藤崎竜
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藤崎 竜(ふじさき りゅう、1971年3月10日 - ) は、日本の男性漫画家。青森県むつ市(旧下北郡川内町)出身。工学系専門学校卒。血液型はA型。細かい絵柄と鮮やかなカラー絵が特徴である。代表作は『封神演義』など。初期の頃のペンネームは漢字表記は同じだが、読みが「ふじざき りゅう」だった。第39回手塚賞佳作。第40回手塚賞準入選。愛称は「フジリュー」、「プティタキテュー」。
2006年6月21日には初の画集『藤崎竜イラスト集1990-2006 PUTITAKITYU』が発売された。
目次 |
[編集] 来歴
- 幼い頃からパソコンをいじっており、10代の頃はシステムエンジニアになるのが夢で専門学校に通っていた。専門学校在学中の1990年に自分の腕が漫画界に通用するかを試すため「実験」と称して、週刊少年ジャンプに漫画(『ハメルンの笛吹き』)を描いて送ったところ、第39回手塚賞の佳作を受賞し、それがきっかけで漫画屋(藤崎は漫画家のことを「漫画屋」と呼ぶ)を目指すようになる。再びジャンプに応募した『WORLDS』で第40回手塚賞に準入選し、それがジャンプの増刊に載り、漫画屋デビューする。
- デビュー後、3本の読み切りをジャンプ本誌や増刊に描いて、1992年には初の単行本、短編集『WORLDS』を出版する。同年末には『PSYCHO+』で初連載するが、人気が揮わず短期間で連載が終了する。
- 連載終了後、再び増刊に読み切りを3本描き、3年のインターバルを経て1996年に連載を開始した『封神演義』が人気作になり、1999年にはアニメ化された。
- 2000年に『封神演義』は円満完結。その後、2002年に『サクラテツ対話篇』、2004年~2005年に『Wāqwāq』を連載するが、いずれも短期打ち切りで終了している。
- 『Wāqwāq』打ち切り後、増刊「ジャンプ the REVOLUTION!」にて読切作品『天球儀』が掲載された。
- 2006年には初の画集『藤崎竜イラスト集1990-2006 PUTITAKITYU』を発売。同年、バンダイの食玩『共生魔神ぐりりんパンチャー』のメカ・キャラクターデザインを担当し、Vジャンプ11月号に販促用の読切作品を掲載した。
[編集] 人物
- 自分の作品の事についてはインタビュー以外では一切語ろうとしない。それは、漫画屋として解説などをしてはいけないというポリシーがあるためである(つまり、言葉ではなく漫画から自分の意思を読み取って欲しいということであろう)。その代わり、単行本の編集の都合で空いたページに自分の考えていることなどをエッセイ風に書いた「駄文(ダブン)」と、似たようなもので巻末に後描き漫画「断崖絶壁今何処(だんがいぜっぺきいまいずこ)」というコーナーを設けており、藤崎の変わった思考を垣間見ることが出来る。ファンの間ではこのコーナーは人気がある。
- 文学や哲学を良く学んでおり、多くの著書を読んでいる。古代ローマが好きで、キャラクター名など固有名詞にも古代の人物名等からとったものがいくつかある。
- 大のゲーム好きで、最近ではモンスターハンターシリーズを気に入っている模様。
- 教育テレビを観るのが趣味で、『Wāqwāq』などではそれらに影響されたと思われるマスコットキャラクターを多くデザインしている。
- かなりの偏食家で、野菜と果物を好み、魚と肉ときのこが嫌いである。肉は血管や脂身が苦手で基本的には受け付けないが、ある周期が来ると食べたくなるらしく、ベーコンとウィンナー、ハンバーグなど、肉の原型が判らないように調理されたものなら食べられるそうである。ハンバーグの中でも特におろしハンバーグが好きだとか。きのこも「これはきのこの山だ」と念じれば食べられるそうである。しかし、『封神演義』連載時の話なので、今現在の好みは不明。
- 本人曰く、普通の人よりも首が長いそうで、彼の描く人物の首が長めなのは、その影響があるものと思われる。
- 好きなスポーツはスノーボードであり、漫画の連載で忙しい中でも遊びに行くほどである。
- 同期デビューで同い年の叶恭弘とは仲がよく、また道元宗紀とも親交が深く、『PSYCHO+』2巻のあとがきには『DIGITALIAN』で、一時的なアシスタントをしてもらった道元と叶へのお礼のメッセージが記されている。
- 喫煙者である。タバコを吸う理由として本人曰く「タバコを吸わないと脳細胞が増えすぎて、物事を深く考え過ぎてしまう」とのこと。タバコを吸わなかった時期、1つ漫画に重いテーマを詰め込みすぎて、読み切り漫画(おそらく『DRAMATIC IRONY』のこと)のネームに4ヶ月も悩み続けたそうである。世間的に禁煙の気運が高まる中、橋本龍太郎(『封神演義』連載時は総理大臣)の「私はタバコをやめない」という発言に拍手をしたらしい。
- 『PSYCHO+』を連載していた頃はパチンコにハマっていた。
- 『封神演義』連載中期の頃にはシルバーアクセサリーに傾倒した様子が見える。全身アクセサリーづくめの王天君を筆頭に、登場人物の衣装・小物にシルバーアクセサリーのデザインを応用したものが随所に登場している。
[編集] 作風
初期の頃(『ハメルンの笛吹き』からまで『伝染源』まで)の絵柄は、独特の雲の描き方、髪の毛を1本1本描く、水彩画のような塗り方など、少年漫画らしくない繊細な雰囲気があり(むしろ少女漫画の様であった)、そのため、女性と思われることが多かった。ファンの間では天野喜孝の影響を受けたのではないかといわれている。また、ダークな話が多く、この頃の作風が好きなファンが多い。
1993年の読み切り『DIGITALIAN』で少年漫画らしい絵柄に変化し、話もコミカルな感じになったが、1995年発表の読み切り『DRAMATIC IRONY』では「悪と正義」をテーマにしたダークな話になり、絵柄も重苦しい感じだった。藤崎自身も「この漫画の話を解る人は凄い」と言うほどである。
1996年に連載が開始された『封神演義』では前作とは打って変わって、話のノリや絵柄がかなり少年漫画らしくなった。ゲームや他の漫画のパロディを交えたギャグも豊富である。初期の頃の彩色は、パソコン環境の関係上コピックを使用していた。連載が進むにつれて、線が細くなるなど絵柄が変化し、藤崎独特の世界観が濃くなったため、話が難しくなっていった。連載半ばには彩色もパソコンによるCGに切り替わった。『封神演義』連載中に掲載された読み切り『ユガミズム』、『milk junkie』の2本はどれもギャグ漫画で、『ユガミズム』はラブコメの要素を加えており、『milk junkie』ではストーリー展開が凝っている。藤崎本人は『ユガミズム』の出来を気に入っていないようで、「『milk junkie』は満足のいく出来」というほど気に入っているようである。
2000年に連載された『サクラテツ対話篇』では、藤崎の好きな哲学を加えた本格的なギャグ漫画となったが、あまりのシュール(ブラック・ユーモア)さにファンですら、ついていけない人が多かったようである。絵柄は『封神演義』連載末期の雰囲気を感じさせつつ、目の描き方などが今風(俗に言う「萌え絵」)になっている。 2004年から2005年にかけて連載された『Wāqwāq』では、壮大で緻密な世界と神々しさ感じる哲学観で一部に熱狂的なファンを獲得した。
ほとんどの時代にいえることは、背景やメカに対する細かい描き込み、スクリーントーンとCGを多用した、まるでアニメのセル画ように見える絵柄が特徴である。単純明快な作品を求めるジャンプと矛盾し、哲学や神学、宗教などを参考文献にした一部の人にしか理解されないカルトチックで不可思議な世界を描いている。また、人間の心情(精神)を細かく描写する。
戦闘シーンの描写は、ほとんど動きのある描写は描かず(本人曰く「うまく描くのが苦手」なのだそうだ)、静止画のような止めのカットが多く、それを激しいエフェクト描写でカバーしている。また、1コマで飛び道具が交錯する超絶シューティングというべき戦闘も多く、藤崎が好むゲームの影響があると思われる。しかし、それらの一方で藤崎はシリアスシーンに無理矢理ギャグを入れようとする傾向があり、その点については批判されることが多い。
また2006年画集発売記念インタビューで詳細不明の軍人とお姫様のラフが公開された。
[編集] 作品リスト
括弧内の文章は、漫画が製作された、あるいはジャンプに掲載された西暦年と、載った号や雑誌を記載している。
[編集] 漫画・画集
- WORLDS(短編集1/ISBN 4-08-871035-5)
- PSYCHO+(全2巻/1992年週刊少年ジャンプ51号~1993年11号/ISBN 4-08-871686-8)
- 封神演義(全23巻/1996年週刊少年ジャンプ21号~2000年47号ISBN 4-08-872141-1)
- 封神演義公式ファンブック『封神大全』(1999年/ISBN 4-08-782760-7)
- DRAMATIC IRONY(短編集2/ISBN 4-08-873093-3)
- サクラテツ対話篇(全2巻/2002年週刊少年ジャンプ1号-21号/ISBN 4-08-873285-5)
- Wāqwāq(全4巻/2004年~2005年/ISBN 4-08-873766-0)
- 天球儀(2005年/ジャンプ the Revolution!)
- 封神演義 完全版(全18巻/ISBN 4-08-873736-9)
- 藤崎竜イラスト集1990-2006 PUTITAKITYU(2006年6月21日発売/ISBN 4-08-874091-2)
- 共生魔神ぐりりんパンチャー(販促用の読切/2006年Vジャンプ11月号)
[編集] 挿絵
- 眠り姫は魔法を使う(霧咲遼樹/1995年/集英社ジャンプノベルズ/ISBN 4-08-703038-5)
- RIPPER GAME(霧咲遼樹/1996年/集英社ジャンプノベルズ/ISBN 4-08-703047-4)
- D室の子猫の冒険(霧咲遼樹/1998年/集英社ジャンプノベルズ/ISBN 4-08-703065-2)