併用軌道
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併用軌道(へいようきどう)とは、路面電車などで、道路上に敷設された軌道の事を指す。これに対して、道路上以外の場所に確保された軌道のことを専用軌道(あるいは新設軌道)と呼ぶ。自動車交通の普及に伴う路面電車の廃止により減少傾向にあったが、国のLRT整備の方針の下、富山ライトレールが一部区間で新たに導入している。
併用軌道では、道路上を走行するため、運転は日本においては軌道運転規則だけでなく道路交通法にも準拠して行われる。通常の鉄道と違う点はおおむね以下の通りである。
- 列車の長さは30m以下に制限される。広島電鉄の5000形(グリーンムーバー)や、4両編成で運行している京阪京津線は編成長が30mを超えるため特認を得ている。
- 最高速度は40km/h以下に制限される(特認により、これ以上の速度を出す区間も存在する)。
- 系統や行き先を車両外部に明示しなければならない。
- 複線区間では閉塞設備を要せず、目視で続行運転できる。
- 通票が存在する単線区間においても、最後尾以外の車両は続行標(続行運転を行っていることを示す、車両に取り付ける標識)を掲出して続行運転できる。(併用軌道区間でのスタフ閉塞を参照)
- 進行信号は黄色の矢印、停止信号は赤色×印。
- 自動車用の信号機にも従う。
なお、併用軌道は基本的には軌道法特許によるが、鉄道事業法(旧・地方鉄道法)に基づくものも存在する。現存するものでは江ノ島電鉄線、熊本電気鉄道藤崎線がある。いずれも元は軌道法に基づき敷設され、後に鉄道へ変更されたものである。
また、過去のものでは近鉄奈良線奈良市内(軌道法準拠より変更したもの)の他、名鉄犬山線の犬山橋、玉川電気鉄道溝ノ口線の二子橋などが該当した。なお、鉄道事業法では第61条で道路への線路敷設を原則禁止しているため、これらの多くは長大踏切扱いとして認可されていた。
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