寿限無
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寿限無(じゅげむ)は、早口言葉、あるいは言葉遊びとして知られる古典的なネタであり、有名な落語の前座話。
生まれた子にめでたい名前を付けたいという話になり、とにかく「長い」名前を付けようととんでもない名前を付けた、という笑い話。縁起のいい言葉を紹介してもらいどれにするか迷って全部付けてしまった、という筋の場合もある。
NHK教育テレビ「にほんごであそぼ」が取り上げたことや、2004年1月1日に発売された、若手落語家グループの大江戸台風族(林家久蔵、柳家甚語楼等のユニット)がこの落語をラップ調にアレンジした楽曲「JUGEM」(同年7月7日にラサール石井をゲストに迎えた「ジュゲム~こち亀バージョン~」も発売)で子供達の間で大人気。
2003年10月12日の笑点の2問目で寿限無の問題が出た(名前を全部、きちんと言わなければならない)。これはにほんごであそぼで子供達の間で寿限無の名前を覚えるのが流行していたからである。この寿限無の問題は子供達の見本にとても良いと視聴者から好評だった。
なお「寿限無」「たらちね」を混ぜた「寿限たら」がある。三笑亭夢之助作。
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[編集] 代表的な例
以下はこの噺の主人公である赤ん坊に付けられる「名前」の一例である。日本で最も長い名前、としてしばしば語られる。
- 「じゅげむじゅげむごこうのすりきれかいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつくうねるところにすむところやぶらこうじのやぶこうじぱいぽぱいぽぱいぽのしゅーりんがんしゅーりんがんのぐーりんだいぐーりんだいのぽんぽこぴーのぽんぽこなーのちょうきゅうめいのちょうすけ」
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- 寿限無、寿限無
- 五劫の擦り切れ
- 海砂利水魚の
- 水行末 雲来末 風来末
- 食う寝る処に住む処
- やぶら小路の藪柑子
- パイポパイポ パイポのシューリンガン
- シューリンガンのグーリンダイ
- グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
- 長久命の長助
(ここでは、NHK教育テレビ「にほんごであそぼ」での紹介例に漢字を当てた。)
なお、落語家によって、一部細かい部分での違いが見られる。
[編集] 解説
- 寿限無
- 限り無い長寿のこと。
- 五劫の擦り切れ
- ごこうのすりきれず、とも。
- 「劫」(カルパ)とはインドまたは仏教説話の時間の単位。 →劫
- 海砂利水魚
- 海の砂利や水の魚のように数限りないたとえ。
- 水行末雲来末風来末
- 水、雲、風、の来し方行く末。
- やぶら小路の藪柑子
- やぶらこうじのぶらこうじ、とも。
- 「やぶらこうじ」とは藪柑子(やぶこうじ)で生命力豊かな縁起物の木の名称。
- 「ぶらこうじ」はやぶこうじがぶらぶらなり下がる様か(?)
- シューリンガン、グーリンダイ、ポンポコピー、ポンポコナー
- 唐土のパイポ王国の歴代の王様の名前でいずれも長生きしたという架空の話から。グーリンダイはシューリンガンのお妃様で、あとの2名が子供達という説も。
- 長久命
- 文字通り長く久しい命。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
子供の長命を願って無量寿経にちなんで縁起のよい名前をつけたはいいが、その子供が水におぼれてしまい、周りの子供が助けを呼ぶためにその子供の名前を繰り返して言ううちに、時間が長々とかかってかえって助けるのが遅れ、結局溺れ死んでしまったという内容の話。前座噺であり、噺の内容に興趣があるというよりも落語家の訓練のためという色彩が濃い。しかし早口言葉の面白さがあり、前座噺のなかではよく知られたもののひとつである。
また、喧嘩にその子供が巻き込まれてその話をするのに、名前を繰り返して言ううちに時間が長々とかかって、気がついたら喧嘩が収まっていたという話もある(落語絵本 じゅげむ(ISBN 4-90-637980-x)・川端誠]著より)。
ほかにも、入学式の朝、家を出る前の支度に戸惑う子供に母親が何度も名前を呼びかけていたら卒業式になってしまったという展開も存在する。
[編集] 寿限無に由来する事物
有名であるため、寿限無を元にした命名が様々なものになされている。代表的なものとして、『スーパーマリオ』シリーズに登場するジュゲムやパイポ、ゲーム雑誌『じゅげむ』など。
[編集] 関連項目
- Brfxxccxxmnpcccclllmmnprxvclmnckssqlbb11116 - 長い名前をつけようとした例
- パブロ・ピカソ - 長い洗礼名
- くりぃむしちゅー - 旧コンビ名が「海砂利水魚」