故郷 (唱歌)
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故郷 (ふるさと)は、文部省唱歌の一つ。1914年(大正3年)の尋常小学唱歌の第六学年用で発表された。当時は尋常小学唱歌の性格上、作詞作曲者が明かされていなかったが、高野辰之作詞、作曲者は岡野貞一(であるとされている。ただし岡野作曲説は学問的には疑わしい。岡野貞一の項参照)。
同じ作詞・作曲者の手による『朧月夜』、『春の小川』などと共に、文部省唱歌を代表する曲として現在でも世代を超えて歌い継がれている。
子供の頃の野山の風景を遠い地から懐かしむという内容になっており、生まれ故郷から離れて学問や勤労に励む人の心情を歌っている。この内容と、唱歌で教えられ始めた時期から、日系人1世はこの歌に涙する人が多い。
他の唱歌にも共通していえる事であるが、歌に現れる場所や人は特定のものではなく、「かの山」などと表現されている。このため、多くの人がそれぞれの山や川、父母を思い浮かべる事ができ、共感できる。これが、この歌が場所と時代を超えて歌われ続けているゆえんであろう。
高野の出身地である長野県中野市(旧下水内郡豊田村)と、岡野の出身地鳥取県鳥取市に歌碑がある。
[編集] 歌詞
- 兎追いし かの山
小鮒(こぶな)釣りし かの川
夢は今も めぐりて(としつき)
忘れがたき 故郷(ふるさと) - 如何(いか)に在(い)ます 父母
恙(つつが)なしや 友がき
雨に風に つけても
思い出(い)ずる 故郷 - 志(こころざし)を はたして
いつの日にか 帰らん
山は青き 故郷
水は清き 故郷