神幸祭
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神幸祭(しんこうさい)は、神霊の行幸が行われる神社の祭礼。神幸式(しんこうしき)とも。多くの場合、神霊が宿った神体や依り代などを神輿に移し、氏子地域内への行幸、御旅所や元宮への渡御などが行われる。神輿や鳳輦の登場する祭礼のほとんどは、神幸祭の一種であるといえる。
神幸祭は「神の行幸」の意味で、広義には行幸の全体を、狭義には神社から御旅所などの目的地までの往路の過程を指す。後者の場合は目的地からの神社への復路の過程に還幸祭(かんこうさい)という言葉が用いられる。神幸祭・還幸祭と同じ意味の言葉に渡御祭(とぎょさい)・還御祭(かんぎょさい)という言葉があり、渡御祭も広義には行幸(渡御)の全体を指す。
[編集] 概要
本来は、神霊を集落内の祭壇に迎える形であったものが、祭壇が祭祀の施設として神社に発展すると、迎える行為が逆の過程の里帰りとして残り、神幸祭が行われるようになったと考えられている。このため、磐座などの降臨の地が御旅所となり、現在では元宮や元の鎮座地である場合が多い。
御旅所に向う神幸祭のおおまかな流れは
- 神輿などに神霊を移す神事
- 神社から御旅所への渡御
- 御旅所での神事や奉納(御旅所祭)
- 御旅所から神社への還御
- 神霊を還す神事
であり、この過程が数日間に及ぶ場合もある。2や4の過程において、氏子地域内を巡幸する場合が多い。御旅所などに向わない場合には、神霊が氏子地域を見回る、或いは、ある特定の場所で神事などを行うために行幸される。
神輿を巡幸のために神社の境内から出すことを宮出し(みやだし)、巡幸を終えた神輿が神社の境内に入ることを宮入り(みやいり)という。この語は、稚児や氏子から奉納される山車などが神社から出る・入る場合にも用いられる。
[編集] 渡御行列
渡御は多くの氏子が祭礼に関わることの出来る場面の一つで、神輿の担ぎ手になったり、祭礼の規模の大きなところでは山車、獅子舞や舞踊などを繰り出し行列になる。渡御行列の順序は祭礼によってまちまちであるが、行列の先頭部には先導役の猿田彦がいることが多く、その次に御幣、笠鉾、獅子、幟、高張り提灯、太鼓などの露払いの役目を持つものや先頭を示すものがあって、神輿がくることが多い。このほかには、神職、巫女、稚児、山車、獅子、舞踏などが行列に含まれる。渡御の道中は音楽的にも多様で、神職による雅楽、氏子による祭囃子や音頭などが奏でられることが多い。
行列の中で最も目を引くのは、神輿と山車、獅子舞や舞踏である。神輿は祭礼によって様々な運行のされ方があり、厳かに運行されるもの、威勢良く担がれるもの、船での渡御(船渡御)や水中で担がれるものなどがある。これら運行形態は、祭神に因んだもののほか、突発的に行われた運行形態が慣例化し、伝統になった場合もある。山車には神輿に近い依り代の役割を持ったものと奉納の風流があり、獅子舞や舞踏にも神事舞と奉納舞があるが、どちらの場合も氏子が中心に運行されており、特に奉納の場合は氏子各町が華やかさや運行形態に趣向を凝らし、競い合いっていることが多い。
渡御が夜間に行われる場合は、提灯行列が加わったり、山車に明りが灯されるなどする。
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