戸井線
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戸井線(といせん)は、北海道函館市の函館本線五稜郭駅から戸井町(現函館市)の戸井駅までを結ぶ計画であった未成線である。
[編集] 概要
改正鉄道敷設法別表128号に「渡島國函館ヨリ戸井ニ至ル鐵道」として規定されていた予定線であった。戦時中の1937年に、船舶輸送の短絡化(戸井町から青森県大間町への航路を利用)や、戸井町に要塞を建設するといった軍事的な目的で建設が開始された。9割方の路盤が完成していたものの、戦時中ということもあり資材不足のため1943年(昭和18年)に工事を中断。結局建設は再開されないまま中止となった。駅は終点の戸井駅を含めて9駅が予定されていたという。その後青函隧道計画が持ち上がった際に東ルート案ではこの区間を通ることになっていたため、1968年(昭和43年)に西ルートに決定するまでは地図にも予定線として記載されていたと思われる。西ルートに決定したことで戸井線開通の可能性は消えてしまったがもし東ルートに決定していれば工事を再開し開通していたと思われる。戸井線はレールを敷設されることはなく、青函トンネルに転用されたのは美幸線のレールである。
深堀町テーオーストア前(日吉が丘通・柏が丘通交点)~有斗高校北~湯川町国道278号交点間を結ぶ歩行者自転車専用道路「緑園通り」は、戸井線の遺構を函館市が買い取って遊歩道にしたものである。2007年現在でも、緑園通りの他に戸井線建設のための橋やトンネルが多数残されているが、戦時中の粗悪なコンクリートが使用されていることに加え長年放置されたことで老朽化が激しく、崩落の危険があるものも出てきている。アーチ橋の真下近くにも住宅があり崩落すれば死傷者がでることも懸念される。
大間側でも連絡する鉄道(大間線)が計画されており、その一部として大畑線が建設されていたが結局大間までは至らず、既開業区間の下北駅~大畑駅間も1985年に下北交通に転換、2001年に廃止された。
[編集] 路線データ
- 管轄:日本国有鉄道
- 路線距離(営業キロ):五稜郭~戸井 29.2km(着工区間 26.4km)
- 駅数:10(起終点駅を含む。)
- 軌間:1067mm
- 全線単線
- 電化方式:全線非電化
- 閉塞方式:タブレット閉塞式
[編集] 予定駅一覧
五稜郭駅 - 東五稜郭駅 - 湯の川駅 - 銭亀沢駅 - 渡島古川駅 - 石崎駅 - 小安駅 - 汐首駅 - 弁財駅 - 戸井駅
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