萬弘寺の市
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萬弘寺の市(まんこうじのいち)は大分県大分市坂ノ市にある萬弘寺の門前で行われる市である。大分県三大市の1つ。例年5月18日から5月24日の7日間催され、期間中土曜日の未明には暗闇の中での物々交換市が行われる。
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[編集] 縁起
- 6世紀頃(伝承では用明天皇元年10月)に用明天皇が密かに九州(筑紫国~日向国)を巡幸した際、安万郡(海人部)日吉邑(現在の大分市坂ノ市日吉原)において病を発したが、地元の村人達の献身によって回復する。これに感激した天皇はその地に寺を建立することを約束した。このとき病気平癒を祈念して薬師如来像を彫刻した豊国法師が開基であるとされる。
- 用明天皇の死後、聖徳太子が父天皇の菩提を弔う為に萬弘寺大伽藍を建立する(596年造営開始-604年完成)。門前には市が開かれ、日吉浜で獲れた海の幸、丹生台地で穫れた山の幸などの取引が物々交換の形で行われるようになった。7世紀中には既に定期市としての体裁を成していたとされる。
- 940年前後に発生した藤原純友の乱において萬弘寺は略奪・破壊を受ける。寺の再建と共に市も復活。
- 応永年間に大友氏第11代大友親著により精舎が再建され、現在の本尊である聖観世音菩薩像が安置される。この観音菩薩の縁日が現在の市の開催期間である。
- 1586年には島津氏が来襲し寺は全焼。後に再建されるも荒廃した状態が続き、江戸時代には廃寺の扱いを受ける。
- 近代になって宗派は創建当時と異なるものの寺としての機能を回復。市も現在と同じく年1回の祭事として行われるようになる。
[編集] 恒例行事・出展
- 物々交換市(通称「暗闇市」「だまし市」)
- 以前は初日の午前3時30分開始であったが、現在は期間中の土曜日に行われる。大分方言で「交換しませんか?」を意味する「かえんかえ~」の掛声と共に佐賀関から来た「おなご衆」と呼ばれる漁師の女性達、山間部から来た「おとこ衆」と呼ばれる農家の男性達を中心に、地元住民、観光客などが互いに相手の持ち物を見定めながら物々交換を行う。
- 植木市(期間中開催)
- 池坊いけばな展
- 地元小学生鼓笛隊パレード
等
物々交換市を除いては、屋台が立ち並ぶ一般的な縁日の風景となる。
[編集] 交通アクセス
廣徳山 萬弘寺
- JR日豊本線坂ノ市駅より徒歩10分
- 東九州自動車道大分宮河内インターチェンジより10分