伊那市有線放送農業協同組合
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伊那市有線放送農業協同組合(いなしゆうせんほうそうのうぎょうきょうどうくみあい)は、長野県伊那市にある有線放送電話事業者である。上伊那農業協同組合(JA上伊那)の下部組織。
愛称は「いなあいネット」。本部・本局所在地は伊那市境(さかい)地籍1420番地。
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[編集] 沿革・概略
1956年(昭和31年)、伊那市内の7地区ごとに別々の事業体として有線放送電話事業を開始。1971年(昭和46年)に既存7地区の有線放送電話局に旧西春近村営だった西春近局を含めた8局が合併して現組織となる。
1995年(平成7年)に設備を大幅に更新、秘話機能を搭載すると共に県内ローカルのラジオ放送の再送信及び通信衛星配信による音楽チャンネルの提供を開始した。同時に南箕輪村内でJA上伊那が直接提供している有線放送電話と相互接続を開始。電話番号も独自のものから東日本電信電話(NTT東日本)が割り振っている電話番号から市外局番「0265」を除いたものに改める。なお、地域の集会所等ではNTT東日本の固定電話回線は引かれていないが有線放送電話の回線が引かれている所があり、そういった所では、独自の市内局番として「75」を付番している。放送用スピーカーの裏面にRJ11形式のモジュラージャックを装備しているため、貸与される電話機以外の市販電話機を接続することができる。「0」発信にて伊那市内のNTT回線への発信ができる様になった。設備更新以前は共同電話方式であったため、秘話が利かないという弊害があり、また定時放送中に受話器を上げると近隣の加入者にも放送が聞こえなくなるという制限があった。(110番及び119番通話のために放送中でも発信操作を行う事自体は禁止されていなかった。)
1997年(平成9年)、定額制電話であることの利点を生かす形でダイヤルアップ接続によるインターネット接続サービスの提供を開始すると同時に日本で初となるxDSL実証実験を開始する。ADSLの商用提供は長野市の川中島町有線放送農業協同組合に先を越されてしまった。
2005年(平成17年)より実験提供としてIP電話による発信を行える様になった。設備の都合上全市で3回線しか確保されておらず、着信と携帯電話とPHSへの発信は出来ないが、事実上県外であっても無料通話を行うことができる。IP電話発信の際には「9」をダイアル後に市外局番からダイアルする。
2006年(平成18年)より貸与されている電話機をコードレスホンに置き換え始めている。
[編集] 現状
- 伊那市の内、加入及び発着信が行えるのは平成の大合併で合併する前の旧伊那市に限られ、旧高遠町及び旧長谷村宛てに電話するにはIP電話を使う他ない。両地区の有線放送電話への着信も「0」発信によるNTT回線への着信も2007年1月現在は不能。
- 伊那市にもBフレッツの敷設が始まっているが、まだまだ旧NTT東日本伊那営業支店周辺に限られているため、西箕輪地区や春近、富県地区等の農山村地域では10MBPS以上のブロードバンド回線としては唯一の選択肢となってしまう。周辺農山村地域のNTT回線についてはかなりの割合で光収容されていることが多く、仮にメタル回線が確保できたとしても回線距離の問題からフレッツADSLやYahoo!BBを使用できる可能性は低い。CATV網を使うという選択肢もあるが、伊那ケーブルテレビジョンではグローバルIPアドレスが取得できない、最高速度8MBPSと言う制限がある。
[編集] 関連項目
- 長野県協同電算(JANISネット)
- 富士通長野システムエンジニアリング(InfoValley)