にも設置した。
トイレも全面的に改修され、和式を廃して洋式に統一するとともに車いす対応形を新設した。
外観上の変化としては、同工事第2編成目として2002年2月に出場したAE118編成から先頭車に通気孔が設置された他は変化無い。後にAE148編成にも通気孔を設置した。
リニューアル編成第一陣のAE148編成が工事出場後に営業運転開始した2001年12月10日より、「スカイライナー」・「モーニングライナー」・「イブニングライナー」の喫煙車は先頭車1・8号車のみになり、他はサービスコーナーも含めて全車が禁煙車になった。
いわゆる「赤電」各形式や3500形の車体更新では全般検査が必須だったが、当形式では定期検査と別途で行った。実際、AE108・118・158編成は定期検査と別に同工事を施工したが、窓枠の工事もあったため、再塗装を実施した。
2003年7月出場のAE158編成を最後に完了した。
各編成の新製落成年月・製造メーカー・リニューアル年月は以下の通りである。
- AE108編成:1990年6月落成、日本車輌製造、2002年4月リニューアル
- AE118編成:1990年6月落成、東急車輛製造、2002年2月リニューアル
- AE128編成:1991年7月落成、日本車輌製造、2003年4月リニューアル
- AE138編成:1991年6月落成、東急車輛製造、2002年11月リニューアル
- AE148編成:1992年6月落成、日本車輌製造、2001年12月リニューアル
- AE158編成:1992年5月落成、東急車輛製造、2003年7月リニューアル
- AE168編成:1993年5月落成、東急車輛製造、2002年7月リニューアル
[編集] リニューアル工事後の動き
2005年2~4月に連結部に転落防止幌を設置したが、こちらは新3000形や3700形6次車以降より小型化され、形状が異なった。
[編集] 運用
「スカイライナー」・「モーニングライナー」・「イブニングライナー」で運用されている。
[編集] 現状・近況(2007年4月9日時点)
前述のとおり1993年6月以来、スカイライナー・モーニングライナー・イブニングライナーはAE100形のみで運用しているが、2010年の成田高速鉄道の開業時に、有料特急形新形式をデビューする計画も浮上していることから、2006年に廃車が決定した。
[編集] 関連項目
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