日豪関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日豪関係(にちごうかんけい)では、日本とオーストラリアの二国間関係について述べる。
オーストラリア人にとって日本のイメージは、近年の経済支配といった恐怖とともに、第二次世界大戦の記憶が未だに残る。しかし日本の経済支配という恐怖は1990年代に入り日本が不景気に入ったことで少なくなっていった。同時に、オーストラリア政府と財界のトップは、日本が輸出市場に不可欠であり、オーストラリアの将来の成長とアジア太平洋地域の繁栄に必要な存在であると見ている。
目次 |
[編集] 外交
オーストラリアと日本は、2006年に日豪友好協力基本条約締結30周年を迎えた。この年の3月に出された共同声明において、オーストラリアのアレクサンダー外相と日本の麻生外相は、互いの関係を「同じ民主主義の価値観、互いの尊重、深い友好、そして同じ戦略的見解」にもとづく「これまでより強い」「協力関係」にあると宣言した。
オーストラリアと日本は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)、ASEAN地域フォーラム(ARF)そして東アジアサミット(EAS)を含む、様々な地域のフォーラムを強化するため、共に働きかけていくことに同意した。
[編集] 経済
1960年代〜70年代、オーストラリアの貿易は、それまでのイギリス連邦中心からアジアが中心の貿易に変わっていき、その中でも日本は特に主要な取引相手となった。オーストラリアにとって日本は今現在最も大きな輸出市場であるが、しかし逆に、日本にとってオーストラリアは、アメリカ、中国に続く輸出国第3位にあげられる。このため、オーストラリアは日本に対して貿易黒字となっている。
日本にとってオーストラリアは食糧と原料の大きな資源国である。1990年、日本の輸入量の5.3%がオーストラリアからのものであった。オーストラリアは、日本にとって石炭、鉄鉱石、羊毛、そして砂糖の最も重要な供給源であった。また、オーストラリアはウランの供給源でもある。日本の投資によってオーストラリアは日本の輸入製品の重要な供給源となったのである。近年の米国産・およびカナダ産牛肉の輸入禁止政策によって、オーストラリアは最も大きな牛肉の供給源ともなった。
日本が農業に対する保護政策を行っていることから、オーストラリアは牛肉、バター、リンゴを含む農産物を日本に輸出する際は高い関税や変わった標準規格などの障害に直面しており、オーストラリアは日本と自由貿易協定(FTA)を締結することを望んでいる。
両国とも観光立国であり、多くの観光客が毎年訪れている。オーストラリアではダイビングやサーフィンが人気であり、また日本も京都など独自の文化で観光客には人気である。
[編集] 軍事
日本とオーストラリアは、双方ともアメリカ合衆国と極めて緊密な軍事関係を構築しており、その関係から防衛首脳の会談も他国と比べて頻繁に行われている。自衛隊がイラクに派遣されたときには、サマーワでオーストラリア軍と共に復興活動に従事した。
2007年2月15日には、外務・防衛当局の審議官級協議が行われ、自衛隊とオーストラリア軍の共同演習などを今後行うという方針を確認した。2007年3月には、ジョン・ハワードオーストラリア首相が来日し、安倍晋三首相と「安全保障協力に関する日豪共同宣言(日豪安保共同宣言)」に署名、PKOの共同訓練、核・ミサイルなど大量破壊兵器遮断とテロ対策、国境を越えた犯罪予防協力など9項目での協力が成立した。
両国の外交・防衛閣僚による定期協議(2プラス2)の実施も盛り込まれ、これにより日本にとってオーストラリアは米国を除いて初めての安保分野の協力国となった。
[編集] 関連項目
- 日本の国際関係
- 安全保障協力に関する日豪共同宣言
- オーストラリアの国際関係
[編集] 参考文献
- Joint Ministerial Statement, Australia-Japan, 'Building a Comprehensive Strategic Relationship', Sydney, 18 March 2006, [1]