科学
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- 学問の分野、名称の1つ。本稿で記述。
- 岩波書店の月刊誌。
- 学習研究社が発行する小学生向けの教育雑誌。n年の科学(n=1~6)というタイトルになっている。学年毎に分かれている。毎号付録の教材が付くのが有名。姉妹誌にn年の学習。科学と学習を参照。
科学(かがく、 science)は、ラテン語のスキエンティア(scientia、知識)に由来する概念で、体系的で実証的な学問の総称である。
- 1. 広義には広く自然科学、人文科学、社会科学の総称である。
- 2. 狭義には「客観性」、「論理」的な推論の過程を重視する学問的態度を科学とし、またそれにより得られた知そのものを指す。(科学的手法を参照)
- 3. さらに狭義には自然科学のことを指す。
目次 |
[編集] 語の用法
「science」という単語は17世紀の科学革命のころまでは、知識や学問という意味で使われ、観察や実験に基づく体系的な学問(自然科学)という意味では使われていなかった。観察や実験に基づく体系的な学問(自然科学)という意味では、自然哲学(natural philosophy)や実験哲学 (experimental philosophy) の語が使われていた。
観察や実験に基づく体系的な学問(自然科学)という意味でも「science」が使われるようになったのは、19世紀からのことであり、今日では便宜上19世紀以前の自然哲学の諸研究も自然科学の一部として分類し扱っている。
[編集] 日本における「科学」
「科学」という語は、明治時代に日本で、啓蒙家の西周 (にし あまね) によって「science」の訳語として作られた造語で、多くの専門(=科) に分かれた学問(=学) の総称のことである。
(当時は「科學」と旧漢字で表記されていたのが、漢字制限(当用漢字、常用漢字、教育漢字)により「科学」と書くことになり、現在に至っている)
この語が日本から中国に輸出され、中国でも「science」の訳語として「科学」が使われるようになった。
[編集] 広義の科学
[編集] 特徴
科学の本質は観察と分類にある。
その方法論、具体的な手法、記述法などについては、各科学がその対象の性質に応じてふさわしいものを発達させてきた。
例えば(対象のもっぱら無機的・機械的なレベルでの振る舞いに限定して着目する)物理学においては、実験で同一の現象が再現されることが重視され、その記述は、一般法則や全称命題が中心である。(個別性は脱落する)
天文学、考古学など、実験や冒険による実証が極めて困難な領域においては、十分な観察と分類にもとづき学問を成立させており、これらの学問も科学的な知見として尊重されている。
生身の生体やそれによって引き起こされる現象を対象とした、人類にとってはより切迫度・影響度の高い科学(医学・薬学・心理学・経済学等々)は、対象(生体・社会)が根本的に複雑性や複合性を持っており、個体差が重要なファクタとなったり、対象が情報を「記憶」することで内部状態を変化させてゆくものであり、現象の再現性を問うこと自体がナンセンスである場合が多く、(前世紀の物理・化学のような)決定論的な手法ではまったく歯が立たない。これらの科学はさらに進んだ統計論的な手法やその他の手法によって発展してきている。
なお、科学に属する諸学問は科学であるが科学そのものは科学的ではなく一種の思想であるとする意見もある。
[編集] 狭義の科学(自然科学)
[編集] 方法論としての自然科学の形而上学的探求
20世紀(前世紀) の科学哲学者、カール・ポパーは、「科学」(彼が考える狭義の科学)が満たすべき条件として「反証可能性」を提示した。すなわち、ある理論が"科学"であるとみなされるためには、その理論が正しいか間違っているか検証する手段が提示されていなければならない、と主張した。(科学的方法の項も参照。ポパー流に言えば、フロイトの精神分析や歴史学は反証するすべを持たず、"科学"とは呼べないことになる)。
[編集] 自然科学の実態
科学史家 トーマス・クーンは、「パラダイム」あるいは「パラダイム・シフト」という言葉を用いて、科学の発展の仕組みを説明した。結果として、自然科学の実態はポパーが想像したようなものではないと指摘することになった。
[編集] 近年の手法や方法論
[編集] 自然科学の関連文献
- 『疑似科学と科学の哲学』伊勢田哲治 名古屋大学出版会 ISBN 4-8158-0453-2
科学哲学のトピックス | ||
科学と非科学 | 線引き問題 - 反証可能性 | |
帰納の問題 | 帰納 - ヘンペルのカラス - 斉一性の原理 - グルーのパラドックス | |
パラダイム論 | パラダイム - 通約不可能性 - プログラム仮説 | |
観測 | 観測選択効果 - 人間原理 | |
立場 | 道具主義 - 科学的実在論 - 反実在論 - 社会構成主義 | |
人物 | カール・ポパー - トーマス・クーン - ネルソン・グッドマン | |
分野 | 物理学の哲学 - 時空の哲学 | |
言葉 | モデル - デュエム-クワイン・テーゼ - 検証と反証の非対称性-悪魔の証明 - オッカムの剃刀 - アドホックな仮説 | |
因果律 | 因果律 - 先後関係と因果関係 - 決定論 | |
関連項目 | 論理学の哲学 - 認識論 | |
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