光速度
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光速度(こうそくど、light velocity)とは、光の速度のこと。光速(speed of light)というと光の速さのみを指す。宇宙の真空中における光速の値は 299,792,458 m/s(≒30万キロメートル毎秒)。現代の国際単位系ではメートルが光速により定義されている。つまり、仮に光速が少しずれた測定値で出た場合、光の速さは変えないで、1メートルの長さを変えることになる(例えば光速が300,000,000 m/sと測定された場合、光速は299,792,458 m/sで変わらず、1メートルの長さが今の300,000,000/299,792,458倍になる)。俗に「1秒間に地球を7回半回る速さ」ともいわれる。光速度は電磁場の伝播速度でもあり、光速度が同一の媒質では不変であるということが相対性理論の根本原理になっている。
重力作用も光速で伝播することが相対性理論で予言されており、2002年に観測により確認されている(クエーサーの木星による掩蔽の観測を、重力レンズ効果の数値と比較:NASA)。
近年、光速を越える光の群速度が構成可能なことが示されたが、これは見かけ上の速度と考えてよく、光速度不変の原理とは矛盾しない。
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[編集] 光速度の測定
- 1676年にデンマークの数学者オーレ・レーマーは木星の衛星が木星に隠れる周期の変化と木星までの距離から光速を計算し約22万 km/s という値を得た。
- 1729年にブラッドリーは季節による星の光行差から光速を求めた。
- 1849年にフィゾーは地上で 8.6 km の距離を光が往復する時間を回転歯車を使って測定し、そこから光速を求めて31万3000 km/s という値を得た。
- 1850年にフーコーは回転ミラーを使った光速の測定を行った。
- 1873年からマイケルソンはフーコーの方法を改良して光速の測定を続けた。
その後マイクロ波を使う方法、レーザーの使用などにより測定の精度が高まった(参考:西条敏美「物理定数とはなにか」)。
[編集] 電磁場の伝播と光速度
マクスウェルの方程式によれば、電磁場の伝播速度は次の関係で与えられる。
- (c は一定)
ここで、ε0 は真空の誘電率、μ0 は真空の透磁率である。定数 c が光速に一致するという事実により、マクスウェルは「光が電磁波の一種である」ことを予言し、後にヘルツによって実証された。
[編集] 屈折
[編集] 水中の光速
水の屈折率は約1.33、真空中の光速度は約30万km/sであるから、水中での光速度は約22.6万km/sとなる。荷電粒子がこの速度以上で運動すればチェレンコフ放射が観測できる。
[編集] 光速の暗唱
真空中における光速の値を、全ケタ、記憶術に頼らずに暗記する方法が存在する。特に日本語では語呂合わせの要領で、非常に長い桁を暗記するのも比較的簡単である。例として、次のようなものがある。
29979 にく(憎)くなく 2458 にょうご(女御)や - m表記による値
[編集] 関連項目