特別職
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特別職(とくべつしょく)とは、日本の公務員制度においては、国家公務員および地方公務員の職(官職)のうち、法令等により一般職とは区別される職すべてをいう語である。特別職である職に就いている公務員は、法令上「特別職の職員」と呼ばれる。
国家公務員については国家公務員法(昭和22年10月21日法律第120号)、地方公務員の特別職については、地方公務員法(昭和25年12月13日法律第261号)に定められている。特別職に対して、特別職に属さないすべての職は、一般職という。
国家公務員法又は地方公務員法の定める公務員の根本基準は、原則として一般職に属する職に対して適用され、特別職に属する職に対しては適用されない。
[編集] 国家公務員
国家公務員の特別職は、選挙や国会の議決によって選出される職、任命権者の裁量により政治的に任命することが適当とされている職、任命に国会の議決もしくは同意が必要とされている職、職務の性質から特別の取り扱いが適当な職の職、権力分立の原則に基づき内閣の監督から除かれるべき立法や司法の各部門における職などが含まれる。国家公務員の特別職は様々な性質をもつ職が含まれていることが大きな特徴であり、「特別職」という括りには「一般職以外」という以上の意味は存在しない。
国家公務員法第2条第3号に列挙される特別職の職は次のとおり。
- 内閣総理大臣
- 国務大臣
- 人事官及び検査官
- 内閣法制局長官
- 内閣官房副長官
- 内閣危機管理監
- 内閣官房副長官補、内閣広報官及び内閣情報官
- 内閣総理大臣補佐官
- 副大臣
- 大臣政務官
- 内閣総理大臣秘書官及び国務大臣秘書官並びに特別職たる機関の長の秘書官のうち人事院規則で指定するもの
- 就任について選挙によることを必要とし、あるいは国会の両院又は一院の議決又は同意によることを必要とする職員
- 宮内庁長官、侍従長、東宮大夫、式部官長及び侍従次長並びに法律又は人事院規則で指定する宮内庁のその他の職員
- 特命全権大使、特命全権公使、特派大使、政府代表、全権委員、政府代表又は全権委員の代理並びに特派大使、政府代表又は全権委員の顧問及び随員
- 日本ユネスコ国内委員会の委員
- 日本学士院会員
- 日本学術会議会員
- 裁判官及びその他の裁判所職員
- 国会職員
- 国会議員の秘書
- 防衛省の職員(防衛省設置法 (昭和29年法律第164号)第42条に規定する審議会等の委員及び調停職員等で、人事院規則で指定するものを除く。)
- 独立行政法人通則法 (平成11年法律第103号)第2条第2項に規定する特定独立行政法人(以下「特定独立行政法人」という。)の役員
- 日本郵政公社の役員
このうち、人数的に多数を占めているのは防衛省職員のうちの自衛官や裁判所職員である。
[編集] 地方公務員
地方公務員の特別職は、就任に選挙による選出や地方議会の同意が必要とされている職にある者、地方公営企業等の管理的な職務にある者、委員会・審議会等の委員で臨時又は非常勤の者、非常勤の消防団員などの職が該当する。
地方公務員においては、地方公共団体の長等の任命権において任免され、長の交代などによって恣意的に罷免されないような身分保障を受けるにふさわしい職業公務員以外の職が主に特別職として分類されている。
従って、その多くが、一般的な行政事務を行う職ではなく、特定の職務を行うために公務員とされる者の就く職である。
地方公務員法第3条第3項に列挙される特別職の職は次のとおり。