新恐竜
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『新恐竜』(しんきょうりゅう、THE NEW DINOSAURUS: AN ALTERNATIVE EVOLUTION)は、スコットランド人の地質学者でサイエンスライターである、ドゥーガル・ディクソン(Dougal Dixon)の1988年の著作。英語の原題の副題を日本語訳すると『もう一つの進化』。
本書は6500万年前に大量絶滅が起こらず、猶も地球に君臨し続ける恐竜達の姿を考察したものである。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] その前提
6500万年前に恐竜が絶滅せず、そのまま進化し続けたという設定である。
大量絶滅に相当する大異変は起きなかったものの、その後の生存競争や環境の変化によって滅びた種は少なくなく、作中描写される恐竜などの生物はそれらに耐えて生き延びた(と、執筆時に設定された)種の子孫に限定されている。
[編集] 地理区分
半ば当然ながら、恐竜が生態的地位(ニッチ)の多くを占めた状態では人類は進化でき様もない。しかしながら、系統立てて内容を構成する為、また地質年代的には現実の現代と同じである為に現行の生物地理区を便宜上用いており、次の様に分けらている。現行8区の内、オセアニア区についてはオーストラリア区の節に含められており、南極区は項目が無い。
[編集] その描く所
本作では絶滅を免れた恐竜達がその後の地球環境の変化に合わせて進化した事が描写されているが、翼竜や首長竜の様な中生代の代表的大型爬虫類も同じく生き延びた事に設定されており、様々なニッチに広がっている様が描かれる。
- アフリカサバンナで植食生物の地位を恐竜から奪い取った陸生翼竜
- マダガスカル島の閉鎖環境で既存種よりも小型化した恐竜達
- 新たな樹上性恐竜の分類群、アルブロサウルス類
- 地峡によって新北区と地続きになり、既存種が追いやられる新熱帯区
また中生代からほとんど進化していない小さな哺乳類を始め、爬虫類以外の生物も少数ながら紹介されている。詳細は新恐竜の生物一覧を参照。
[編集] 留意点など
元々恐竜という未だ解明が完全でない分野に題を取っている為、現在の目で見ると本書の古生物学的情報には少々難があることに注意したい。
[編集] 関連深い作品
ディクソンは本書以前に、人類絶滅の5000万年後の地球の生物を描いた『アフターマン』、本書以後も現生人類が絶滅せずにそこから進化、種分化した生物を考察した『マンアフターマン』、専門家チームとの合作『フューチャー・イズ・ワイルド』などを手掛けており、いずれも仮想の条件の下で進化した生物を取り扱っている。
[編集] 各種日本語版
- 『新恐竜 -進化し続けた恐竜たちの世界-』ISBN 4478860505(新装版:ダイヤモンド社、監修:疋田努、訳:土屋晶子)
- 『新恐竜 -絶滅しなかった恐竜の図鑑-』ISBN 4900416509(旧版:太田出版、訳:楠田枝里子)