姫神さまに願いを
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『姫神さまに願いを』(ひめがみさまにねがいを)は、藤原眞莉/著、鳴海ゆき/イラストのライトノベル。コバルト文庫刊の少女向け小説。2006年7月完結。本編は全25巻。外伝・番外編なものが計10巻。現在まで総計36冊。
隔月刊発行の雑誌Cobaltに不定期に短編が掲載される。
目次 |
[編集] 概要
このシリーズは、大きく分けて『戦国時代』編と『平安時代』編に分けることが出来る。前者が物語の大筋をなす本編である。『平安時代』編はタイトルがすべて英語で、主人公は安部晴明である。簡単に言えば、本編の主人公2人の前世と過去がからんでくる。
[編集] あらすじ
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
(キャストはドラマCDのものです。)
- カイ:(関智一)
- 主人公。元は天台宗の総本山である比叡山延暦寺に所属していた有髪僧(うはつそう)。20歳になったときに山を降りて旅に出た。その途中道端で死んだように眠っていたテンと出会い、共に旅をすることになった。童顔が悩みの種で、梅干しと大豆が好物。テンによって鋼と50年の不老の呪をかけられた。清和源氏の血を引く足利一門の落胤(らくいん)。
- テン:(ゆかな)
- ヒロイン。道端で眠っていたところをカイに発見された。初対面時は「八幡宮にお仕えする少女巫女」と名乗っていたが、その本性は八幡神の眷属である星神・摩多羅だった。性別・年齢・容姿は自由自在。普段は10代の外見をした美少女。童顔で悩んでいるカイへ追い討ちをかけるように50年の不老の呪いをかけた。カイとは前世から深い縁がある。
- ハル(安倍晴明):(神谷浩史)
- 大陰陽師。けして幽霊ではなく、陰陽道の神様として10代なかごろの姿をとって現れる。どこにでも現れるわけでもなく、自らの末裔である土御門家の祭壇や自らを祀った神社などに多く現れる。それ以外では火急の事態が起こった時などに2人の前に現れる。彼もまたテンやカイと前世からの深い縁がある。ちなみに作中では『せいめい』ではなく『はるあき』と読む。
- マナ(未那)・アラヤ(阿頼耶)
- 摩多羅神(テン)の眷属である童子で、マナが男でアラヤが女。元は人間だった。普段は6~7歳ほどの外見をしているが、過去に1度人間だった頃の記憶が戻りその時の姿になった。
- ルイス=フロイス
- キリスト教の司祭である南蛮人を父に、女神カーリーに仕える真白の巫女である天竺人(インド人)を母に持つ両性具有(アンドロギユノス)。カイとテンの前に現れたときは、日本での育ての親が名づけた『燿夜(かぐや)』という名前を名乗っていた。現在はとある術のおかげで、女としての性を人形へと移し、『累(かさね)』という名で、又は小姓の森蘭丸として織田信長のもとに仕えている。ルイス本人も時折現れる。安部晴明の転生者。
[編集] 平安時代編
内容は上記したとおりだが、あくまでカイにとっては記憶のない『前世』で、テンにとっては『過去』である。
[編集] 登場人物
- 安倍晴明
- 母譲りの容姿と類稀なる才能を持つ、25歳の天文生。趣味は父・保名を奇妙奇天烈な式神たちで起こすこと。
- 安倍保名(やすな)
- 晴明の父。不惑の年齢(40歳)も過ぎているのに30代にしか見えない超童顔が悩みの種である殿上人。10数年前に姿を消した妻一筋の人。カイの前世。
- 葛葉
- 晴明の母であり、保名の妻。元は熊野の和泉信太の森を統べていた荼枳尼天(ダキニ)系列の辰狐。負傷したところを保名に助けてもらい、その恩を返すために美女に変化して保名の前に現れた。やがて晴明を生んだが、その息子に本来の姿を霊眼で見抜かれ、『こひしくは たずねきてみよ いずみなる しのだのもりの うらみくずのは』の歌を残し掟に従い姿を消した。テンの過去。
[編集] そのほか彼らと縁がある人々
- 梛子
- 安部家に居候している女童姿の狐精。元は普通の狐だったが、死霊となり、特殊な術のせいで人の形を取っている。時折成長する。後に太陰の神妻となる。大食らいにして破壊魔。
- 陵王
- 14~15歳ほどの年齢の晴明の妻。男装の美少女。元は隠国(こもりく)の奥里に住んでいる一族の、兎精を祖(おや)に持つ巫覡の長で、真紅の目を持つ100年に一度の奇跡の巫女姫だった。本来ならば生贄として太陰の大王に捧げられるはずが、儀式を晴明が邪魔をしたのと、彼女自身が不完全な巫覡だったため、晴明に妻として下された。ちなみに『陵王』というのは通称で、名前は晴明がつけるまでなかった。晴明がつけた名前は『椿』。
- 賀茂保憲
- 晴明の4歳年上の師匠であり、当代一の陰陽師と称される青年。いつも穏やかな微笑を浮かべているが、本心は謎。たいへんな愛妻家で、惚気話は星の数ほどあるらしい。
- 多冶比文子
- 蝮を祖に持つ多冶比の家の巫女姫で、保憲の妻。とある縁で北野火雷天神(菅原道真)を斎う身となる。目元に巫覡である証として、赤い刺青(?)がある。
- 白山華
- 晴明が幼い頃助けた猫。名前の通り色は白い。いつの間にやら虎に変化できるようになった。梛子とよくケンカする。
[編集] 備考
この番外編の特徴としては、上記したとおりタイトルがすべて英語というのもあるが、さらにこの番外編すべてのタイトルに、『Shine』(光、太陽。晴明のことを指すと思われる)がつく。また作中では、賀茂保憲と多冶比文子は夫婦とあるが、この作品の中だけでの設定なので注意。ただし2人とも実在の人物である。 また平安時代編のさらに番外編として、『清少納言 梛子』というシリーズも存在する。2005年12月現在第三巻まで刊行。 主人公はタイトルのとおり、平安時代編に登場した狐精の梛子ではあるが、『清少納言』として大内裏の登華殿に住まう中宮藤原定子に仕えている。無論、梛子の性格や容姿も異なっているし、わずかながらに時代も異なる。しかし、『清少納言』としての梛子は狐精としての梛子が転生したわけではない。あくまで同一人物である。
[編集] 作品
[編集] 戦国時代・本編
- 第一部
- 『姫神さまに願いを』(1998年6月)
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- 『姫神さまに願いを 享楽の宴』(1998年10月)
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- 『姫神さまに願いを 浪の下の都』(1999年1月)
- 第二部
- 『姫神さまに願いを 鏡語りの森』(2000年2月)
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- 『姫神さまに願いを 巡恋夏城』(2000年6月)
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- 『姫神さまに願いを 血誓の毒』(2001年1月)
-
- 『姫神さまに願いを 月の碧き燿夜 前編』(2001年6月)
-
- 『姫神さまに願いを 月の碧き燿夜 後編』(2001年8月)
- 第三部
- 『姫神さまに願いを 秘恋夏峡』(2002年1月)
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- 『姫神さまに願いを 殉血の枷』(2002年4月)
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- 『姫神さまに願いを 遠国散る恋華 前編』(2002年12月)
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- 『姫神さまに願いを 遠国散る恋華 後編』(2003年1月)
- 第四部
- 『姫神さまに願いを 荊いだく蝶』(2003年6月)
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- 『姫神さまに願いを 空参鳥の幻』(2003年12月)
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- 『姫神さまに願いを 空葬の瞳』(2004年3月)
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- 『姫神さまに願いを 雪去りの紅』(2004年5月)
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- 『姫神さまに願いを 藍ちぎる瑠璃』(2004年8月)
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- 『姫神さまに願いを 緋承ぎの形代』(2005年1月)
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- 『姫神さまに願いを 摘みし緋の扉』(2005年3月)
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- 『姫神さまに願いを 虚白の磐座』(2005年5月)
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- 『姫神さまに願いを 夢者の孤国』(2005年8月)
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- 『姫神さまに願いを 形見の夢標』(2006年1月)
-
- 『姫神さまに願いを 久遠の夢の涯』(2006年8月)
- 番外集
- 『姫神さまに願いを 様々果恋草子』(2005年11月)
[編集] 過去編・将門編
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- 『姫神さまに願いを 永遠国ゆく日』(1999年12月)
[編集] 過去編・鎌倉編
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- 『姫神さまに願いを 夢路の剣』(2000年4月)
[編集] 晴明編
-
- 『Prayer of Shine ~光の祈り人~』(2001年5月)
-
- 『Ever Blooming Shine』(2002年3月)
-
- 『Pine After Shine』(2002年7月)
-
- 『Farewell Shine』(2003年5月)
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- 『Lost Shine 前編』(2003年8月)
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- 『Lost Shine 後編』(2003年9月)
- 番外集
- 『Jumble Up Shine』(2004年7月)