東北官話
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東北官話(とうほくかんわ)は黒龍江省、吉林省、遼寧省の大部分の地区、内モンゴルの一部の地区のあわせて172市県旗で話されている中国語の方言。北方方言の中の華北東北方言に含まれる。東北官話と北京官話は合わせて東北官話と呼ぶべきとする学者もいる。
東北官話は中国東北部に分布しているが、東北の中国語の全てが東北官話であるという訳ではない。
中国語言地図集の調査によれば、1988年中国大陸の東北官話使用者は8200万人となっており、人口増加を考慮すると2005年7月現在の大陸での東北官話使用者は9772万人と推定される。
[編集] 下位分類
- 吉沈片 - 遼寧省、吉林省、黒龍江省の54県市に分布。
- 蛟寧小片
- 通溪小片
- 延吉小片
- 哈阜片 - 黒龍江省、吉林省、内モンゴル自治区東部の65県市に分布。
- 肇扶小片
- 長錦小片
- 黒松片 - 主に黒龍江省と内モンゴル自治区の一部の57県市に分布。
- 嫩克小片
- 佳富小片
- 站話小片
[編集] 特徴
東北官話の大部分の地区では[ʐ]の声母(漢語拼音のr)がなく、普通話の[ʐ]が東北官話では消失する。声調は北京語に近いが陰平が北京語と較べて低い。
北京語では区別している“如”(rú)と“魚”(yú)、 "柔"(róu)と“油”(yóu)、 "人"(rén)と“銀”(yín)、“軟”(ruǎn)と“遠”(yuǎn)などを東北のいくつかの地域では区別ができない。 また児化現象が頻繁に起きる。反り舌音と歯茎音はよく混同されるが発音し分ける地域もある。抑揚が強くリズミカルな方言である。
[編集] 歴史
歴史上、東北地区の中国語は主に河北や山東などの移民の言葉が現地の満州語、モンゴル語の影響を受けて形成されたものである。東北話には地方独特な訛りと語彙がある。また多くの満州語の語彙と少しの古い漢語の語彙を保存しており、日本語、朝鮮語、ロシア語の語彙も見られる。