柿沼康二
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柿沼康二(かきぬま こうじ、1970年7月16日 - )は、「芸術としての書」をテーマに、世界的に活躍する書家。
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[編集] 人物
「老齢の芸術」と言われ続けた書道の世界から突如現れた革命児。2007年放送予定の大河ドラマ「風林火山」題字を手がけ、全米大学ランキング第一位(2006年)のプリンストン大学客員書家(特別研究員)として米国にて活動中。
柿沼康二にしかできない畳数十畳にもおよぶ超大作のパフォーマンスは、書道というカテゴリーを超え、カキヌマアートとしてブランド化している。
20代後半からNHK「にんげんドキュメント」などテレビやマスメディアで急激に取り上げられ、大筆の超大作パフォーマンス、制作前のストイックなランニング、矢沢永吉やレッド・ツェッペリンなどロックミュージックを爆音で聴きながら制作する、金髪のカリスマ書家である。「書道界の革命児」「次世代型アーティスト」「世界の柿沼」「岡本太郎的な精神」「サムライ書家」などと紹介される例が多い。その異端さとアバンギャルド性が高く評価される一方、それら奇抜な側面を根底から支える日常は、実に基本に忠実なものである。歴史上の能筆家の古筆を徹底的に模写する「臨書(りんしょ)」という作業、文字の形、運動感、呼吸、リズム、歴史的背景など書道の原理、原則、哲学を全て体に染み込ませるべく日に何時間も臨書に費やす。古の型から現代的且つ新しい書を追及しようと提唱した師手島右卿の「新古典主義」を受け継ぎ、現代書の可能性を広げ続けている。
[編集] 略歴
栃木県矢板市生まれ。 父(康益)、母(キシエ)の次男として1970年7月16日生れ。血液型A型。
父親である柿沼翠流(本名・康益)の影響で5歳より筆を持つ。高校時代、昭和の三筆といわれた手島右卿(1901年 - 1987年)に師事、最後の弟子となる。師の没後、1989年から上松一条(1924年 - 2005年)に師事する(計17年間)。東京学芸大学教育学部芸術科(書道専攻・芸術家養成コース)に入学、小木太法(東京学芸大学名誉教授、元文部省視学官)に芸術理論や文字学を学ぶ。同大学を首席で卒業、本格的に書家活動に専念する。
1997年、「書はアートか」「自分はアーティストたるか」という命題を抱え、一年間ニューヨークへ単身渡米、自身初の個展をニューヨークで開催する。 以後、日本国内では、阪急うめだ本店個展(3年連続)、新宿伊勢丹個展他多数、海外では、ニューヨークメトロポリタン美術館、フィラデルフィア美術館、アート・インスティテュート・オブ・シカゴなどでのパフォーマンスやワークショップ、ニューヨーク紀伊国屋個展、シカゴ・アンドリュー・バイ・ギャラリー、シカゴ・ウォルシュ・ギャラリーでの企画展、現プリンストン大学客員書家(研究員)など国内外を問わず精力的に活動を展開している。
現アメリカニュージャージー州在住。
財団法人独立書人団審査会員、財団法人毎日書道会毎日書道展会員。
[編集] 作品スタイル
- 基本から応用、牧歌的なものから前衛、小品から畳何十壱にも及ぶ超大作、日本語から英語まで変幻自在、観る者に唯一無二の存在感で強烈なインパクトを与える。「書を現代アートまで昇華させた」と評論家から絶賛される。書家の登竜門である毎日書道展毎日賞を20代に2度受賞、財団法人独立書人団創立50周年記念賞(最高賞)31歳で受賞するなど驚異的なスピードでステータスを重ねる。
- 若くして書道業界、マスコミ、世界性の3つの柱をバランス良く兼ね備える稀有の存在。
- 破壊と再生を繰り返し常に新たな精神世界を開拓する前衛精神は、まさに「書道界の革命児」と称するに値する。
- 近年、数名の若手書家のマスコミへの露出により脚光を浴びるようになった書道文化、その真の立役者であるのは周知の事実。実際に書道を携わっていない若者から書道界の玄人まで評価が高く、書道のみならず日本アート界の次世代を担うニュータイプのアーティストと言えよう。
- マラソンと空手道をたしなみ文武両道の精神を愛する書家である。
- 元々は地元栃木県の県立高校で教鞭をとっていたが教職と経営していた書道教室を捨て、「制作」「作品」「右手一本」にのみに依存して生きるアーティストとしての道を歩むこととなる。通常、書家と言われる職業は、学校などの教育機関やカルチャーセンターなどで生徒に指導し、その指導料で生計を立てるものである。しかし、柿沼はそれら旧態依然のスタイルをとらず、真のアーティストの道を選んでいることも個性的である。個展での作品発表、作品販売、メディア活動だけ職業を成り立たせたアーティスト型書家は柿沼以外存在していない。
- 一字書 - 表意文字である漢字一文字の持つ意味や形象性を直截的に表現する
- 少字数書 - 一般的に2-5文字の漢字を総合的に美的表現する
- 現代文体 - 漢字と仮名混じりの書風 漢字、平仮名、片仮名などを織り交ぜ言葉や文章を表現する
- 超大作書 - 畳何十畳、何十メートルにも及ぶ巨大な作品、単にサイズが大きいだけではなく重さ20キロの特注超巨大筆と肉体を駆使し爆発的に表現する。
- トランス書 - 同じ言葉を何度もリフレインして書き続ける柿沼独特のスタイル。
- 英文書 - 追求するイメージが日本語より英語の方が効果的な場合、英語や英文を使い表現する
- 朱墨書 - 独自の磨墨法により見たこともないほど強く美しい朱色と滲みで表現する
- 淡墨書 - イメージを限定させず余韻や響きのある作品を求める際に淡墨(青墨)表現をする作家の技術により墨色の出し方に大きな差が出る。他者と比べ、柿沼の表出する色と滲みは破格に美しい。100円相当の墨から何百万円もする古墨まで臨機応変に使い分ける。
- 濃墨書 - 表現、意思、意味など強さや明確さを表現する際に墨本来の黒色を使い表現する
- 金泥書 - 稀に黒紙に金泥で表現する事がある。黒・白・赤・金・銀、古来日本を象徴する色である
[編集] 語録
NHK「にんげんドキュメント」より
- 無駄は無駄じゃない
- 俺は群が嫌いなんだ、桜とか蛙とか気持ち悪い
NHK「トップランナー」より
- 生きる意味をわかちゃってんだよね、柿沼康二が柿沼康二になることだよ
- 古(いにしえ)の中にこそ本当の新しさがある
- 上品なアバンギャルドじゃなくちゃ本当の芸術とは言えない
- ティーチャーとアーティストは全く別
- 尊敬とは追従じゃなく対決すること
- 燃え尽き症候群
TBS「情熱大陸」より
- アーティストは情熱を見せてナンボじゃないですか
[編集] 書道界での主な受賞歴
- 1990年 - 財団法人独立書人団主催独立書展史上最年少特選受賞
財団法人毎日書道展入選(以後連続8回、計11回)
- 1996年 - 毎日書道展大字書部門毎日賞
- 1997年 - 独立書展大作選抜作家として超大作(4×5m)を東京都美術館に陳列
(計6回財団法人独立書人団史上最多記録)
- 1999年 - 毎日書道展漢字II類部門毎日賞
- 2002年 - 財団法人独立書人団50周年記念大作賞(最高賞)
- 2003年 - 文化庁公益信託第6回国井誠海賞受賞
他多数
[編集] 教育・福祉
- 1993年 - 1995年 栃木県立那須高等学校芸術科非常勤講師
- 1998年 - 2001年 栃木県立矢板東高等学校芸術科非常勤講師
- 2000年 栃木県ドイツ文化交流事業 ワークショップ講師
- 1999年 - 2001年 「NPOサンカルチャークラブ」にてボランティア書道講師
- 2001年/2002年 アート・インスティテュート・オブ・シカゴにてワークショップ講師
- 2003年/2004年 「NPOおやこでのびっこ安城主催」ワークショップ講師
- 2005年 「NPOミューズカンパニー」主催ワークショップ講師
- 2006年 プリンストン大学客員書家(研究員)
- 2006年 プリンストン日本語学校講師
[編集] 全国巡廻
- 2003年 世界遺産チャリティーエキシビション「-PIECE OF PEACE-」作品提供
- 2005年 NHKハート展作品提供(全国巡廻2006年12月まで) 他
[編集] 主な展覧会
[編集] 日本国内
- 1993年 東京上野の森美術館にて大学卒業展
- 1980年 - 2006年 東京都美術館 公募展(独立書展・毎日書道展)
- 2002年 個展「第一話 柿沼康二とカキヌマコウジ」(ガレリエ・ウ゛ィエント)
- 2003年 - 2005年 個展 阪急うめだ本店 (3年連続)
- 2005年 個展 新宿伊勢丹本店
- 2006年 個展 六本木オリベホール 他
[編集] 海外
- 1998年 NY・アートスペース・カブキ個展
- 2001年 NY・紀伊国屋個展
- 2001年 シカゴ・ウォルシュ・ギャラリー企画展
- 2002年 アート・インスティテュート・オブ・シカゴにてパフォーマンス
- 2002年 NYメトロポリタン美術館にてパフォーマンス
- 2003年 シカゴ・アンドリュー・バイ・ギャラリー 企画展
- 2005年 デンマーク 新極真会空手ヨーロッパ大会にてパフォーマンス
- 2005年 韓国 ソウル書芸ビエンナーレ展 日本代表作家
- 2006年 韓国 国際現代書芸展 招待作家 他
[編集] 活動
[編集] タイトル提供
- NHK大河ドラマ「風林火山」
- NHK「探検ロマン世界遺産」
- NHKスペシャル「永ちゃん 俺たちはもう一度走れるだろうか」
- NHKスペシャル「永平寺 104歳の禅師」
- NHKスペシャル「A LIFETIME OF ZEN」
- NHK「味わいパスポート」
- NHK「輝く女」
- NHK「にんげん広場21・いのち」
- 日テレ「第2日本テレビ」(KAKIMAXX)
- BSフジ「焼酎ヲ極メル」
- B'z 結成15周年記念マキシシングル「IT'S SHOWTIME!!」
- 全世界空手道連盟「新極真会」漢字指定書体
- 明治安田生命社内誌「とびら」
- 朝日新聞「時代を拓く」
- 月刊誌「FOOGA」
他
[編集] テレビ出演
- NHK「にんげんドキュメント」
- NHK「トップランナー」
- NHK「スタジオパークからこんにちは」
- NHK特番「スタジオパークからおめでとう」
- NHK「公園通りで会いましょう」ウィークリーゲスト
- NHK「真剣10代しゃべり場」
- NHK特番「にんげん広場21・いのち」
- NHK国際放送「ウィークエンド・ジャポノロジー」
- TBS「情熱大陸」
- フジテレビ「EZ!TV」
- テレビ東京「たけしの誰でもピカソ」
- 日本テレビ「メレンゲの気持ち」
- 日本テレビ「Be Taro!~100人の岡本太郎」
- BS日テレ「ニューロンの回廊」
- NHK「土曜スタジオパーク」
他
[編集] ラジオ出演
- CRT栃木放送「柿沼康二の世界」パーソナリティー(2年間)
- TOKYO FM「ディア・フレンズ」
- TOKYO FM「坂上みきのビューティフル」
- TOKYO FM「ウォンテッド」
- TOKYO FM「よんぱち」
- J-WAVE「ウィダーパワーストーリー」(4日間プログラム) 他
[編集] インセンティブ商品展開
[編集] CM
[編集] パフォーマンス
- 2000年 NHK「にんげん広場21・いのち」(NHK渋谷本局) 「生・命・力」(4×15m)
- 2001年 NHK特番「スタジオパークからおめでとう」生放送(NHK渋谷本局正面玄関前)
KODOとのコラボレーション 「馬」(7×5m)
- 2005年 シカゴ・ウォルシュギャラリー「捨」(4×5m)
- 2002年 アート・インスティテュート・オブ・シカゴ (シカゴ) 「不死鳥」(4×15m)
- 2002年 NYメトロポリタン美術館 「万葉の四季」」(1.8×3.6m)
- 2003年 新極真会空手世界大会(東京体育館) 「心」(7×7m)
- 2006年 テレビ東京「たけしの誰でもピカソ」 「空」(4×4m)
- 2006年 NHK「公演通りで会いましょう(ウィークリーゲスト)」「誕生」(5×10m)
- 2003年 明治生命パイオニアフェスティバル(横浜アリーナ) 「魁」(6×6m)
- 2004年 クラブ・イエロー(西麻布) ソロ・ライブパフォーマンス
- 2005年 愛知EXPO KARATE EXPO(愛・地球広場) 「命」(4×5m)
- 2005年 愛知EXPO KARATE EXPO(EXPOドーム) 「生」(4×5m)
- 2005年 新極真空手ヨーロッパ大会(デンマーク、VJC関連事業) 「心」(4×5m)
- 2005年 新極真空手ワールドカップ(大阪府立体育館、VJC関連事業)「空」(4×5m)
- 2005年 鼓童(KODO)アース・セレブレーション(佐渡島城山公園)「叩」(5×6m)
朱墨トランス「BEAT」(7×3m)、「鼓童地球祝祭」(7×2m)
- 2006年 日本IBMキックオフミーティング(東京フォーラムAホール) 「転」(5×6m)他
- 2006年 プリンストン大学・フリストキャンパスセンター 「Tygers」(5×20m)
- 2007年 フィラデルフィア美術館 「万葉の四季」「風花雪月」「A Worrior’s Life」(1.8×3.6m)
[編集] 新聞・雑誌
- 朝日新聞
- 読売新聞
- 毎日新聞
- 下野新聞
- Chicago Journal(Chicago)
- Daily Yomiuri(NY)
- アエラ
- 別冊「カドカワ」
- 富士通「FIND」
- 月間「うつのみや」
- ANA「翼の王国」
- 月間「極真魂」
- YAMAHA「SOUL SWITCH」
- ランニング・スタイル
- 東京文化座
- リンククラブ
- VOCE
- Daily Princetonian
- Princeton Packet
- NHK出版 大河ドラマ「風林火山」特集
- 朝日新聞全国版「はてなテレビ」
- 週間NY生活
ほか
[編集] 講演
- 真岡JC主催「子供はみんなアーティスト」
- 岐阜市北区安全運転管理部主催「書のこころ」
[編集] 著書
- 「熱血書道塾」ワニマガジン社(2001年)
[編集] 文筆
- 下野新聞「成人を迎える人達へのメッセージ」
- 下野新聞「下野随想」(計5回)
- 下野新聞「とちぎ力の提言」
- 下野新聞「ぶりんすとんの風」掲載中(一年間)
- JAL・TOKYO FM「JET STREAM・スペシャルコラム」