伝染るんです。
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『伝染るんです。』(うつるんです)は、吉田戦車による4コマ漫画作品。
目次 |
[編集] 概要
ビッグコミックスピリッツ (小学館)に1989年から1994年にかけて連載された。不条理ギャグ漫画のパイオニア、記念碑的な作品。今までの四コマ漫画の常識を覆した恐るべき漫画という評価が多い。第37回文藝春秋漫画賞受賞作品。単行本は小学館からA5判ハードカバーで全5巻(1990-1994年)、文庫が小学館文庫から全5巻(1998-1999年)で発売されている。単行本の第1巻は、一見「乱丁本ではないか? 」と思えるかのような凝った装幀・製本がなされた(帯の惹句は90年刊行にもかかわらず「'75年は吉田の時代だ!」である)。このため、書店に対する注意書きも配布されたが、それでも問い合わせ等が多発したこともあり、第2巻以降はごく普通の装丁・製本に戻っている。2000年に傑作だけを集めた「伝染るんです」がBLUE COMICSとして95円(税抜き)で販売された。
1992年にはタカラよりファミリーコンピュータ用ゲームソフトが発売された。また、同時期にビデオ、菓子も発売されている。
名前の由来はもちろん富士フイルムの「写ルンです」から。しかし、レンズ付きフィルムの話ではもちろんない。竹熊健太郎と漫画の担当編集者江上英樹の会話から生まれたネーミング。
[編集] 内容
コミックス第1巻の序盤は素敵なヤクザたちで構成された4コマがやけに多かった。後にかわうそを初めとしたレギュラーが登場しだした。
[編集] 登場人物・物体・語彙
- かわうそ君(動物)
- 直立歩行し、言葉(日本語)を話すカワウソ(実はカワウソではなく、カワウソの着ぐるみを着た太った人間にしか見えない)。不可解な言動、行動によって周囲を振り回す。かっぱ君がハワイに旅行したことを知って以降はハワイに傾倒するようになる。ハワイに異常な執着を持つ。ハワイ以外にもひとつのことが頭に残ると、それにひたすら執着する。かっぱ君のお姉さんに執着していた時もあった。老人に好かれていて、中学生男子が嫌い。
- かっぱ君
- かわうその友達。心優しい性格でかわうそに色々振り回されるが友達を続けている。かわうそに黙ってハワイに旅行したため、かわうそから嫉みを受けている。若者の友人が沢山いて、かわうそから嫉妬されている。
- かえる
- かわうそやかっぱの友達。何故か小さい頃から今の姿をしており、おたまじゃくし時代の事を聞くと言葉を濁す。喫煙をする。元暴走族総長。かえるなのに何故か歯が生えている。愛車はZ32型フェアレディZ。
- こけし
- 頭にこけしを乗せた少年。常に意味不明の言葉をつぶやき周囲の婦女子を怯えさせる。
- 傷
- 頭に包帯を巻き、学生服を着た、心身ともに深い傷を負った少年。
- くま
- 身の丈30cm程のツキノワグマ。かわうその友達。喋らない上に顔まで真っ黒で、涙や汗でしか感情が読み取る事ができない。
- 伊藤
- 登山中にくまに遭遇して以来くまから自宅にくまの写真と2千円が入った茶封筒を送られたり、友達に山ぶとうを送られたりする大学生。
- 源さん
- こけしが行く寿司屋の寿司職人。ふとんが酢のにおいがする。歌手志望であったが、断念して寿司職人になった。
- たけひろ(オール5)
- ランドセルを背負った全裸の少年。決して話してはならない「フルゴン」や「定礎の下に埋まった赤いべべ」の秘密を漏らそうとして父親に弓で射殺される。ちなみに、父親は膝ラケットで双子球を打ち返すスポーツ『タニス』の選手で、全裸。母親は普通の格好。
- 王様
- トランプのキングのような格好をした人物。「王様」と呼ばれているが、本当に国王なのかは不明。娘は「お姫様」。喋らない。すぐ人をムチで叩く。
- かっぱの父(紫)
- かわうそが勝手に体色を「紫色」だと決め付けたかっぱの父。作中には現れず、実際の色は不明。
- かっぱの姉(ボイン)
- ボインと聞いて以来、かわうそが会いたがっている。作中には現れない。
- しんちゃん
- かえるの従兄弟。生まれたばかりのはずだが、なぜかおたまじゃくしではない。しんちゃんにも後に歯が生えてくる。
- しんちゃんの父親
- かえるの叔父で、スナック『無精髭』を経営。かっぱ君に頬擦りしたがっている。やはり歯が生えている。
- すずめ
- 道行く人に勝手な事ばかり言う2羽のすずめ。「スズメ型ロボット」と言うべきか。
- からす
- すずめのバリエーション。体が黒くなって「カァ」というだけの違い。作中でも「お前らすずめだろう!」と言われている。
- ロベール
- 平助が購入した喋る案山子。平助がロベールを購入したことを父っつぁんに言い出せなかったため平助に「いくじなし」と言った。
- 平助さん
- 純朴な農家の青年。出戻りの和江さんに秘かに思いを寄せている。独身。
- 父っつぁん
- 平助さんの父。ロベールに「あんたの息子は最高の独身だぜ!」と言われる。
- しいたけ
- 椎茸嫌いの人間に暴行を加えるしいたけ。青果市場に泥棒が侵入し自分を盗まなかった泥棒を捕まえたことがある。いつもマフラーを巻いている。
- ウイリアム
- イギリス人留学生。しいたけから間違った日本文化を教えられる。
- シークレット奥さん
- シークレットシューズや大仏にシークレット蓮華などをこっそり周囲の人に取り付け、何となく違和感を感じる彼らを見てほくそえむ主婦。
- 初期は上記のような「シークレット○○」での登場が多かったが、のちにカブトムシの斉藤さんの大家として登場するようになった。
- 夫と長男との3人家族。
- 斉藤さん
- 苦学生のカブトムシ。いつも小声(フキダシで表される台詞が全く無い)で喋る。事あるごとにショックを受けており、その時は泣きながらどこかへ飛んでいく。
- 浪人時代は健康に気を使い健康食品を食用していたが、その後は不明。手作りマヨネーズを作るのが得意。
- 「粉ねり機」なるものを考案する。
- 住居は民家の庭の木の洞を月5円で借りている。大家はシークレット奥さん。
- 世の男子の例に漏れず、「杉本彩」が好き。
- 実の母から「さいとう」と呼ばれている事から、「斉藤」は名前で苗字が別に存在する可能性がある。
- 修一
- 好きな人に振られたショックで斉藤が迎えた養子。養子に迎えられた当初は『斎藤』と呼び捨てにしていたが、後に『お父さん』と呼ぶようになる。
- 宇宙人兄妹
- 名前は兄が正美で妹がひろみ。地球について「さむい」と言うが、彼らにとってそれはほめ言葉らしい。
- ミッチー
- 世界征服をたくらむ少女。トオル君を郵便局員にするため祈っていたが……。
- 自らのポエムノートには名前を「星野ミッチイ」と書いていたが、それが本名かは不明。
- トオル
- ミッチーの恋人。いつも腕を振り回して踊っている。
- ゲイリー富田
- ミッチーがトオルを郵便局員にするべく呼んだ中年。ポルトガル出身だが、なぜか英語訛り。
- ペドロ君
- トオルの友達。実家はりんご農家。
- ネギ
- マスチフ犬。本来は「ネギ」という名ではないはずだが、「ネギ」と呼ばれてネギを食べさせられようとする、というギャグ以降、「ネギ」が定着した。通りすがりの人に足をかまれそうになったり、温められたり、脅迫状が届けられたりと色々理不尽な目にあう。
- 吉本君
- 社長秘書。社長室に動物(かわうそ)を入れて可愛がっていたが、動物は社長の方が好きになり、動物を虐待するようになる。
- 下の人
- かわうそに雇われて(?)、かわうそを肩車して背を高く見せかけている人物。覆面をしており、素顔はわからない。「下の人などいないっ!」のギャグで有名になった。
- 下の下の人
- 下の人のバリエーション。かわうそと下の人を肩車している。
- 上の人
- 下の人のバリエーション。下の人とは逆に、かわうそに肩車されている中年男性。
- 下の犬
- 下の人のバリエーション。かわうそを乗せているイヌ。柴犬と見られる。
- 山崎先生
- 異常に短い足と円筒状で異様につやつやした胴、顔はイヌのように口が突き出ていて耳が無く、臀部に三角錐状の突起物が付いているという異様な体格をした、正体不明の中学校英語教師。教育熱心で常に生徒の立場に立って発言、行動する理想的な先生として生徒に慕われているものの、その奇妙な外見と行動で周りを困惑させる。大学の同期に八田先生がいる。
- 豆腐破壊魔
- 他人が買ったばかりの豆腐を破壊する。豆腐屋の店先で客に自転車で忍び寄り、豆腐を手で叩いて破壊し、走り去る。
- NHK教育テレビの番組を好むヤクザ
-
- ダムを守る正義の人、ダムダム人を考えた川本。
- 見ていた番組おーい!はに丸が終了すると知りNHK襲撃を企てるヤクザ。
- のど自慢大会に出演するためパンチパーマを落としカタギになった元ヤクザ。
- 連想ゲームに出場した山岡士郎と栗田ゆう子
- 栗田には簡単な問題を出題するが、山岡には理不尽な問題を出題する。
- 機械のかわうそ
- あらゆる面でかわうそより20%よく作られた機械。かわうその存在意義をことごとく奪っていく。かわうそが風邪をひくと、更に20%重い風邪をひく。メカゴジラが元ネタ。
- 機械のかっぱ、かえる、くま
- やはり本物より20%よく作られている。機械のかっぱとかえるは本物よりもかなり大きい。
- 渋谷区
- 「ここは世田谷区じゃありません」「この先オバケ注意」など奇妙な標識を立てている特別区。他にも、砂場に砂男が住んでいたり、滑り台がおろし金になっていたりする公園が存在。
- 機長
- 旅客機の機長。機内放送で「ごめん」や「あ」としか喋らないため機内はパニックに陥る。
- 「丸」
- 川に棲む球型の生き物。川辺で獲って焚き火で焼く「丸焼き」がキャンプの醍醐味と言われている。キューン、キューンと鳴く。
- その他のキャラ・物体・語彙
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- ほとぼり
- モンゴイカ
- 何かの卵
- ドイツにん
- あきらめ猿
- クワズ嫌い
- 父がまん
- 子ランチ
[編集] 登場スポーツ
- タニス
- フルゴン
- しリーグ
- タオルボール
[編集] 派生用語
- 中の人
- 作中のギャグ「下の人などいない!」から派生したインターネットスラング。スラッシュドットジャパンや2ちゃんねる等でよく用いられ、使用される対象の性質上オタク用語的な意味合いが強い。
- ※ファミ通で掲載されていた「はまり道」中、スクウェアのフロントミッションというゲームにおけるヴァンツァーに乗り込む人のことを「中の人」と表現しているので、かわうその「下の人などいない!」から派生した説とどちらが正かは不明。
- 特定のキャラクターを演じるスーツアクター(文字通り「中に入っている人」)から転じて、ある役柄を演じる俳優、声優、またはウェブサイトのウェブマスターなどに対して用いられるが、「吉田戦車の中の人」というふうに本来有り得ないことに茶化されて使用されることもある(この場合、吉田戦車の中の人など勿論存在するはずもないので、吉田戦車本人という意味となる。しかし、例えば「普段の吉田戦車と違う感じの絵や話を描いている吉田戦車」などを指して「吉田戦車の中の人が違うんじゃないか」的な使い方をされることもある)。さらには単体の生き物とは呼べないものをさす例もあり、それ専用のアスキーアートがあることもある(例:「ちょっと通りますよ(ぬるコぽっぷ)」の別名、『天皇陛下の前立腺の中の人』)。
- 萬Z(量産型)は、自らの別名義である「manzo」を萬Z(量産型)の「中の人」であると称している。