映画の著作物
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映画の著作物(えいがのちょさくぶつ)とは、日本の著作権法で例として挙げられている著作物の一種で、連続した影像によって表現されたものを言う。
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[編集] 概要
一般の劇場用映画作品や、それに加えて一般のテレビ番組、ドラマなどがこれに該当する。
これに加え、「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物」も含むとされていることから(2条3項。以下、特に断らない限り、引用法令は日本のもの)、映画作品を収めたビデオテープ・DVD等のパッケージソフトや、ゲームソフトなども映画の著作物にあたるとされている(但し、裁判の結果「映画の著作物」に当たらないとされたゲームソフトも存在する点に注意が必要。東京高裁・平成11年3月18日「三国志III事件」)。
映画の著作物は、他の著作物と比較して製作にかかる費用が巨額であり関わる人員も大勢いることや、伝統的に劇場上映のための配給という独特の制度が発展してきたことなどを考慮して、他の著作物には見られない特別の規定が設けられている。
[編集] 映画の著作物に特有の規定
[編集] 著作者
[編集] 著作権の帰属
- 著作権法 第29条
- 映画の著作権は、原則として映画製作者(映画の著作物の製作に発意と責任を有する者。2条1項10号)に帰属することにされている
現在の映像作品の多くは、製作費を出資するテレビ局などの製作会社と作品の制作を受注する制作会社に分かれていて、制作会社・制作者には著作権が与えられず二次使用料を受け取れないことが制作側の経営や生活を苦しくしているとの批判がある。
[編集] 頒布権
- 著作権法 第26条
- 頒布権(有償無償問わず、映画作品を販売、貸与、譲渡する権利)は、映画の著作権者にのみ認められた権利である
- よって、下記の行為は罰せられる。
- 著作権者に無断で海外から映画作品(ビデオやDVDを含む)を輸入・頒布した場合。
- 販売専用作品をレンタルする等、著作権者が定めた方法以外で頒布した場合。
[編集] 保護期間
- 映画の著作物の保護期間 (著作権法第54条)
- 映画の著作物の著作権は、その著作物の公表後70年(その著作物がその創作後70年以内に公表されなかつたときは、その創作後70年)を経過するまでの間、存続する。映画の著作物の保護期間を、著作者の死亡時ではなく、映画の公表時から起算することとしたのは、映画が様々なスタッフによって製作される総合芸術であるため、自然人である著作者を過不足なく確定することが困難であるからである。
(2003年の著作権法改正までは保護期間は50年とされていた。なお改正前に保護期間が切れたものについては改正後も改めて保護の対象とされることは無い。)
[編集] ゲームソフト
[編集] ゲームソフトの頒布権
ゲームソフトの頒布権については、ゲームソフト製作会社のカプコン、コナミ、ナムコ、スクウェア、ソニー・コンピュータエンタテインメント、セガ・エンタープライゼスと中古ゲームソフト販売業者のライズ、アクトが、中古ゲーム販売をめぐって争った事件についての最高裁判例(2002年4月)がある。この事件では、映画の著作物に認められた頒布権に基づいて、著作権者が中古ゲームソフト販売の差し止め請求を行なうことが出来るかどうかが争われた。
過去の判例において、ナムコのファミリーコンピュータ用ソフト『パックマン』やコナミのPCエンジンその他用ソフト『ときめきメモリアル』およびそのシリーズなどのゲームソフトを映画の著作物とする判例が存在することから、作成会社側は「ゲームソフトは映画の著作物であり、頒布権が認められる」と主張。それに対し、中古ソフト販売業者側は「インタラクティブ性(ユーザー操作により毎回異なったストーリーや画面を表示)を持つゲームソフトは映画の著作物ではない」と主張した。
判決では、対象ソフト全て(『バイオハザード2』『ツインビーRPG』『鉄拳3』『パラサイト・イヴ』『グランツーリスモ』『ワールドカップ98フランス ~Road to Win~』)について、インタラクティブ性は事前にプログラムされた範囲内のものであるとし、「著作権法2条3項に規定する『映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され,かつ,物に固定されている著作物』」であり映画の著作物と認められるとした。
しかし、映画の著作物に頒布権が認められているのは、映画が配給制度の下、劇場で上映されるものであることを前提としているためであり、ゲームソフトは「公衆に提示することを目的としない」もので、「いったん適法に譲渡された」(新品ソフトが消費者に販売された)時点で著作権者が持つ頒布権の内の譲渡する権利は消滅し、中古ソフトとして再譲渡や販売を行なうことを著作権者がコントロールすることは出来ないものと判断された。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 最高裁判例(H14.04.25第一小法廷・判決 平成13(受)952 著作権侵害行為差止請求事件)(「映画の著作物」と見なされたゲームソフトの頒布権についての判例)