矢板市
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[編集] 概要
高原山(たかはらさん)の南麓に広がり、緑豊かな山岳地帯及び森林、里山に囲まれ、箒川、宮川、内川などの河川が北から南へ流れる。北部山岳・森林地帯は全国名水百選に選ばれた尚仁沢湧水の水源となっており水源の森百選に選定されている高原山水源の森や森林浴の森100選に選定されている栃木県民の森、八方自然休養林、八方ヶ原など豊かな自然の宝庫で環境教育、ハイキング向けに整備されている。中部は南北に小高い丘が連なる塩那丘陵の尾根に挟まれた宮川、中川、内川が流れる平地があり水田地帯が広がっている。南部は関東平野の北端ともいえる平地と小河川に刻まれた小高い丘の丘陵地からなり塩谷町から流れてくる荒川に接している。また中央部から丘陵をひとつ隔てた西部は箒川、江川流域に那須野が原に連なる平地が広がり水田地帯となっている。
かつては塩谷郡役所が有り、古くは栗山村、藤原町(共に現在の日光市)、塩原町(現在の那須塩原市)、塩谷町など山岳地帯を背後に控え塩谷郡一円の木材、家畜の集積地として繁栄した。1959年(昭和34年)頃まで東武鉄道矢板線が矢板駅-新高徳駅間を結んでいたが、自動車交通の発達とともに現在は廃線になっている。近年は東北本線(宇都宮線)、国道4号、東北自動車道、東北新幹線が集中する交通の要衝となっている。矢板インターチェンジ近くには、流通大手の配送センターも立地する。しかしながら、商圏が矢板市及び塩谷町程度と小さいため大手スーパーなどの立地は少なく、大きな商圏を抱え隣接するさくら市、大田原市などに比べ見劣りする。
前出の高原山は古くは山岳宗教のメッカでもあった。
[編集] 産業
大きな産業としては、一時は花形であった関西系大手家電メーカーの工場があるが、労働集約的な組立工場が主であり、昨今の労働集約型産業の中国移転の影響を受けつつある。水田の圃場整備はほぼ終了し米作とともに、市北西部の長井地区などでは、寒冷な気候を利用したリンゴなどの果樹栽培が盛んである。県民の森近くの高原(たかはら)開拓では終戦後入植による酪農が行われている。また、市北部には、赤滝、小滝、寺山の各鉱泉宿が古くからある。近年は城の湯温泉センター、矢板温泉(館の川)、コリーナ矢板などの温泉も市内各所で掘削され、市民はもとより観光客にも憩いの場を提供している。
[編集] 市街地
市街地は矢板駅を中心とする矢板地区、片岡駅を中心とする片岡地区、旧泉村である泉地区の3つがあるが、他にも旧野崎村より編入された沢地区、市西部の幸岡地区、泉地区の長井、伊佐野、他にも市街地を形成する集落がある。
県都宇都宮まで電車で25分の通勤距離を生かして、片岡駅近くには栃木県住宅供給公社開発による大規模住宅団地つつじが丘ニュータウンがある。
[編集] 地理
東京より北へ約130km、県都宇都宮より北へ約30km、東北本線(宇都宮線)でそれぞれ2時間30分、30分の距離である。片岡地区は全国的にも珍しい巾1000mの中に、国道4号、東北本線(宇都宮線)、東北自動車道、東北新幹線が集中する地形的な交通の要衝になっている。各交通機関はこの片岡で丘陵地帯に入り、関東平野から那須野が原へと移っていく。
[編集] 隣接している自治体
[編集] 歴史
- 1889年(明治22年)4月1日 町村制施行により矢板村、泉村、片岡村を設置。
- 1895年(明治29年)6月25日 矢板村が町制施行し矢板町となる。
- 1954年(昭和29年)12月31日 矢板町が那須郡野崎村の一部を編入。
- 1955年(昭和30年)1月1日 矢板町、泉村、片岡村は合併して矢板町を設置。
- 1955年(昭和30年)4月1日 矢板町の一部(旧片岡村大字松島)を氏家町(現在のさくら市)に分合。
- 1958年(昭和33年)11月1日 矢板町が市制施行し矢板市となる。
[編集] 行政
[編集] 歴代市長
- 1958年(昭和33年) 大島喜一郎 初代
- 1959年(昭和34年)2月 高柳宰正 2代
- 1963年(昭和38年)3月 山縣有信 3代
- 1967年(昭和42年)2月 山縣有信 再任
- 1974年(昭和49年)9月 大谷英一 4代
- 1978年(昭和53年)8月 大谷英一 再任
- 1982年(昭和57年)9月 山口公久 5代
- 1986年(昭和61年)9月 山口公久 再任
- 1988年(昭和63年)4月 大氣弘久 6代
- 1992年(平成4年)4月 大氣弘久 再任
- 1996年(平成8年)4月 山口公久 7代
- 2004年(平成16年)4月 遠藤忠 8代、現職
[編集] 行政機関
[編集] 国の機関
[編集] 県の機関
- 矢板県税事務所
- 栃木県塩谷農業振興事務所
- 塩谷教育事務所
- 塩谷県民相談室
- 矢板林務事務所
- 矢板健康福祉センター
- 矢板土木事務所
- 那珂川水系ダム管理事務所
- 那珂川水系ダム管理事務所 寺山ダム管理所
- 県民の森キャンプ事務所
- 栃木県民の森 管理事務所
- 栃木県警察本部 矢板警察署
[編集] 郵政公社
[編集] 塩谷広域行政組合
[編集] 経済
- 商業
- 車で約1時間の宇都宮市、約30分の大田原市、さくら市の商圏に組み入れられているため、流通大手の立地は少ないが、中心商店街は駐車場が整備されておらず空洞化が進んでいる。流通大手としては群馬県前橋市のベイシアが矢板駅東口に立地、他に福島県郡山市の食品スーパー・ヨークベニマル(イトーヨーカドー系列)、ホームセンターはベイシア系列のカインズホーム、家電量販はケーズデンキ、コジマ、大手ドラッグストアはカワチ、マツモトキヨシがある。またトヨタ自動車、日産自動車系列の自動車販社が市西部を貫通する国道4号(旧バイパス)沿線に立地している。かつては、福島県会津若松市のリオン・ドール(旧ライオン堂)、群馬県館林市のとりせんなどのスーパーも出店したが、出店時期が早く旧市街地に立地したために駐車場が無く、自動車交通社会の発展とともに撤退していった。
[編集] 産業
- 林業
- 今は塩那森林管理署(大田原市)に統合されたが、かつては矢板営林署(現塩那森林管理署 矢板森林事務所)があり、栃木県北西部の広大な山林地帯を管理していた。終戦直後は被災した東京復興のために大量の木材が栃木県内はもとより、南会津からも集められ鉄道貨物として積み出された。昭和50年頃までは市内各所に大きな製材所が見られた。
- 農業
- 幸岡ねぎ(高級食材として東京の料亭などに出荷される)
- りんご(参考URL)
- 工業
- シャープ(株)AVシステム事業本部
- 所在地の町名は「早川町」。旧社名の早川電機工業から付けられた。
- (株)トキメック 矢板工場
- 株式会社エンプラス
- 日本調理機(株)栃木工場
- シャープ(株)AVシステム事業本部
- 地場産品
[編集] 姉妹都市・提携都市
[編集] 地域
[編集] 教育
[編集] 小学校
- 矢板市立矢板小学校
- 矢板市立東小学校
- 矢板市立川崎小学校
- 矢板市立西小学校
- 矢板市立日新小学校
- 矢板市立豊田小学校
- 矢板市立泉小学校
- 矢板市立長井小学校
- 矢板市立上伊佐野小学校
- 矢板市立片岡小学校
- 矢板市立乙畑小学校
- 矢板市立安沢小学校
[編集] 中学校
- 矢板市立泉中学校
- 矢板市立矢板中学校
- 矢板中学校沢分校
- 矢板市立片岡中学校
[編集] 高等学校
高校サッカーは歴史的に全国レベルである。元浦和レッズの選手で、現FC東京監督の原博実は矢板東高校卒業である。
- 栃木県立矢板高等学校
- 栃木県立矢板東高等学校 - 昭和49年全国高校総体出場
- 矢板中央高等学校 - 平成17年第83回全国高校サッカー選手権大会、平成16年度全国高校総体出場
[編集] マスメディア
- 下野新聞 矢板支局
- NHK総合 矢板中継局A51CH/D40CH
- NHK教育 矢板中継局A49CH/D30CH
- 日本テレビ 矢板中継局A53CH/D36CH
- TBSテレビ 矢板中継局A55CH/D42CH
- フジテレビ 矢板中継局A57CH/D45CH
- テレビ朝日 矢板中継局59CH
- テレビ東京 矢板中継局61CH
- とちぎテレビ 矢板中継局33CH
- 矢板中継局の受信世帯は約110000世帯(栃木県北地域全域)
- Aはアナログ放送、Dは地上デジタル放送
[編集] 交通
[編集] 空港
- 東北自動車道を利用し、矢吹インターチェンジ経由で1時間ほどでアクセス可能。
- 東野交通運行による直行のリムジンバス「マロニエ羽田号」有り。2006年2月現在
[編集] 鉄道路線
[編集] バス路線
- 矢板市営バス
矢板-泉-上伊佐野小線、矢板-泉-兵庫畑線、矢板-片岡-コリーナ矢板線、矢板-沢農協線、矢板-下安沢線
- 那須塩原市営バス
上伊佐野小-アグリパル塩原線
- さくら市営バス
矢板駅-新高徳駅線、矢板-矢板高校線、矢板-高塩-塩谷高校線
矢板駅-西船生線、矢板-矢板高校線、矢板-高塩-塩谷高校線
[編集] 道路
[編集] 名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
- 市北部の高原山系に広がる標高1000mから1200mの台地状の高原である。5月、6月頃のレンゲツツジの群生は見事で有名である。ハイキングの適地として整備され、ハイキングコース、キャンプ場、アクセス道路、駐車場、展望台、季節営業の売店などが整備され気軽に訪れることが出来る。また、アクセス道路は高原山の北側に当たる塩原温泉郷にも通じている。
- 栃木県民の森
- 八方ヶ原からも近く、県が設営したキャンプ場、天皇が来場した全国植樹祭、育樹祭会場、展示館、少年自然の家、ハイキングコースなどの施設が整備されている。
- 長峰公園
- 北関東でも有数のツツジの名所である。矢板駅から徒歩10分程度の至近距離にあり、電車でのアクセスも便利である。
- 中世塩谷氏の城の近くにふるさと創生資金を活用して開発した温泉で、市民に憩いの場を提供している。また、川崎城址の奥側、塩谷町寄りには、矢板温泉がある。
- 明治の宰相山縣有朋の拝領地に洋風の建物が残る。
- 運動公園
- 市西部の丘陵地帯を開発した、サッカー競技場を備えた運動公園が整備されている。栃の葉国体などでサッカー会場となった、もともとサッカーが盛んな土地柄である。公園内には、運動公園開発時に発掘された古墳が保存展示されている。
[編集] 出身有名人
- 柿沼康二 - 書家・アーティスト 現在、米国プリンストン大学客員書家
- 平岡靖成 - 大宮アルディージャ
- ギュウゾウ(大島剛人) - お笑い
- タイロン橋本(参考URL)
- 矢板武(那須疏水開削、那須野が原開拓を行った実業家)