助役
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助役(じょやく)は、改正地方自治法の施行に伴い2007年3月31日限りで廃止されるまで存在した、市町村において市町村長を補佐し、その補助機関たる職員の担任する事務を監督する、特別職の地方公務員である。市町村長が欠けたときにはその任務を代行する。札幌市、仙台市、横浜市、京都市、福岡市などの一部の市では対外的に副市長の呼称を用いているところもあった。2007年4月からは従前の助役の権限を強化する事などを目的として、新たに副市町村長が置かれている。
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[編集] 人数・任期
改正前地方自治法の第161条第2項において、市町村には助役を1名置くことが定められていた。ただし特別に条例で定めることで、2名以上の助役を置いたり、助役を置かなかったりすることができた。人口規模の大きい市では2人あるいは3人の助役を置くことが多く、また逆に行政改革を進める市町村では助役を置かないこともあった。近年では、合併直後の市町村が、合併前の市町村の助役を引き続き各1名任命し、助役が4名以上の多数になることもあった。
助役の任期は4年であるが、市町村長は任期内であっても助役を解職することができる。また、助役が任期中に辞職を申し出る場合、20日以上前に市町村長(市町村長が欠けている場合は市町村議会の議長)に申し出て、その承認を受けなければならない。
[編集] 選任方法・資格
助役は市町村長が指名し、市町村議会の同意を得て選任される。このため、市町村長と市町村議会の多数派が対立している場合、助役が任命できない事態が起こりうる。
成年被後見人や禁固以上の刑の執行中であるなど、公職選挙法に定める選挙権・被選挙権を有しない者は助役になることができない。衆議院議員・参議院議員やそのほかの常勤の地方公共団体職員、検察官、警察官、公安委員会委員、なろうとしている市町村が発注する業務を請け負う会社の役員等も助役になることができない。
[編集] 職務
地方自治法では、助役の職務は市町村長を補佐し、その補助機関たる職員の担任する事務を監督することとされている。具体的には、市町村長に代わって業務の詳細について検討を行なうほか、専決権によって市町村長の判断を必要としない、重要でない事案についての最終決定を行なう。複数の助役がいる市町村では、多くの場合、助役ごとに担当分野が定められており、助役は定められた分野に関して上記の職務を行なう。
収入役を置かない市町村では、助役がその職務を兼ねることができる。
また、助役には市町村長が欠けたとき、その代理をする職務もある。具体的には、市町村長が病気で入院する、逮捕された、海外出張に行くなどで容易にその意志決定ができない状態になったときに、職務代理者として市町村長の代わりに市町村の代表として業務を行なう。このとき、複数の助役がいる場合には、あらかじめ市町村長に任命された者、席次が上の者、年齢が上の者が職務代理者を勤め、それでも定まらない場合にはくじで職務代理者を定める。