山本純ノ介
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山本 純ノ介 (やまもと じゅんのすけ、1958年 - ) は、日本の現代音楽の作曲家。千葉大学教育学部音楽科助教授。
目次 |
[編集] 略歴
父は作曲家で指揮者の山本直純、母は作曲家の山本正美、弟はチェロ奏者の山本祐ノ介。祖父は作曲家・指揮者であり音楽教育者の山本直忠。曾祖父はヴァイオリニストの大橋純二郎という音楽一家に生まれる。1998年から千葉大学教育学部音楽科助教授。
[編集] 作曲理念
本人の説明では「音楽は崇高な祈り」とある。
[編集] 作風
[編集] 概要
山本純貴は、伝統的な西洋音楽の延長線に立った、日本人としての現代音楽を作曲している。西洋の音楽に深く傾倒する一方でその音楽が変容しオリエント的な時間感覚や持続性による楽曲構造、旋律線が示される一方、日本人のアイデンティティの探求と、その精神的持続がもう一方の柱として山本純貴の現代音楽作品を貌にする。
いずれの作品も変容する西洋の語法、東洋の精神性を伴った、ユーラシア的な大きい尺度をもった楽想の展開が特徴だ。トナール、アトナールといった区別の領域はなく、『調性は無調に包括されている』といった、特殊な音楽観も個性的な作品を産む源泉だ。『全ての表現方法は美のために使い尽くされるべきだ』との信念が個々の楽曲をささえている。作曲は『音楽による、時間の凝縮への挑戦』と捉えている。
これらは全て本人、または本人の関係者の弁であり、実際の作曲技法は日本の旋法主題からの展開をよしとする芸大アカデミズムがベースとなっている。デビュー時はアジア色は希薄であったものの、近年の作品では旋法性がさらに推進され、より多くの聴衆に訴える様式へ帰結している。ギリシアの若手作曲家が今でも旋法性に固執するのを間近で見たことが、衝撃と映っている可能性が高い。
[編集] 解題
太陽のプロミネンスから着想された、中国の琵琶(PIPA)を独奏楽器にした管弦楽曲「紅焔」は中国の伝統楽器を、管弦楽と融合させている。音勢の弱いこの伝統楽器を、巧みな管弦楽の技法、技術で協奏的作品に仕上げている。法顕伝交響曲、交響曲三番五重塔といった管弦楽作品は、東洋、ユーラシアや一部オリエントの楽想を自らに取り込み現代の音楽として昇華し具現している。
2004年、世界的に有名なベルリンフィルからなる、クラングフォルムベルリンによって、演奏された『山本純貴個展2004東京』は、20年以上の歳月に積み重ねられた室内楽作品を発表した。特に新作のクラリネット独奏による、「語り」は日本の浄瑠璃から、着想され、浄瑠璃の地、節、詞から、豊かに発想を広げた作品で、稀に見る、演奏表現の多様さを要求した作品。東洋的な斬新な切り口の旋律が新たな、現代クラリネット独奏作品として観客を魅了し、楽器の表現方法の領域を広げたと言える。
ピアノのための絶対音楽、独奏チェロのためのKaligraphie㈼はそれぞれ、個性豊かで独創性を強く重視した作品(音楽之友社刊)。両曲とも作品の規模は大きく東洋の精神的持続に立脚した西洋音楽の技法によるユーラシア的イデオムの強い作品である。
アンサンブルの作品「碑文(EPITAPH)」はギリシャ人の詩人ジョージセフェリスの詩をテキストにした、無調と調性の狭間を浮遊し、その融合を目指した。ヨーロッパとアジアの境界に位置するギリシャと極東の日本。両国の文化芸術には、ともに西洋と東洋の重層性から生まれた独自性が生きずいている。『西洋文化発祥の地』であるギリシャは4世紀近くにわたり、オスマン=トルコの支配を受け、19世紀前半に独立し再び西洋の文化を受容した。日本には史上幾たびか外来の音楽が流入し、特に19世紀後半以降は在来の音楽との接触からつねに独特の音楽状況が生み出されてきた。ギリシャと日本、アジアの起点と終点に位置する両国の芸術のコラボレーションである。
[編集] 代表作品
- 管弦楽作品;「法顕伝交響曲」「交響曲三番五重塔」「迦樓羅〜黎明の響き〜」など。
- 室内楽作品;「ピアノのための絶対音楽」「カリグラフィー㈼」「借景」「EPITAPH」「語り」「無伴奏ヴァイオリンのための音楽」など。
- 混声合唱組曲「光葬」
- 混声合唱組曲「季霊」
- 混声合唱とピアノのための組曲「万象」
- 混声合唱組曲「心象の海」
- 無伴奏混声合唱組曲 1
- 同声合唱「二億年ずつ23回」「西風来来」など