神産み
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日本神話にて、神産み(かみうみ)とは、イザナキ・イザナミが島々を生んだ(国産み)の後、神々を生み出していったことを指す。
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[編集] あらすじ
[編集] 古事記
イザナギ・イザナミは、様々な神々を生み出していったが、火の神カグツチを出産した際に、イザナミは火傷で死ぬ。愛する妻を失ったイザナギはその怒りから、迦具土(加具土)神を十拳剣で切り殺した(この剣に付着した血からまた神々が生まれる)。イザナギはイザナミをさがしに黄泉の国へと赴くが、黄泉の国のイザナミは既に変わり果てた姿になっていた。これにおののいたイザナギは逃げた。イザナギは、黄泉のケガレを清めるために、禊ぎをした。この時も、様々な神々が生まれた。最後に生まれたアマテラス(日の神、高天原を支配)・ツクヨミ(月の神、夜を支配)・スサノオ(海を支配)は三貴神と呼ばれ、イザナギによって世界の支配を命じられた。
[編集] 神産み
大八洲国およびその他の小さな島々を産み終えたイザナギ・イザナミは、神々を産んだ。ここで、産まれる神は、家宅を表す神および風の神・木の神・野の神といったような自然にまつわる神々である。
- 大事忍男神(おほことおしをのかみ)
- 石土毘古神(いはつちびこのかみ)
- 石巣比売神(いはすひめのかみ)
- 大戸日別神(おほとひわけのかみ)
- 天之吹男神(あめのふきおのかみ)
- 大屋毘古神(おほやびこのかみ)
- 風木津別之忍男神(かざもつわけのおしをのかみ)
- 大綿津見神(おほわたつみのかみ)
- 速秋津日子神(はやあきつひこのかみ)
- 速秋津比売神(はやあきつひめのかみ)
- 速秋津日子神と速秋津比売神は以下の神々を産んだ
- 沫那藝神(あはなぎのかみ)
- 沫那美神(あはなみのかみ)
- 頬那藝神(つらなぎのかみ)
- 頬那美神(つらなみのかみ)
- 天之水分神(あめのみくまりのかみ)
- 国之水分神(くにのみくまりのかみ)
- 天之久比奢母智神(あめのくひざもちのかみ)
- 国之久比奢母智神(くにのくひざもちのかみ)
- 速秋津日子神と速秋津比売神は以下の神々を産んだ
- 志那都比古神(しなつひこのかみ)
- 久久能智神(くくのちのかみ)
- 大山津見神(おほやまつみのかみ)
- 鹿屋野比売神(かやのひめのかみ)
- 別名は、野椎神(のづちのかみ)
- 大山津見神と野椎神は以下の神々を産んだ
- 天之狭土神(あめのさづちのかみ)
- 国之狭土神(くにのさづちのかみ)
- 天之狭霧神(あめのさぎりのかみ)
- 国之狭霧神(くにのさぎりのかみ)
- 天之闇戸神(あめのくらどのかみ)
- 国之闇戸神(くにのくらどのかみ)
- 大戸惑子神(おほとまとひこのかみ)
- 大戸惑女神(おほとまとひめのかみ)
- 鳥之石楠船神(とりのいはくすぶねのかみ)
- 別名は、天鳥船(あめのとりふね)
- 大宜都比売神(おほげつひめのかみ)
- 火之夜藝速男神(ひのやぎはやをのかみ)
- 別名は、火之炫毘古神(ひのかがびこのかみ)
- 別名は、火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)
- ところが、火の神である迦具土神を出産したために、イザナミの女陰が焼けてしまい、イザナミは病気になった。イザナミは、病に苦しみながらも、吐瀉物などから次々と神を生んでいった。
- 金山毘古神(かなやまびこのかみ、イザナミの吐瀉物から生まれる)
- 金山毘売神(かなやまびめのかみ、イザナミの吐瀉物から生まれる)
- 波邇夜須毘古神(はにやすびこのかみ、イザナミの大便から生まれる)
- 波邇夜須毘売神(はにやすびめのかみ、イザナミの大便から生まれる)
- 彌都波能売神(みつはのめのかみ、イザナミの尿から生まれる)
- 和久産巣日神(わくむすひのかみ、イザナミの尿から生まれる)
- 和久産巣日神には以下の一柱の子がいる。
- 豊宇気毘売神(とようけびめのかみ)
- 和久産巣日神には以下の一柱の子がいる。
[編集] 火神被殺
イザナギは、イザナミの死に涕泣した。この涙から、神がまた生まれた。
- 泣沢女神(なきさわめのかみ)
そして、イザナギは、イザナミを出雲国と伯伎(伯耆)国の堺にある比婆(ひば)の山に葬った。愛する妻を失ったイザナキはその怒りから、迦具土(加具土)神を十拳剣で切り殺した。この剣に付着した血からまた神々が生まれる。なお、この十拳剣の名前を「天之尾羽張」(あめのをはばり)、別名を伊都之尾羽張(いつのをはばり)という。
- 石折神(いはさくのかみ)
- 根折神(ねさくのかみ)
- 石筒之男神(いはつつのをのかみ)
- 以上三柱の神は、十拳剣の先端からの血が岩石に落ちて生成された神々である。
- 甕速日神(みかはやひのかみ)
- 樋速日神(ひはやひのかみ)
- 建御雷之男神(たけみかづちのをのかみ)
- 別名は、建布都神(たけふつのかみ)
- 別名は、豊布都神(とよふつのかみ)
- 以上三柱の神は、十拳剣の刀身の根本からの血が岩石に落ちて生成された神々である。
- 闇淤加美神(くらおかみのかみ)
- 闇御津羽神(くらみつはのかみ)
- 以上二柱の神は、十拳剣の柄からの血より生成された神々である。
また、殺された迦具土神の体からも、神々が生まれた。
- 正鹿山津見神(まさかやまつみのかみ、迦具土神の頭から生まれる)
- 淤縢山津見神(おどやまつみのかみ、迦具土神の胸から生まれる)
- 奥山津見神(おくやまつみのかみ、迦具土神の腹から生まれる)
- 闇山津見神(くらやまつみのかみ、迦具土神の性器から生まれる)
- 志藝山津見神(しぎやまつみのかみ、迦具土神の左手から生まれる)
- 羽山津見神(はやまつみのかみ、迦具土神の右手から生まれる)
- 原山津見神(はらやまつみのかみ、迦具土神の左足から生まれる)
- 戸山津見神(とやまつみのかみ、迦具土神の右足から生まれる)
[編集] 黄泉の国
イザナギは、イザナミを取り戻そうとして、黄泉国へと赴いた。黄泉に着いたイザナギは戸越しに、イザナミに「あなたと一緒に創った国土はまだ完成していません。帰りましょう。」と言ったが、イザナミは「黄泉の国の食べ物を食べたから」と答えた。(注:黄泉の国のものを食べると、黄泉の住人になると考えられていた。これを「よもつへぐい」と言う。)「黄泉神と相談しましょう。お願いですから、私の姿は見ないで下さいね。」とイザナミは言い、家の奥に入っていった。
イザナギは、なかなか戻ってこないイザナミに痺れを切らし、自分の左の角髪(みずら)につけていた湯津津間櫛(ゆつつなくし)という櫛の端の歯を折って、火をともして、中を覗き込んだ。すると、イザナミは、すでに美しきイザナミではなく、蛆がたかり、声はむせびふさがっており、体には8柱の雷神がまとわりついていた。雷神の名は以下の通り。
- 大雷(おほいかづち、イザナミの頭にある)
- 火雷(ほのいかづち、イザナミの胸にある)
- 黒雷(くろいかづち、イザナミの腹にある)
- 折雷(さきいかづち、イザナミの陰部にある)
- 若雷(わかいかづち、イザナミの左手にある)
- 土雷(つちいかづち、イザナミの右手にある)
- 鳴雷(なりいかづち、イザナミの左足にある)
- 伏雷(ふしいかづち、イザナミの右足にある)
これにおののいたイザナギは逃げ帰ろうとしたが、イザナミは自分の醜い姿を見られたことを恥じて、黄泉醜女(よもつしこめ)に命じて、イザナギを追わせた。
イザナギは、蔓草を輪にして頭の上に載せていたものを投げ捨てた。すると、葡萄の実がなり、黄泉醜女が食べている間、逃げた。しかし、まだ追いかけてくるので、右の角髪(みずら)につけていた湯津津間櫛(ゆつつなくし)という櫛を投げ捨てた。すると、タケノコがなり、黄泉醜女が食べている間、逃げた。だが、またさらに、イザナミは先ほどの8柱の雷神と黄泉の国の兵士達にイザナギを追わせた。イザナギは、十拳剣で振り払いながら逃げたが、それでも追ってきた。黄泉比良坂の坂本に着いた時、坂本にあった桃の実を3つ投げたところ、追ってきた黄泉の国の悪霊たちは逃げ帰っていった。
ここで、イザナギは、桃に「人々が困っている時に助けてくれ」と言って、意富加牟豆美命(おほかむずみのみこと)と名づけた。
最後に、イザナミ本人が追いかけてきたので、イザナギは千人がかりで動かすような岩で黄泉比良坂をふさぎ、悪霊が出ないようにした。その岩を間にして、対面して、この夫婦は分かれることとなる。この時、イザナミは一日に千人を殺そうと言い、これに対しイザナギは一日に千五百人生もうと言った。これは、人間の生死の由来を表している。
なお、この事件から、イザナミのことを黄泉津大神(よもつおほかみ)・道敷大神(ちしきのおほかみ)とも呼び、黄泉比良坂を塞いだ大岩を道返之大神(ちかへしのおほかみ)・黄泉戸大神(よみとのおほかみ)とも言う。なお、古事記では、黄泉比良坂は出雲国の伊賦夜坂(いふやのさか;現島根県東出雲町)としている。
[編集] 禊祓と三貴子の誕生
イザナギは、黄泉の穢れから身を清めるために、竺紫(つくし)の日向(ひむか)の橘の小門(をど)の阿波岐原(あはきはら)へ行って、禊を行った。身に着けていた物を脱ぐことによって十二神が生まれた。
- 衝立船戸神(つきたつふなとのかみ、杖から生まれる)
- 道之長乳歯神(みちのながちはのかみ、帯から生まれる)
- 時量師神(ときはかしのかみ、袋から生まれる)
- 和豆良比能宇斯能神(わづらひのうしのかみ、衣から生まれる)
- 道俣神(みちまたのかみ、袴から生まれる)
- 飽咋之宇斯能神(あきぐひのうしのかみ、冠から生まれる)
- 奥疎神(おきざかるのかみ、左手の腕輪から生まれる)
- 奥津那芸佐毘古神(おくつなぎさびこのかみ、同上)
- 奥津甲斐弁羅神(おきつかひべらのかみ、同上)
- 辺疎神(へざかるのかみ、右手の腕輪から生まれる)
- 辺津那芸佐毘古神(へつなぎさびこのかみ、同上)
- 辺津甲斐弁羅神(へつかひべらのかみ、同上)
「上流は流れが速い。下流は流れが弱い」と言って、最初に中流に潜って身を清めた時に二神が生まれた。この二神は黄泉の穢れから生まれた神である。
- 八十禍津日神(やそまがつひのかみ)
- 大禍津日神(おほまがつひのかみ)
次に、その禍(まが)を直そうとすると三神が生まれた。
水の底で身を清めると二神が生まれた。
- 底津綿津見神(そこつわたつみのかみ)
- 底筒之男神(そこつつのをのかみ)
水の中程で身を清めると二神が生まれた。
- 中津綿津見神(なかつわたつみのかみ)
- 中筒之男神(なかつつのをのかみ)
水の表面で身を清めると二神が生まれた。
- 上津綿津見神(うはつわたつみのかみ)
- 上筒之男神(うはつつのをのかみ)
底津綿津見神・中津綿津見神・上津綿津見神は阿曇連らが信仰している神で、阿曇連らは、これら三神の子の、宇都志日金析命(うつしひかなさくのみこと)の子孫である。底筒之男神・中筒之男神・上筒之男神は墨江(住吉大社)の三柱の大神(住吉三神)である。
次に左の目を洗うと天照大御神(あまてらすおほみかみ)が生まれた。右の目を洗うと月読命(つくよみのみこと)が生まれた。鼻を洗うと建速須佐之男命(たけはやすさのをのみこと)が生まれた。イザナギは、最後に三柱の貴い子を得たと喜び、天照大御神に首飾りの玉の緒を渡して高天原を委任した。その首飾りの玉の名を、御倉板挙之神(みくらたなののかみ)と言う。月読命には夜の食国(をすくに)を、建速須佐之男命には海原を委任した。
[編集] 日本書紀
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