佐野王子 (新宮市)
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佐野王子(さのおうじ)は和歌山県新宮市にある神社旧蹟。熊野九十九王子のひとつ。
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[編集] 概要
佐野王子の創建年代は明らかではなく、1204年(元久元年)の藤原定家の参詣記『熊野道乃間愚記』にはその記録が見られない。1210年(承元4年)の修明門院参詣記に初出する。江戸期の地誌『紀伊続風土記』は、熊野那智大社の境外末社となった後、廃絶したと伝える。それによれば、佐野王子の跡地は若一王子森と呼ばれており、周囲230間(約420m)の立派な森であったという。
しかし、他の記録には、本来の佐野王子とは近くの王子川河畔に設けられた祓所が転じたものであるとされ、この祓所を継承したと見られる若一王子神社が明治期まで存続していた。この神社は、1911年(明治44年)10月26日付で、新宮市佐野山田の天御中主神社(あめのみなかぬし)神社に合祀廃絶された。その後も1926年(大正15年)の和歌山県の調査では、王子橋から約2町(約230m)の松林の中に3尺(約90cm)四方の小祠があったとしているが、『新宮市誌』[新宮市 1937]には倒壊して失われたと述べられている。
現在の碑は王子橋の北約80mの位置にあり、説明版が立てられている。碑の北側約10mには北条政子の宝筐印塔、地蔵群が、南側約40mには神武天皇聖績狭野顕彰碑がある。
[編集] 所在地
- 和歌山県新宮市佐野3丁目11
- 周囲は郊外型のショッピングセンターになっており、王子森の面影は見られない。
[編集] 交通機関
- 国道42号線に出て、那智方面へ約300m
- 熊野交通バスで「王子橋」バス停下車、国道42号線山側
[編集] 参考文献
- 新宮市、1937、『新宮市誌』、新宮市 → 1984、新興出版社
- 西 律、1987、『熊野古道みちしるべ:熊野九十九王子現状踏査録』、荒尾成文堂(みなもと選書1)
- ただしこの文献では、所在地を那智勝浦町内(「東牟婁郡那智勝浦町佐野字秋津野641」)としている
[編集] 関連項目
- 紀伊山地の霊場と参詣道
- 熊野信仰
- 熊野速玉大社
- 阿須賀神社
- 熊野古道 - 中辺路
- 九十九王子