真空蛍光ディスプレイ
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真空蛍光ディスプレイ (しんくうけいこうディスプレイ、FLディスプレイ、VFDとも)はビデオデッキのような民生用電気機器に使われる表示装置の一つ。液晶ディスプレイと異なり、VFDは明るい発光による明確なコントラストを特徴とし、また使用可能な温度の幅が広く、温度差による機能への影響が出難い。
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[編集] 概要
VFD(Vacuum Fluorescent Display):一般的には蛍光表示管と呼ばれる。
この装置はカソード(フィラメント)とアノード(蛍光体)と格子(グリッド)を真空状態におかれたガラスケース内に封入してあるため、広義の真空管に含まれ、主要部分には真空管同様にガラスが用いられている。カソードからの電子を蛍光体にあてて発光させることで、コンピュータ(主にマイクロコンピュータ)の表示装置として利用されている。これの類似技術にはブラウン管があるが、こちらは電子銃から照射されたビーム状の電子流を磁場で偏向させるなどの点で大きく構造が異なる。
カソードはアルカリ金属酸化物でコートされたタングステンワイヤで作られ、熱電子を発生(射出)する。この熱電子は微細な金属グリッドで制御および拡散される。
セグメント(代表例は7セグメントディスプレイ)表示で、VCRや時刻表示などの機器ごとに表示面を専用に設計された物や、近年ではドットマトリクス表示で、POS、専用機器などの表示装置に利用されている。
[編集] 他の表示方式との比較
- 液晶ディスプレイ(LCD)と比較すると
- 蛍光面で発光するため、視野角に優れる。
- 自発光表示素子であるため、コントラスト比が高い。
- 発光ダイオード(LED)表示装置と比較すると、
- ドットあたりの製造コストが安い。
- ドットマトリクスの場合、LEDよりも、高密度化ができる。
- 広い波長のスペクトラムによる発光のために、見やすく、目にやさしい。
- 有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)と比較すると、
- 大きな表示を製造する場合、面積あたりのコストが安い。
- 寿命が長い。
なお単色での表示には低コストで実現できるなどするために向いているが、ドット単位でのカラー対応が難しいため、メッセージ表示など用途が限られる。
[編集] 用途
VFDは表示中、常にカソードに電流を流す必要があり、またその消費電流が大きく電池駆動の機器には不向きであるため、主に装置への組み込み用に使われている。
POSレジなど、商品名や釣り銭などを表示するカスタマディスプレイなどでは、現在もVFDが多く利用されている。 漢字やビットマップイメージを表示できる高密度ドットマトリクス方式のVFDにより、表示専用装置など、文字の見やすさと表示寿命の要求される用途では現在も引き続きVFDの用途が多い。
[編集] 自動車のメーターとして
1980年代にこの表示装置は、とくに自動車メーカーが速度計などのデジタルディスプレイとして車載機器に使うようになった。この良い例は、1980年代初期のスバルのハイエンド車に搭載されたもの。(スバルのエンスージアストから「デジダッシュ、デジタルダッシュボード」などと呼ばれている)この技術が自動車における電子表示に適切であると考えられる理由は、表示が非常に明るいということである。
これらは発光ダイオードと並んで今日でも利用されているが、次第に他の表示装置に置き換えられつつある。(後述)
[編集] ゲーム機
1979年から1980年代中頃にかけて、電子ゲーム機(初期の携帯ゲーム機)にも採用された。これらのゲーム機は明るいクリアな表示を特長としたが、この当時製造できたVFDのサイズがかなり小さかったので、フレネルレンズを使って拡大していたりした。その後のゲーム機は、洗練された多色ディスプレイが装備された。初期のゲーム機は蛍光体から発する光(一般的には緑色)を透明なカラーフィルムを通すことによって多色化を実現した。
しかし消費電力の多さと装置の脆さからVFDはこういった携帯ゲーム機の表示装置としては使われなくなった。製造コストが嵩むことも一因である。同時代の電子ゲームのもう一つの主流であった表示装置である液晶ディスプレイは、電池(またはACアダプタ)を頻繁に交換しなくても良いのではるかに携帯ゲーム向きだった。しかしこの当時の液晶画面はバックライトが無いほか、色も単色(白黒画面・液晶デジタル腕時計を思い起こして欲しい)であったため、カラフルな表示と素早い反応速度という面では、一定の評価を得ていた。主に家庭でテーブルの上などに置かれて利用されていた。
[編集] 現在の用途
青緑色の落ち着いた発光色の蛍光体を用いたものが多く製造され、高級感ある屋内での表示に適する。 また、動作温度の影響を被りやすい液晶ディスプレイとは異なり、ほとんどのVFDが氷点下での平常動作が可能で、また温度変化の影響を受け難いため、低温環境のアウトドアデバイスや、各種家電製品などにその存在感を示している。技術的には成熟しており、製造コスト面で有利な部分も強く、また信頼性も高いことから、デバイスとして当面存続する物と考えられる。
[編集] 関連項目
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