犠牲バント
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犠牲バント(ぎせいバント)とは、野球で、打者がアウトになる代わりに、走者を進塁させることを目的としたバントのことである。
[編集] 概要
犠牲バントは、バントをして内野に打球を転がし、内野手が打球を処理する間に塁上の走者を進塁させ、打者自身が一塁でアウトになる戦術である。広義にいう犠打の一種であり、記録上の用語としても犠打が用いられる。犠打は、バントをした結果塁上の走者が進塁し、打者が一塁でフォースアウトになったときに記録される。打数にはカウントされない。送りバントとも呼ばれる。
特に三塁走者を本塁にかえす犠牲バントはスクイズバントと呼ばれる。
着実な方法で行う限り、通常の内野ゴロ等の凡打によるダブルプレー(併殺打)を防止でき、走者を得点圏(二塁や三塁)に確実に進塁させることができるため、僅差の試合や長打の少ない場合などには多用される戦術である。
一塁走者だけがいる状況で、ヒット・エンド・ランに近いタイミングでその走者が、投手の投球とほぼ同時に二塁へ走り、一度の犠牲バントだけで、三塁まで進む方法は、「バント・エンドラン」と呼ぶ。
日本野球界では広く用いられており、特に高校野球では多用される。 一方アメリカでは、セイバーメトリクスによる統計学的な分析によって、近年では犠牲バントの有効性は疑問視され、新思考派と呼ばれるセイバーメトリクスに重きを置いた戦術を取るチームでは軒並み犠牲バントの数が極端に減っている。2004年に悲願のワールドシリーズ優勝を果たしたボストン・レッドソックスはその典型で、2004年のシーズンはチーム全体の犠打数が12個と極めて少なかった。