総販 (システム)
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総販(そうはん)は、北海道旅客鉄道(JR北海道)で使用される、発売系のコンピュータシステム。
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[編集] 概説
JR北海道のみどりの窓口を支えるオンラインシステムで、JR各社で使用されるマルスシステムとは別の、JR北海道独自のものである。発券システム部分がマルス端末内の一部としてコンピュータのメインメニューに組み込まれている。メインは発売から締切までを行うシステムである(JR北海道仕様のマルス端末で発売された券片情報は全て総販システムに登録され、発券照会等を行うことが可能)。また、総販システムはマルス端末(総販システム呼称では販売端末)の他にPC端末を用いた後方端末・情報端末から構成されており、後方端末より箇所の締切帳票類の出力等を行うことが可能である。
マルス端末内では、メインメニュー内にある個別業務が総販で、さらに鉄道業と共通業務に分かれている。乗車券類発券は鉄道業を使用し、乗車券類の控除や払戻操作などは共通業務を使用する。他に旅行業を扱う画面を持っており、これを用いてパック商品(鉄道+旅館券等)の発売も可能となっている。
乗車券、自由席券、定期券、回数券、特別企画乗車券、イベント券、契約乗車票(マル契)などの自社完結商品を発券する際に使用される。中央装置(ホストコンピュータ)に接続する必要がある他社関連の乗車券類、指定券、他にクレジットカードでの発券は総販ではできないため、マルスでの発券となる(総販で発券して切符に「C制」のゴム印を押印し、マルスメニューでCS控除をすることもある)。この総販では他に、東京モノレールなどの船車券も発券できる(総販で発券された乗車券類をマルスクレジットで処理することも行われている。また総販システムで発券された乗車券類はJR他社において正式に認められていないため自社完結の乗車券類しか発売することができない。ちなみに他社関連の契約乗車票は手書き発券される)。
総販で発券された乗車券類券面の左下には、四角で囲まれた「総販」という文字が印字される。 乗車券番号は、マルスで発券した乗車券類は7桁(5桁-2桁)に対し、総販で発券した乗車券類は10桁(4桁-4桁-2桁)となっている。 総販の場合、最初の1桁が乗車券番号のチェックビット(乗車券番号を7で割った余りが表示される)、次の3桁が総販端末番号、次の4桁が乗車券番号、最後の2桁が乗車券番号の枝番号となっている。(マルスの場合は、最初の1桁が乗車券番号のチェックビット、次の4桁が乗車券番号、最後の2桁が乗車券番号の枝番号)
また、総販で発券された乗車券類券面の右側下のほうに、「N◯◯◯」というものが印字される。(◯◯◯には、3桁の数字が入る)このN符号は、1月1日から12月31日までN符号が割り当てられており、窓口の締切集計後に発行した乗車券類は、翌日のN符号となる。
簡易委託駅で販売する乗車券類の発行も可能であり、その場合は駅名の前に「○ム」が付加され、発行箇所には「○簡」が付加される。なお、発行は受託者があらかじめ管理駅に必要枚数を頼んだ上で行われる。なお発行日は、管理駅における発行日が表記され、使用開始日は空欄となっている。そのため受託者は使用開始日にゴム印を使って使用開始日を表記する。乗車券においては通常の乗車区間表記のほか、金額表記のものもある。なお、知内駅と天塩中川駅では、特急自由席券も発売されているが、この場合、特急券などの料金券に対しては、この種の「○ム」表示を行う必要がないため、駅名の前に「○ム」が付加されない。
なお、総販とは総合販売システムの略称。
[編集] 旅行業
総販独自の「旅行業画面」というものがある。旅行業商品を発売する際はこの画面を使用し、実際に発券される会員券、バウチャー券などは総販のきっぷとなる。
船車券などのきっぷを発券する際も旅行業画面を使用する。旅館券や航空券に関しても総販システムではこの画面を使用する(マルス共同在庫及びマルス接続の航空券出力の場合は、マルス機能を用いるためこの画面は使用しない)。
[編集] クレジットカードでの購入
マルスでは、端末の画面上にある『クレジット』というボタンを押下することによって、クレジットカードで乗車券類を発券することができる。しかしながら前述のように、総販ではクレジットカードで乗車券類を発券することはできない。クレジットカードで総販券を購入したい場合は(特に総販券でしか発券出来ない券種の場合)、係員が「金額入力」(額入)という操作を行い、券面に『C制 R***』という判子を押捺する。「C制」とはクレジットカードでの購入を意味し、「R***」とは払戻しの際に必要となる通番のことで、3桁の数字が入る(クレジットカードの「金額入力」(額入)操作は総販システムではなくマルスシステムの機能である。ちなみに旅行センターではマルスクレジットではなく、通常のクレジットカード取扱店と同様にG-CATやCATT端末が使用される)。
[編集] 機種
基本的にJR北海道で導入している主流のMR12型(MR10)であるが、機器の老朽化に伴い、保守部品の確保が困難となっていることなどから、最近では感熱印刷のMR32型に置き換わりつつある。
[編集] 備考
- 総販設置駅でもマルスを利用した切符は購入可能である。このため、鉄道ファンの人が「総販とマルスの入場券を下さい」とみどりの窓口で2種類の入場券を買い求めることがある。
- 札幌駅~琴似駅、札幌駅~新札幌駅という区間での回数券、定期券を購入すると、券面の区間印字が「札幌⇔琴似・八軒」、「札幌⇔新札幌・厚別」となる(発駅は札幌駅でなくてもいい)。これは桑園駅以西の函館本線、学園都市線及び白石駅以東で千歳線、函館本線が分岐する関係で設けられた特例である。普通乗車券やマルスシステム発行の回数券と定期券では適用されない。
- JR北海道でのMV端末導入に伴い、Rきっぷ等の指定券付加型の特企券の発券は道内完結型であってもマルス発券に切り替わりつつある(総販券ではマルスシステムの発行替に対応できないため)。