仮名遣
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仮名遣(かなづかい)とは、日本語の正書法のうち、仮名で表記される部分についての規則である。狭義には和語を仮名で表記する場合の規則(国語仮名遣)のみを言うが、広義には漢語(漢字)の読みを仮名で表記する方法(字音仮名遣)を含む。仮名は表音文字であるとされており、発音通りに表記するのが原則であるが、言葉の発音が変化した場合にどう表記するかが問題となる。このとき、大きく分けて語源、文法や言葉の歴史を重視して表記しようとする立場とできるだけ発音どおり表記しようとする立場とがある。
本項目では、固有名詞の「現代かなづかい」および「現代仮名遣い」を除き、「仮名遣」と表記する。これは、「仮名遣」「仮名遣ひ」「仮名遣い」などの表記方式を包括するためである。今日、一般には「仮名遣い」と書かれることが多い。
[編集] 様々な仮名遣
- 歴史的仮名遣
- 語源、文法的整合性、歴史を重視する立場の仮名遣のこと。
- 旧仮名遣
- 歴史的仮名遣のこと。新仮名遣に対して古くから存在する仮名遣という意味でこう呼ぶ。
- 正仮名遣
- 歴史的仮名遣のこと。歴史的、語源的、文法的に正しい仮名遣であるという意味でこう呼ぶ。
- 現代仮名遣い
- 次の内閣告示および内閣訓令によって示されたものをいう。
- 現代かなづかい(内閣告示第33号。昭和21年11月16日)
- 「現代かなづかい」の実施に関する件(内閣訓令第8号。昭和21年11月16日)
- 現代仮名遣い(内閣告示第1号。昭和61年7月1日)
- 「現代仮名遣い」の実施について(内閣訓令第1号。昭和61年7月1日)
- 表音式仮名遣と同一視されることもある。しかし現代仮名遣いは表音主義を重視してはいるが歴史的仮名遣を受け継いでいる部分もあり、純粋な表音式仮名遣ではない。
- 次の内閣告示および内閣訓令によって示されたものをいう。
- 新仮名遣
- 現代仮名遣いのこと。歴史的仮名遣に対して新しく制定された仮名遣という意味でこう呼ぶ。
- 表音式仮名遣
- 「仮名遣は発音通りであるべき」とする立場に基づく仮名遣のこと。通常は完全に発音通りに表記しようとする立場だけでなく語源や歴史的な使用実績よりも実際の発音を重視する現代仮名遣いのようなものも含める。
- 誤用仮名遣
- 使用例があるものの、語源的、文法的に見た場合には誤っていると考えられる仮名遣のこと。
- 許容仮名遣
- 誤用仮名遣のうち、使用例が多く、歴史的に定着しているために許容されている仮名遣のこと。
- 字音仮名遣