新宝島
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『新宝島』(しんたからじま)は、1947年に手塚治虫が発表した漫画。原作・構成/酒井七馬、作画/手塚治虫。書き下ろし単行本(貸本漫画)。
目次 |
[編集] あらすじ
亡くなった父親の書類箱から宝の地図を見つけたピート少年は、知り合いの船長とその島へ行こうとするが…
[編集] 単行本
- 冒険漫画物語 新宝島
- 昭和22年01月30日、育英出版発行。発行部数40万部を記録した。現存するものが非常に少なく、現在では藤子不二雄の「UTOPIA 最後の世界大戦」と共に日本で最も(相場が)高い単行本とされていてる。市場価格は初版本で250万円~300万円。発行時期によって装丁が一部異なる。
- 初版/表紙の「宝」の文字が、旧字体の「寶」になっている。ローマ字表記は「SHIN TAKARAJIMA」。
- 再版/現在一番流通している。この版のみ、ローマ字表記が「SHIN TAKARAZIMA」になっている。
- 赤本/表紙のタイトルのレイアウトが大きく変更され、全体的に表紙に赤色が多用されている。副題が「長編冒険漫画物語」となっており、作者名が手塚治虫のみの掲載。紙質も悪い。ローマ字表記は「SHIN TAKARAJIMA」。テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」では、昭和26年の重版が30万円と評価された[1]。本の厚さは初版の半分以下。
- ジュンマンガ①
- 昭和43年頃発行。文進堂発行の漫画研究叢書。西上ハルオの手でトレス版が発行されている。「①」と書かれているが、2号以降は出版されていない。これも発行時期によって装丁が微妙に異なる。
- 手塚治虫漫画全集MT281 新宝島
- 昭和61年10月03日、講談社発行のリメイク版。元本をもとに、手塚治虫自身で全て書き直されている(後述)。
[編集] 登場人物
- ピート
後に他作品でケン一少年として登場。
- 船長
- ピート少年の父親の友人。船を操り、ピート少年と共に冒険の海へ。
後に他作品にブタモ・マケルとして登場。同年『火星博士』でもケン一少年とコンビを組むが、酒井七馬のクレームにより同作品をもってコンビ解消となる。
- 犬(パン)
- ボアール
- 片手片足の海賊。昔、ワニザメと格闘した際に片輪に。
後に『バンパイヤ』で警官隊長として登場(片足)。『ブラック・ジャック』の「青い恐怖」ではピート少年と親子役で共演している。
- バロン
[編集] 書き換え
本作品は、講談社の手塚治虫漫画全集出版時の書き直しの際、多くの書き換えがされている。
- 三段組から四段組に変更。一部のコマは、その都合で前後されている。
- 犬との出会いが船の中→波止場へ行く途中の道路
- 「冒險の海へ」「海賊船」などのサブタイトルの削除。それに伴い目次も削除。
- 手塚自身で書いたものではない書き文字の削除。
- 単行本出版時に書き換えられたターザンの顔の修正
- ラストシーンの追加
その他、多くの書き換えが施されている。
[編集] 影響
本作品は、それまでの漫画の「単純」「短い」といった常識を打ち破り、生き生きとしたドラマが描かれていた。本作品を読んで漫画家を志した読者も多い(藤子不二雄、楳図かずおなど)。
[編集] その他
手塚が虫プロダクション社長時代にスペシャルアニメとして制作・放映した『新宝島』は本作とはまったく関係がなく、スティーブンソンの『宝島』を翻案したものである。詳細は「新宝島 (テレビアニメ)」を参照。
[編集] 参考資料
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