宅配便
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宅配便(たくはいびん)とは、比較的小さな荷物を各戸へ配送する輸送便で、路線トラックにおける事業うち、特別積合せ事業の一形態。荷主の戸口から届け先の戸口までの迅速な配達を特徴とするものである。
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[編集] 宅配便の仕組み
大まかには、次のようなシステムによって荷物が届けられる。
- 発送を依頼する荷物は、街中や住宅地などでよく見かける宅配便事業者の配送車両によってコンビニエンスストアなどの発送窓口や、直接依頼者から集荷されて、各事業者の営業所に運ばれる。(あるいは、依頼者が直接営業所へ荷物を持ち込み、発送を依頼することもある。)ここから、複数の営業所を統轄する、「トラックターミナル」(郊外や埋立地などに存在する広大な輸送拠点で、かつての貨物列車でいう操車場の機能を持つ。)まで輸送され、発送先や輸送手段(一般、タイム便、航空便など)ごとに振り分けが行われる。
- 振り分けられた貨物は方面別にパレット単位で集約され、主に、深夜に高速道路を走る長距離大型トラック(場合によっては途中区間に飛行機やフェリー、鉄道コンテナなどを使うこともある)によって運搬される。この長距離大型トラックは、路線バスや鉄道と同じく、起点(どこのトラックターミナルから出発するのか)・終点(どこのトラックターミナルまで行くのか)・経由地(途中で立ち寄るトラックターミナルはどこか)などが決まっており、鉄道や路線バスに時刻表があるのと同じく、運行計画に基づいて計画的に輸送されることから、「路線トラック」(路線バスの貨物版と言ったところ)と呼ばれている。
- 「路線トラック」により、配送先に近い区域のトラックターミナルに荷物が到着すると、配送先を管轄する営業所ごとに荷物を振り分けて、再び各営業所までトラックで運ばれる。
- 配達を担当する営業所では、届け先の住所や希望する時間帯によって荷物を小分けし、(1)で登場した配送車両によって相手先まで届けられる。
末端の集配作業は、ヤマト運輸以外の宅配便会社は、地方によってはいわゆる「赤帽」などの軽トラック運送業者などに委託している場合がある。
複数の路線トラックに積み替えて貨物が輸送される場合もあるため、貨物の輸送経路を適切に把握する事が重要である事から、荷物には一連番号が与えられ(伝票に記載)引き受けから、営業所やトラックターミナルへの到着、大型トラックへの積み込み、配達など各ポイントを通過するごとにコンピュータに入力され、現時点のステータスが分かるようになっており、発送者が伝票番号を基に貨物の輸送状況を問い合わせる事が可能である。
荷物の到着日数は、距離にもよるが、離島やへき地以外であれば、最短でだいたい翌日~翌々日には届く。
発送の窓口としては、身近にあるコンビニエンスストアが挙げられるが、企業や自宅まで取りに来てくれる集荷サービスもある。最近では、インターネットや携帯電話を通じた集荷依頼サービスも登場している。
運賃は、郵便小包同様に宛先地域と重量、大きさなどによって決められる。特別に急ぐ場合などは追加料金を支払うことで飛行機などの高速な輸送手段を使い、短時間で配達することができる。急がない場合の期日指定や時間指定は追加料金がかからない。通信販売企業などで発送量が多い場合、一般よりも安い特別な割引運賃が適用されているといわれている。特殊なケースでは県内や近県限定で500円均一といった運賃で受け付けるところもある。
[編集] 歴史と背景
宅配便が始まるまでは、個人が簡単に荷物を発送するためには、郵便小包(ゆうパック)か、鉄道を利用した鉄道小荷物(チッキ)しかなかった。それらは、郵便局または駅で荷物の発送をしなければならず、さらに、鉄道小荷物は駅で受け取る必要があった。それらを使わない場合は、通運を利用するしかなかった。
1927年鉄道省と運送業者が始めた集荷・配達を行う特別小口扱(宅扱)が 日本最古の宅配便(にあたる)とされている なおこのサービスは1942年廃止されている。 民間では三八五貨物(現在の三八五流通)のグリーン宅配便についで、 1976年1月20日、大和運輸(現在のヤマトホールディングス)が「宅急便」のサービス名で行ったのが、宅配便のサービスの始まりである。最初は関東地方のみで、1日目の取扱量は11個だった。
1980年代に入ると、店舗網の拡大が始まったコンビニエンスストアを発送窓口にしたり、宅配便の対象地区の拡大や高速道路網の拡充による配送時間の短縮化に連動して急速に取扱量が増えた。この過程で、1978年頃から日本通運など他社大手輸送会社も同様のサービスを開始した。この際、参入した各社が動物(黒猫、ペリカン、飛脚、カンガルー、小熊など)をシンボルマークに用いたことからこれらの会社間の熾烈な競争は「動物戦争」とも呼ばれた。また、これに伴い鉄道小荷物は競争力を失って1986年11月に廃止されている。
宅配便(実際には「宅急便」)の普及にともない、小口の貨物輸送サービスに競争原理が働き、単なる輸送だけではなく、下記のような新規サービスの提供などが行なわれるようになった。
- スキー場やゴルフ場等への用具の配送
- 空港へ、あるいは空港からの手荷物の配送
- 生鮮食品の配送のための冷蔵・冷凍小荷物配送(クール便)
- 期日、時間指定配送(特に急いで配送したい場合や、配達先の都合の良い時間帯や期日(例・在宅している夜間や日曜日など)に配達を行いたい場合)
- 地域限定の即日配送(特に急いで配送したい場合のほか、送り先の距離が短い場合、通常運賃で午前中に集荷→当日夕刻以降に配達可能な地域がある)
- 通信販売の代金決済(コレクト)サービス
など
なお、最初に宅配便サービスを開始したヤマト運輸(法人格としては、現在のヤマトホールディングス)のシェアが大きく、ヤマト運輸のサービス名「宅急便」と混同されやすいが、あくまでも一般的な名称は宅配便である。
[編集] 主な会社とサービス名
[編集] 国内宅配便
- 業界1位 ヤマト運輸「宅急便」
- 業界2位 佐川急便「佐川急便」(通常便)「飛脚○○便」
- 業界3位 日本通運「ペリカン便」
- 業界4位 福山通運「フクツー宅配便」「パーセルワン」
- 業界5位 西濃運輸「カンガルー宅配便」「カンガルーミニ便」
他、日本郵政公社(ゆうパック)、名鉄運輸(小熊の名鉄宅配便)、西武運輸(西武宅配便)、トナミ運輸(パンサー宅配便)、岡山県貨物運送(オカケン)(ハート宅配便)、近物レックスなどがある。
日本の市場規模
- 2004年度 :28億4894万個(前年度比1.6%増)
- ヤマト運輸10億6305万個(前年度比5.1%増)
- 佐川急便9億4322万個(前年度比1.9%増)
- 日本通運3億6228万個(前年度比4.9%減)
ヤマト運輸と佐川急便の「二強」への集中が進行している。
なお、かつて業界3位に食い込んでいたフットワークインターナショナルは2001年に倒産しており、現在は宅配便業界から事実上撤退している。
[編集] 国際宅配便
- DHL
- ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)
- フェデックス(FedEX)
他
[編集] メール便
メール便の項を参照されたい。