確率変動
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確率変動(かくりつへんどう)とはデジパチに搭載されている機能の一つで、大当たり確率を通常時よりも上昇させて大当たりを誘発する機能である。確変(かくへん)と呼ばれる事が多い。
確変の搭載が認められているのはCR機のみであり、現金機には認められていない。
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[編集] 概要
確変が搭載された機種では、通常時の大当たり確率は低めに設定されている[1]。その代わり、大当たりに当選するとほぼ同タイミングで確変の抽選を行い、これに当選すれば大当たり終了後、確変に突入して大当たり確率が大幅に上昇する[2]。この高確率状態は次の大当たり当選まで継続し、事実上次の大当たりを約束するというシステムになっているのが一般的であるが、機種によっては一定の回転数が経過したり、スタート入賞毎に行っている転落抽選に当選した時点で確変が終了するものもあり、このシステムを導入している機種では次回の大当たりが保証されるわけではない。
確変に当選した大当たりは確変大当たりといい、当選しなかった大当たりは通常大当たり、又は単発大当たりという。トータル大当たりのうち、何%が確変大当りとなるかを表した数値を確変突入率という。パチンコ台には必ず、大当たり確率と確変突入率が記載されている(殆どの台は右上か右下)。
確変に当選したか否かは、大当たり時に揃った図柄によって判別できるのが一般的である。揃えば確変となる図柄を確変図柄といい、揃えば通常大当たりとなる図柄は通常図柄と呼ばれる[3]。
機種によっては、通常図柄揃い後、図柄を変化させる演出が発生する場合がある。これを再抽選演出という。ただこれはあくまでも演出であり、実際に"再"抽選が行われている訳ではない(リーチ (パチンコ)#再抽選も参照)。また、図柄だけでは判断できず、大当たりラウンド中の演出によって告知する機種や、確変中である事を告知しない機種も存在する(後述)。そのような機種の場合、揃っても通常大当たりが確定する訳ではないという意味合いから、通常図柄ではなくチャンス図柄という呼称が用いられる事がある。
過去には、「大当たり確率は変動しないが、電チューサポート率が上がる」といういわゆる時短機能を「確率変動」と呼んでいる時期もあった。(現金機の「黄門ちゃま2」では実際に「確率変動」という呼び方をしていた)
確率変動を用いて連荘させるこの技術は、現在流通しているほとんどのデジパチに採用されているが、この確率変動が有名になったのは、平和の「CR黄門ちゃま2」や、西陣の「CR花満開」、三洋物産の「CR大工の源さん」からである。
[編集] 確変の種類
[編集] 一般的な確変状態
一般的には、確変中は次のような状態となる。
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- 画面に「確変中」と表示されたり、背景色が変化する等、確変状態であることが遊技者に告知される。
- 強力なデジタル短縮機能と電チュー開放によるスタート入賞のサポートが行われ、持ち玉を減らさずに効率よく消化出来るようになる。時短と同じような状態。
[編集] 潜伏確変(隠れ確変)
機種によっては、確変に当選しても告知されないものがある。そういった確変は潜伏確変又は隠れ確変、確変非報知型等と呼ばれる。この確変に当選した場合は大当たり終了後時短に突入し、確変なのか単発なのか区別出来ないようにしている[4]。時短が終了した場合は電チューサポートは行われなくなるが、内部的には確変状態が続く為、このタイプの機種では時短終了後の即ヤメは厳禁とされている。
[編集] 突然確変(突確)
突然確変は、出玉がほとんど得られない大当たりを経由して突入する確変である。通常ゲームからいきなり確変状態に突入するように見せかける演出であり、実際には大当たりを経由して確変状態に移行しているため、システム上では出玉がなくとも「大当たり1回」とカウントされる(パチンコホールの台上データロボの大当たり回数が突確で増えるのはこのためである)。この機能が初めて搭載された機種は平和のCR木枯し紋次郎だが、当時は確変突入率の上限が50%までと決められていた為、出玉の得られる確変大当たりの割合が減ってしまい、あまり人気が無かった。
2004年、規則改正により、確変突入率の制限が撤廃された。その新基準機第三号として発売されたCR新世紀エヴァンゲリオンには「暴走モード」と呼ばれる突確機能が付いており、この機能が大反響を呼んだ為、その後の多くの機種で採用される事となった。この突確機能搭載機種は、大当り確率にこの「出玉ゼロ当り」を含んでおり、トータル出玉数を勘案すると、非搭載機種と比較してあまり確率が高くなっているとは言い切れない。
また、突然確変から派生した突然時短というものも存在する。
[編集] 関連用語
- 確変転落
- 2004年の規則改正以降に認められた機能。確変中スタートに入賞する度に転落抽選を行い、これに当選すると確変が終了し、通常の低確率状態へ移行してしまう。突然確変や突然時短とは違い、大当たりを経由せずに低確率状態へ移行する事となる。
- リミッター
- リミッターは、確変継続回数に制限をつけた機能である。以前は5回(80ラウンド)リミッターの搭載が義務付けられていたが、現在は制限が無い為「リミッターなし」となっている機種が一般的である。
- 確変継続率
- 確変中に再び確変に当選する確率を確変継続率と呼ぶ場合がある。ただし、現在の規則では突入率=継続率でなければならない為、突入率と継続率を区別せずに、どちらも「突入率」と呼ばれる事が多い。
[編集] ブラボーキングダム事件
大当たり後の即連チャンが禁止されるに至った契機のひとつが「ブラボーキングダム事件」である。この機種は、225個の内部乱数が9グループに分けられていて、1グループが確率1/25の連チャンゾーン(平均継続数4連だがヒキ次第で20連以上も可能)、残りが確率0%で完全確率方式ではなかった。(このために登場後半年で撤去となった。)その為、単発打ちによる攻略法(成功率75%で効果の程はヒキ次第)が流行り、ホール内は、当たりの仕組みを知っているハイエナがウヨウヨいる始末であった。一方、連チャンゾーン以外は確率0%なので、ヒキが悪ければ大敗のリスクが生じていた。現在のパチスロ機「北斗の拳」のバトルボーナスのような感じで、平均連チャン回数は3~4連(平打ちの場合)なのに20連以上を夢見る客が多く、消費者金融に走る者も増えた。→乱数グループ一周に3万円の投資(これも初当りが単発終了し、全身の血が逆流ということもあった)を要し、投資限度額は1万5千円と言えるがハイエナされたくないため、当たるまで投資を続ける客も多くいた。また、朝イチに「連チャンゾーン」スタート(モーニングセット)も可能で、ホールの開店前から行列が出来ていた。
- そもそも、90年代初頭に流行していた「大当たり後の即連チャン機能(保留玉連チャン機能・保留外の早い回転数での大当たり機能)」は公式に認められていた機能ではない。各機械自体は検査機関(保通協・保安電子通信技術協会)による試験を正式に通っていたものの、多くの機種に搭載されていた連チャン機能は「プログラムの正式な仕様とは異なる動作を意図的に引き起こす」ことによって実現されていたもので、実質的には黒に近いグレーの領域にある機械であった。上記の「ブラボーキングダム」の「連荘打法」や「モーニングセット」もメーカーが仕組んだ物と言われている。ホール公認の攻略法であったが、1台で粘ると確実に負ける(殆どの台が攻略割数のボーダーラインに足りない=単発打ちだけでは勝てない)ので「ハイエナ」や「モーニング泥棒(食い逃げ)」との併用が有効であった。
- またその頃、各ホールに対してはカードユニット搭載機(CR機)の導入が全国的に推し進められていた。これは「入出金の明確な管理」という大義名分のもとに行われたものであるが、実際には行政側が設立したカードユニット会社絡みの圧力も噂された。
- そのカードユニット対応機の目玉として搭載されていたのが、表題の「確率変動機能」である。ただしこの機能は、なぜか非カードユニット機(現金機)に搭載することを各メーカーが自粛していた。これもまた、行政による裁量のひとつであったといえる。
[編集] 脚注
- ^ 300~400分の1程度に設定されている機種が多い。2006年現在の規則では、大当たり確率の下限は400分の1までである。
- ^ 概ね10~80分の1程度まで大当たり確率が上昇する。最大で通常時の10倍までの上昇が認められている。
- ^ 確変図柄は、図柄や数字が赤色で表示されている場合が多く、通常図柄(チャンス図柄)は青色もしくは緑色である。ただし、海物語シリーズのように色分けされていない機種も存在する。
- ^ 画面上では判別できないが、実際には台についている7セグの表示やLED等で判別可能である。一部の店では判別をさせないようにこれらの上に広告などを被せて隠してしまう行為も行われている。なお画面の一部を隠す行為は違法である。