大谷駅 (滋賀県)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大谷駅(おおたにえき)は、滋賀県大津市大谷町にある京阪電気鉄道京津線の駅。ほぼ同じ位置に存在した官設鉄道東海道本線の大谷駅についてもこの記事で述べる。
目次 |
[編集] 駅構造
相対式2面2線のホームを持つ地上駅。駅舎(改札口)は浜大津方面行ホーム京都寄りにあり、反対側の京都方面行ホームへは構内踏切で連絡している。
この駅は終日無人化されており、自動券売機は設けられていない。従って乗車時には改札口にある乗車駅証明書を取り、運賃は降車駅で精算することになる。但し自動改札機は設けられているため、スルッとKANSAIは他の駅同様に使用できる。なお、自動改札機は開閉式になっていない。
30パーミルの勾配上(これは日本の大手私鉄では最急勾配に位置するプラットホームである。また日本の鉄道では明知鉄道の野志駅と並び第2位)に位置するためホーム全体が傾斜しており、ベンチは脚の長さが左右で異なるという珍品である。
[編集] のりば
- ※両ホームとも有効長は4両。のりば番号は設定されていない。
[編集] 駅周辺
地形的には逢坂峠より西(京都府側)だが、滋賀県に属する。
[編集] 歴史
- 1879年(明治12年)8月18日 京都~大谷間開業により東海道本線の駅が開業。
- 1880年(明治13年)7月15日 大谷~大津(現:膳所)間開業。
- 1912年(大正元年)8月15日 京津電気軌道古川町(後の東山三条、現:京都市営地下鉄東西線東山駅)~札ノ辻(後に廃止)間開業により京津電気軌道の駅が開業。東海道本線の駅と乗換駅になる。
- 1921年(大正10年)8月1日 東海道本線馬場(現:膳所)~京都間のルート切り替えに伴い東海道本線の駅が廃止。
- 1925年(大正14年)2月1日 会社合併により京阪電気鉄道京津線の駅となる。
- 1943年(昭和18年)10月1日 会社合併により京阪神急行電鉄(現:阪急電鉄)の駅となる。
- 1949年(昭和24年)12月1日 会社分離により、改めて京阪電気鉄道の駅ととなる。
- 1996年(平成8年)11月16日 浜大津寄りに71m移設される。
[編集] 官設鉄道大谷駅
大谷駅(おおたにえき)は、新逢坂山トンネル開業前の東海道本線(一部は現在の奈良線になっている)に存在した駅。
京都~大津(この大津駅は現在の京阪電気鉄道京津線浜大津駅に近接した位置にあった)間の鉄道全通に先駆け、京都~大谷間が開業した際に設けられた駅である。
- この際のルート選定では、当時東山や逢坂山を横断するトンネルの開削技術がまだなく、また東山を直接越えると急勾配が発生してしまう(後にこのルートで開業した京阪京津線には、碓氷峠とほぼ同じ66.7パーミルの勾配が生まれた)ことから、京都から現在の奈良線のルートで稲荷駅まで南下した後、東へカーブを切って山すそを通るものが採用された。
駅は逢坂山トンネルのすぐ西側、蝉丸神社の近くに設けられ、相対式ホーム2面2線となっており、中線が1本存在した。上下線間の連絡は、跨線橋によって行っていた。
明治はじめ、京都~大津(後の浜大津)間鉄道開業前年の1879年(明治12年)8月の京都~大谷間開業時に開設、1921年(大正10年)8月に廃止された。駅跡はトンネル坑口とともにしばらく残っていて、京阪京津線の電車内から見ることができたが、現在では上を名神高速道路が通るようになっている。