渡部昇一
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渡部 昇一(わたなべ しょういち、1930年10月15日 - )は、英語学者、評論家。山形県鶴岡市出身。専攻は英語文法史。山形県立鶴岡南高等学校卒業、上智大学文学部英文学科卒業、上智大学大学院西洋文化研究科修士課程修了、ミュンスター大学大学院博士課程修了。ミュンスター大学哲学博士(Dr.Phil. 1958年)、同・名誉哲学博士(Dr.Phil.h.c. 1994年)。上智大学講師、助教授、教授を歴任して退職。上智大学より名誉教授の称号を受ける。専門の英語学以外にも、おびただしい数の歴史論、政治・社会評論を著している。地方出身の奨学金受給生から大学教授になるまでを述べた『知的生活の方法』で、一般に知られるようになる。
古書の蒐集家であり、日本ビブリオフィル会長を務める。他に主な役職としては、インド親善協会理事長、日本財団理事、グレイトブリテン・ササカワ財団理事、野間教育財団理事、イオングループ環境財団評議員、エンジェル財団理事。
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[編集] 政治的主張等
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政治・歴史に関する評論については、保守系オピニオン誌である『正論』や『諸君!』『WiLL』『voice』などへの寄稿が多い。
また統一協会系の新聞、世界日報を「この四分の一世紀の間、日本のクオリティ・ペーパーであった」と2001年1月の世界日報25周年記念メッセージで述べている[1]。 その主張・史観は一貫して保守的であることから、左派勢力からしばしばいわれのない批判を受けている。例えば「南京大虐殺は存在すらしなかった」と渡部が主張したかのように一般には思われており、南京大虐殺否定派である「まぼろし派」に分類されているが、実際には渡部は南京大虐殺における死者に関しては「ゲリラの捕虜などを残虐に殺してしまったことがあったのではないか、こういうゲリラに対する報復は世界史的に見て非常に残虐になりがちだ」と著書『日本史から見た日本人・昭和編』で述べ、死者があったこと自体は認めている。渡部が主張しているのは、中国政府が主張しているような組織的な虐殺指令がなかったことと、虐殺が行われたという目撃証言が乏しいことなどである。ただ、渡部は教科書問題などで朝日新聞・毎日新聞と劇的に対立してしまったために、マスコミの側からバッシングを受けてしまったということである。特に渡部が朝日批判を行った昭和40年代は、殆ど孤軍奮闘の有様であったために標的にされやすかったと渡部自身が自著『万犬虚に吠える』で述べている。渡部本人は河合栄次郎を尊敬していると述べている通り、単純な右翼とは一線を画する。このことから、兵頭二十八は渡部を反左派の先駆者としている。また、中国に関しては古代中国には愛着があるようで、十八史略・孫子の評釈なども行っているが、現代中国には概して批判的である。史論家としては頼山陽・徳富蘇峰・樋口清之を高く評価しており、頼山陽の日本楽府の翻訳をも行っている。
渡部は盧溝橋事件は中国共産党の陰謀などといった主張をしている他、戦前の学校で習った歴史の見方の方が正しかったと主張する(『年表で読む・日本の近現代史』)などしており、南京事件の記述については同じく右派とみなされている秦郁彦からも激しく批判されている(秦郁彦『南京事件』他)。なお秦は渡部が『ドイツ参謀本部』において内容のみならず写真までも洋書から盗用していることを指摘している(『昭和史の謎を追う』)ただし、これについては渡部本人からの反論が寄せられ、秦もそれ以後は沈黙を保っている(もっとも秦は田中正明の松井日記改竄について記述した後、その田中を支持する渡部を揶揄するようにこのことを指摘していたので、始めから特に渡部を非難する気はなかったようである。渡部は月刊『WiLL』2007年4月号でも変わらず田中正明の捏造した松井日記の南京についての記述を根拠に南京大虐殺は無かったと主張している)。秦は後日、産経新聞オピニオン面正論欄で一次資料が多数あり日本軍が謀殺したのは明白な事実である張作霖爆殺をコミンテルンの仕業などと虚偽を広める人間がいると批判しているが、これはその当日の月刊WiLLにおいてユン・チアンのマオを論拠に張作霖爆殺はコミンテルンの仕業と主張した渡部昇一のことである。 渡部の友人として関西大学名誉教授の谷沢永一がいる。渡部と谷沢は月に一回の会食をする仲であり、共著は30冊を超える。 渡部は子どもの頃から裕福な商人の長男として生まれ、自分で服を着替えたことがなく母親や祖母、姉にしてもらっていたという。また、それで新婚時代に妻に着替えを頼み驚かせたという。(渡部監修『皇室入門』)
[編集] テレビ出演
- テレビ東京の対談番組 『渡部昇一の新世紀歓談』 のホストを務める。
- 日本文化チャンネル桜の番組『渡部昇一の「大道無門」』でもホストを務める。
[編集] 主要著作
[編集] 英語・英文法
- 『英文法史』、研究社、1965年
- 「日本人にとって英文学研究は何であるか」、岡崎義恵,島田謹二監修 『日本文学と英文学』教育出版センター、1973年
- 『漱石と漢詩』(『英語文学世界叢書』)、英潮社出版、1974年
- 『英語学大系 第13巻 英語学史』、大修館、1975年
- (平泉渉と共著)『英語教育大論争』、文藝春秋、1975年
- (平泉渉と共著)『英語教育大論争』、文春文庫、1995年
[編集] 知的生活とその周辺
- 『知的生活の方法』講談社現代新書、1976年 ISBN 4061158368
- 『続 知的生活の方法』講談社現代新書、1979年 ISBN 4061455389
- 『発想法―リソースフル人間のすすめ』講談社現代新書、1981年 ISBN4-06-145634-2
- P.G.ハマトン(下谷和幸と共訳)『知的生活』講談社、1979年
- P.G.ハマトン(下谷和幸と共訳)『知的人間関係』講談社、1981年
- P.G.ハマトン(下谷和幸と共訳)『知的生活』講談社学術文庫、1991年
[編集] 社会・政治・歴史
- 『文科の時代』 (第一エッセイ集) ISBN 4163332006 ISBN 4167204010 ISBN 4569566294
- 『腐敗の時代』
- 『正義の時代』
- 『萬犬虚に吠える』
- 『教育改革はミニ・スクールで』
- 『新常識主義のすすめ』
- 『指導力の研究―組織社会を勝ち抜く法』 ISBN 4569506348 ISBN 4569560660 ISBN 4569564224
- 『日はまだ昇る―日本経済「不沈」の秘密 』(祥伝社 1990年) ISBN 4-396-10304-2
- 『田中真紀子総理待望論―「オカルト史観」で政治を読む』(PHP研究所 1994年) ISBN 4-569-54234-4
- 『日本史から見た日本人 (正・続)』 産業能率短期大学出版部、1973、1977。
- 『渡部昇一の日本史快読!』 ISBN 4898315178
- 『かくて歴史は始まる』 (ISBN 4877120017 ISBN 4837970494 ISBN 4883970175) の改題文庫化。
- 『渡部昇一の昭和史』 ISBN 4898315135
- 『かくて昭和史は甦る』 (ISBN 4877125035 ISBN 4883970264) の改題文庫化。
- 『男は男らしく、女は女らしく』ワック
- 『歴史の真実 日本の教訓』致知出版
- 『中国・韓国人に教えてあげたい本当の近現代史』徳間書店
- 『国を語る作法』PHP研究所
- 『理想的日本人』PHP研究所
- 『反日に勝つ「昭和の常識」』ワック ISBN 4898310885
- 『混迷日本を糺(ただ)す事典』日本実業出版社 ISBN 4534021674
- 『国民の教育』産経新聞社 ISBN 4594033016
- 『日本とシナ―1500年の真実』PHP研究所
- 『「反日」を拒絶できる日本』徳間書店
- 『日本史の法則―明日を予見する歴史の読み方』祥伝社
- 『ドイツ参謀本部-その栄光と終焉』[クレスト選書] ISBN 4877125124
- 『歴史の鉄則』-税金が国家の盛衰を決める [PHP研究所] ISBN 4569450945
- 『歴史に学ぶリーダーシップ』[致知出版社] ISBN 4884746031
- 『渡部昇一の「国益原論」入門』[徳間書店] ISBN 419860424x
[編集] 共著
- 『日本を蝕む人々』(屋山太郎・八木秀次)PHP研究所
- 『日本を貶める人々「愛国の徒」を装う「売国の輩」を撃つ』(新田均・八木秀次) PHP研究所
- 『愛国対論』(小林よしのり)PHP研究所
- 『広辞苑の嘘』(谷沢永一) 光文社
- 『拝啓 中国、韓国、ロシア、アメリカ合衆国』(谷沢永一)光文社
- 『子々孫々に語りつぎたい日本の歴史』(中條高徳) 致知出版社
- 『日本の黄金時代が始まる』(竹村健一・日下公人) 太陽企画出版
- 『明治の教訓 日本の気骨―明治維新人物学』(岡崎久彦)致知出版社
- 『皇室消滅 』(中川八洋) ビジネス社
- 『尊敬される国民 品格ある国家』(岡崎久彦) ワック出版
- 『日本を虐げる人々―偽りの歴史で国を売る徒輩を名指しで糺す』(松浦光修・八木秀次) PHP研究所
- 『新世紀の靖國神社』(小堀桂一郎)近代出版社