虹のかなた
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『虹のかなた』とは、毎日放送(MBS)製作、TBS系列で放送された昼ドラマ。『ドラマ30』枠で2004年8月2日から10月1日にかけて、毎週月曜日から金曜日まで13:30から14:00にかけて放送された。主演は榎本加奈子。
名称は、1939年のジュディ・ガーランド主演の映画『オズの魔法使い』で歌われた「虹のかなたに」に由来する。
「ドラマ30」枠の作品は比較的明るい・家族的な話が多いが、『虹のかなた』は昼ドラとしては幼少時代の辛くても負けない「根性」を中心とした描写と復讐時代のドロドロ描写が入り混じった「異色」のドラマであった。
目次 |
[編集] キャスト
- 小川 ちひろ(おがわ - ) - 榎本加奈子
- 幼少時代 - 尾﨑千瑛
- 小川 久美子(おがわ くみこ) - 斉藤慶子;ちひろの母、小川直之の妻。旧姓遠藤。
- 小川 直之(おがわ なおゆき) - 冨家規政;「(株)オガワ」社長。ちひろの父。
- 水沢 晶(みずさわ あきら) - 伊藤かずえ;川嶋プロダクションの敏腕マネージャー。のちに独立して水沢オフィス社長。
- 唐沢 佳和(からさわ よしかず) - 涼平(現・小田井涼平);演出家志望の青年。
- 遠藤 隆(えんどう たかし) - 甲本雅裕;うどん店「けむりや」店主。久美子の弟。
- 遠藤 美由紀(えんどう みゆき) - 岩崎良美;隆の妻。
- 遠藤 奈緒子(えんどう なおこ) - 岡元夕紀子;遠藤夫妻の娘
- 幼少時代 - 水黒遥日
- 中野 勇(なかの いさむ) - 小木茂光;「(株)ナカノ」社長。
- 中野 健一(なかの けんいち) - 松田悟志;中野勇の息子
- 幼少時代 - 塩顕治
- 立野 繁造(たての しげぞう、しげ爺) - 藤村俊二;芸能界の裏面を知る某企業の会長職にある老人
- 名越 達昭(なごし たつあき) - 小林すすむ;「(株)オガワ」元部長。後に「(株)ナカノ」専務。
- 吉川 光子(よしかわ みつこ) - 松金よね子;「(株)オガワ」の誠実な社員。
- 桜庭専務(さくらば) - 岡本信人;「(株)オガワ」元専務。
- 秋葉工場長(あきば) - 赤塚真人
- 唐沢 ゆき子(からさわ ゆきこ) - あき竹城;佳和の母。拘置所の看護婦。
- 松村 栄子(まつむら えいこ) - 角替和枝;久美子の内職仲間。
- 長瀬 満喜夫(ながせ まきお) - 石丸謙二郎;慶成病院の医師。
- 鳥羽刑事(とば) - 丸岡奨詞
- 山元刑事(やまもと) - ノッチ
- 大原 静子(おおはら しずこ) - 稲田奈緒;往年の国民的女優
- 大原 麻利子(おおはら まりこ) - 石川みなみ;静子の娘。
- 広川 真紀(ひろかわ まき) - 本多彩子
- 幼少時代 - 北村美渚
- 広川 まひろ(ひろかわ まひろ) - 工藤優;真紀の娘。
- 田代 茜(たしろ あかね) - 浅井江理名
- 幼少時代 - 小川真奈
- 川嶋 五郎(かわしま ごろう) - 鶴田忍;川嶋プロダクション社長
- 熊沢部長(くまざわ) - 大高洋夫;川嶋プロダクション部長
- 油谷 平作(あぶらだに へいさく) - 中上雅巳;川嶋プロダクション社員。のちに水沢オフィス社員。
- 滝山 里江(たきやま さとえ) - 伊佐山ひろ子;柴田の元愛人。
- 柴田(しばた) - 山本龍二
- 柴田 啓三(しばた けいぞう) - 品川徹;柴田の父。
ほか
[編集] スタッフ
- プロデューサー:登坂琢磨(MBS)、黒沢淳(テレパック)
- 企画・脚本:登坂絵里香
- 脚本:楠本ひろみ
- 演出:竹園元(MBS)、池澤辰也、大久保智己、村上牧人(テレパック)
- 音楽:渡辺俊幸
- 協力:フォーチュン、フジアール、砧スタジオほか
- 制作協力:テレパック
- 製作・著作:毎日放送
[編集] 主題歌、劇中歌
- 「赤い糸」作詞:Sumika,作曲:Yuka(Les.R)
- 「Over the Rainbow」作詞:H.Arien,訳詞:たかのゆみこ
- 「Pure」作詞:mavie,作曲及び編曲:渡辺徹 この曲は、ドラマ30「がきんちょ~リターン・キッズ~」でも使用したことがある。
[編集] ストーリー
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
この作品は、主に、主人公の小川ちひろの小学生時代を描く前半の子供時代(1話~19話)と、
前半から14年経過した大人時代(20話~45話)の後半部分に分けられる。
前半部分では、ミュージカル「オズの魔法使い」を観た小川ちひろが感動し、女優になる決心をする所から物語が始まる。
また同時に、ちひろの父親の運転手をしていた中野勇が、小川一家の幸せな家庭の団らんを見て、復讐を決意する。
ドラマは、小川家と中野家の両方に関わってくるけむりやの遠藤家と、主人公の生き方に影響を与える唐沢家、この4つの家族を軸に展開して行く。
前半では、中野勇が小川一家に復讐をし、後半では、小川ちひろが中野勇に復讐をするという悲しくも皮肉な復讐劇であるが、このドラマは復讐がメインの話しではなく、「夢」と「家族」がメインテーマに描かれたヒューマン・ファンタジーであり、「人が生きてゆく為に必要なものとは何か?」ということを、各登場人物を通して観ている人に投げかけた物語である。 (下記には38話分まで記述)
[編集] 第1部(少女時代の悲劇)
小川家の悲劇から、ちひろがビタースウィーツでデビューするまで
小川ちひろ(尾崎千瑛)は、環境機器メーカー「オガワ」の社長令嬢であった。オガワは、逆恨みから新製品の特許を元運転手の中野勇(小木茂光)に奪われ、倒産に追い込まれる。社員の生活や会社の負債の返済を考えた社長の小川直之(冨家規政)は、保険金で支払おうと自殺をしてしまう。
残された直之の妻・久美子(斉藤慶子)とちひろは、久美子の弟・遠藤隆(甲本雅裕)をたより、そのうどん店で住み込みで働くことになるが、隆の妻・美由紀(岩崎良美)は、収入のない小川母子の弱みにつけこみうどん店の仕事をさせたほかに家事をさせて月1万円という信じられない薄給でこき使い、忙しさのために病院の定期検診にもいけないくらいだった。それでも久美子はお芝居の好きでたまらないちひろのために中野の会社の内職をこっそりはじめるのだった。しかし、久美子は無理がたたりがんを再発、しかも中野の会社の内情を知る工場長の秋場(赤塚真人)殺しの罪をなすりつけられてしまう。
久美子は、ちひろの劇団の月謝を中野に保証してもらいたいばかりに黙秘を続け、がんが悪化し、拘置所内の医務室で看護婦の唐沢ゆき子(あき竹城)にみとられながら、「夢はだれにも盗めない。夢はちひろのだけのたからもの」とメッセージや遺言のような言葉を残してついに息をひきとってしまう。ちひろは、やがて中野家に引き取られることになる。
母親の死後、小川ちひろは母の突然の死と叔母に劇団を強引に退団させらてしまったことが原因で、激しい絶望感の中、いつも行く公園で落ちこんでいた。そんな時、老人が公園で暖かい励ましの声をかけてくれた。後にちひろの師匠となるしげ爺こと立野繁造である(藤村俊二)。かすかな希望の光りが見えてきたちひろは、奈緒子やその友達たちが地面に投げ捨てた芸能雑誌に掲載されていた川嶋プロのオーディションの記事を見て受けようと決心する。しかし、保護者である中野に同意してもらえない為に印鑑を盗んでしまうという最後の手段をとるが、中野に見つかってしまい叔母から体罰を受ける。味方だと信じていた叔父の隆にも理解してもらえず鉄橋から飛び降りようとしたところ、以前近所の公園で出合った不思議な老人「しげ爺」に助けられ、オーディションに応募することができた。
書類選考、地方予選と次々通過した。全国大会の選考会議では、ちひろを推す意見と茜を推す意見が多かった。申込書を渡したときからちひろを10年に一度以上の才能とみこんだ水沢晶(伊藤かずえ)は、遠藤美由紀のちひろの過去についての「告発」にもかかわらず、選考会議でちひろを賞に選ぶことを強く主張し、ちひろは、審査員特別賞に選ばれることになった。グランプリ受賞の田代茜(小川真奈)と最終選考合格者の広川真紀(北村美渚)とともに、グループ「ビタースウィーツ」を結成し、デビュー曲「Pure」は、大ヒット、一躍マスコミの寵児となる。
しかし、それを快く思わない中野は、怪文書や週刊誌のゴシップ記事で川嶋プロに脅しをかける。一時は、涙の記者会見を企画し、切り抜けようとするが中野の攻撃はやまず、ちひろは姿を消した。川嶋プロは「ビタースウィーツ」に見切りをつけ、晶は責任をとって退職した。
[編集] 第2部(復讐)
14年後.....潜伏して復讐の機会をねらうちひろと小さな劇団の主演女優のちひろ
14年後、母久美子が罪を着せられた秋場殺害事件の時効まであと10ヶ月に迫ったころ、ちひろは、母の無実を証明するために、昼間はベビーシッター、企業調査事務所、夜は、ホステスになりすまし、中野の身辺をさぐっていた。中野の部下の専務名越(小林すすむ)が自分の属する店にきたときに盗聴器をしかけ、秋場殺害の実行犯が柴田という男であることを知る。そして、雑誌記者として中野の悪事を暴いた記事を書き本格的な復讐を開始した。
一方、14年前、ミュージカル「オズの魔法使い」の舞台裏で働いていた演劇青年唐沢佳和(涼平(現・小田井涼平))は、自分が主宰する劇団の公演を控え、資金繰りに苦しんでいた上になけなしのチケット代を持ち逃げされてしまった。佳和は、持逃げ犯の少年に突き飛ばされたちひろに偶然出会うことになり、オズの魔法使いが好きな人がそんなに簡単に夢をあきらめられるのか、とちひろに問い返されて励まされる。またちひろは、匿名で150人分のチケット45万円を購入して佳和の劇団公演の窮地を救った。
そのことを聞いた奈緒子(岡元夕紀子)は、自分が買ったかのようにと嘘をつき、得意そうに劇団レインボウの練習を見学しにいく。その際、主役の女優がフィナーレ部分で苦戦しているところを奈緒子にけなされたため、降りてしまう。しかたなく、佳和は、代役をさがすがなかなかみつからない。そこでちひろにたのめないかと考えはじめていた。それを読みとった奈緒子は、自分が主役をやることを申し出たが、その演技は稚拙であり、劇団員は激怒してしまう。佳和は、ちひろを見つけだして主役をたのむが、いくら出すのか、他人の夢にはつきあっていられない、とすげなく断わられてしまう。彼女の頭の中は復讐のことでいっぱいだったからだった。
その帰り道、父親を看病しにくるちひろをいぶかった秋葉殺しの実行犯・柴田(山本龍二)は、神社で背後からちひろにおそいかかる。たまたま、通りかかった佳和は、ちひろを助け出すが、柴田に突き飛ばされ、神社の石段からころげおちて大怪我をしてしまう。そして彼は心因性言語障害におちいって声がでなくなってしまう。後に、柴田の父はついに病死してしまうが、ちひろが最後まで看病を続けてきてくれたことに満足して亡くなっていった。柴田は、ちひろの復讐に協力することを約束した。
その後、ちひろは、自分のために入院することになってしまった佳和のために劇団レインボウの公演の主役を引き受けることにした。ちひろは、お芝居の世界にもどることを期待しているしげ爺にチケットを送った。うどん店、「けむりや」の主人隆は、雑誌の記事の真偽を中野にたずねるが、これをひそかにうるさがった中野は、居留守を使った上、社員である隆の娘奈緒子を突然解雇した。広報課長であった中野の息子、健一(松田悟志)は、部下で同窓生だった奈緒子を解雇されたことで父である中野に対して不信感を強めた。
そんなとき、真紀(本多彩子)の子供、まひろ(工藤優)が迷子になり、健一に保護されるという「事件」があった。まひろはちひろの子供だと思い込んでいる健一はちひろを中野家に呼び出し、まひろに謝るように言う。まひろは、すっかり健一になついてしまい、次の土曜日に3人で会うことになる。その後、「けむりや」が放火されるという事件が起こる。ちひろは、茜(浅井江理名)が雇われママをしているクラブ「Bitter Sweets」で「チカ」という名のホステスとして働いていたが、客としてやってきた中野の会社の専務である名越がやけどで手に包帯を巻いているのを見て、「けむりや」の放火が中野の指示だと確信する。
劇団レインボウは、無事に公演当日を迎え、会場には、ちひろを「小沢史子」と考えている真紀と健一、ホステスのチカと考えている茜、そして、「しげ爺」がやってきていた。未知の原石に会えるかもしれないと考えてたまたま会場に来ていた晶は、「しげ爺」の姿をみて驚きを覚えていた。
劇団レインボウの「オズの魔法使い」を現代風にアレンジした劇「オズを夢見て」の公演は成功裏に終り、劇団員たちは口々に喜びを言い表した。
ちひろの演技を見た晶は、ちひろの事務所を訪れ、芸能界へ戻るようすすめるが、ちひろは、きっぱりと断った。しかし、晶は、決してあきらめない意志を言い残してその場を辞した。
ちひろは、復讐の機会をねらう生活にもどる。
放火されたあと、何度か中野の会社を訪れた隆は、そのたびに居留守を使われていたが、ある日名越の火傷を見て、中野への疑いを強めた。うるさがった中野は、しぶる名越に隆のことをなんとかするよう指示する。火災後の片づけをしている隆が一人になったところを狙って暴漢たちに隆を襲わせるのだった。
クラブ「Bitter Sweets」に来た名越は、悪事に加担させられているのにいやけがさしていた。チカことちひろは、密かに新商品の横流しを教唆する。
ちひろは、また叔父の隆が暴漢に襲われて大怪我をしたことにショックを受け、耐え切れなくなって行方をくらました。ちひろのいたマンションの一室に真紀の入れた留守電が、明るく、しかし空しく響いた...。
[編集] 第3部(ちひろ再デビュー)
ちひろ再デビュー、そのねらいは?
行方をくらまして1ヶ月、ちひろが現れたのは、なんとブラウン管の中だった。自分をうたがう健一のニューヨーク行きを取り消したばかりの中野は驚愕する。「ビター=スウィーツのちひろ復活」の番組を見て、レインボウの劇団員、茜をはじめとするクラブ「Bitter Sweets」のホステスと客たち、真紀をはじめとするベビーシッター仲間も驚く。
晶は、ちひろのために、ひさびさのビター=スウィーツ「感動の再会」を企てた。会いたかったとうれし泣きにちひろに抱きつく真紀と茜。あやまりどおしのちひろ。真紀と茜は、再会できたことと、ちひろが芸能界に戻れたことについて口々に喜びを言いあらわすが、芸能界に戻れたのにあまりうれしそうでないちひろに二人は、首をかしげるのだった。晶も真紀や茜同様、ちひろの様子を不審に思い、しげ爺のところへ訪れる。
晶は、ちひろが心をひらかず、ただ、義務的に仕事をしていることについて、どうしたらいいのか、しげ爺に相談を持ちかける。しげ爺は、自分の憶測に過ぎないが、母親の久美子が関係した殺人事件の時効と関係があるのでは、と晶に話す。
そんな折、ワイドショーに出演したちひろは、母親である久美子が、無実の罪を着せられて殺されたこと、そのことについては必ずつぐなわせることを中野が見ている事を半ば意識して発言をするのだった。
ちひろのワイドショーを見ていた中野のところへ、柴田から電話がかかってくる。口止め料を要求する電話だった。佳和は、母久美子のメッセージを伝えようと水沢オフィスを訪ねるが、そこで晶からちひろが不在であること、連絡は事務所宛にするよう自分の名刺を彼に手渡した。佳和は、健一なら何とかなるかもしれないと晶の名刺を健一にわたすのだった。 ちひろは、ふたたびマスコミ取材で、具体的に名前は出さなかったが、中野がオガワの新商品を奪い取って、父を自殺においやり、その事情を知る人物(秋場)を殺させて、その罪を母になすりつけたこと、中野の名前は、以前小沢史子の名で取材した記事を読めばわかること、中野がこの情報が広がらないように莫大な広告料で出版社を買収したと証言し、ますます騒ぎはおおきくなった。 中野の会社では、自社のことだと気づいた社員たちで大騒ぎになった。健一は、鳴りやまない抗議や疑義の電話に対し、名誉毀損で訴える準備がある、と答え社員たちにもそのように応対させた。 一方、名越は、ついに退職願を出す。 健一は、ちひろをバーNemesisに呼び出し、佳和が大事な話があるようなので会うようにということ、中野の社員をちひろから守ることを話す。晶は、しげ爺のところへいき、ちひろに復讐をやめさせるよう相談する。晶は、あなたは、ちひろに大原静子のような大女優になってほしかったはずだ、このままでは大原静子本人のように悲惨なことになってしまう、と詰めより、しげ爺は、悲しみと無力感に思わず頭に手をあててしまった。晶が謝ると、かまわない旨答えて、何か静かに決心したように、後悔は心に毒だ、とひとことつぶやいた。 一方、人目がなくなるときを狙って始末するようにと、中野から命令されていた「刺客」がちひろを橋の上でひとりでいるところを背後から襲いかかって、頸をしめる。それを見つけたのは、佳和だった。彼は思わず叫んで、「刺客」を突き飛ばした。 それは、佳和の言語障害が治った瞬間でもあったが、それを見た奈緒子の気持ちは複雑だった。
佳和は、レインボウの楽屋で、母親が拘置所の看護婦だったこと、母親が拘置所で亡くなった久美子のメッセージをちひろに伝えたいと願っていたこと、久美子が苦しい息の下から懸命にちひろに伝えようとしたメッセージ「夢は誰にも盗めない、ちひろの夢は、ちひろだけの宝物なの、ブリキマンの胸にハートの鈴をつけるのよ。」を伝える。
ナカノでは、予定していた新商品を名越の転職したライバル会社グローバル=エコーに出された経済紙の記事で、大騒ぎになった。そんなとき、健一は、奈緒子にNemesisに呼び出される。佳和とちひろが関係した、ちひろをぼろぼろにしてくれ、と吹き込まれるが平常心を装う健一。しかし、ちひろを訪ねて、新商品の設計図の横流しをしたのか、と問うと、法的処置を採ったら、と切り返され、思わず彼女を押し倒してしまう。あいつ(佳和)ならいいのか、叫ぶ健一。ちひろにあなたがしたかったのはこういうことなの、と問われ、健一は我に返る。ちひろは、あなたのお父さんがやってきたことをそのまま返しているだけ、冷静に考えれば真実が判る、といい、健一は力をなくしたようにちひろの部屋を出て行った。
中野は、柴田から再び脅しの電話を受ける。毒づいて対策を練ろうとする中野であるが心の動揺は隠せなかった。そこへ健一が帰宅して、父親が部屋いっぱいに紙を散乱させて何かを探しているのを見て、小川一家に何をしたのか、と問い詰め、中野のやってきたことをひとつひとつ取り上げて詰問する。中野は、全ては健一に貧乏の苦しみを味あわせたくなかったからやってきたことだ、と反論するが、健一は、半泣きで体をふるわせながら、返事をするしかなかった。
「けむりや」では、隆が店を再開するために、準備をしようとするが熱湯をひっくり返してしまう。佳和は、店を手伝う、と言い、劇団の仲間に、解散したいと伝える。二言目には夢を追いかけると言ってきたが、夢で遊んできただけのような気がしてならない、もういちど考え直したい、勝手なことを言ってすまない、と伝える。すると仲間たちから、そんなこといわないでくれ、佳和とちひろのおかげで公演ができた。感謝している、ところで彼女(ちひろ)とはどうなんだ、と問われて、佳和は、彼女は14年前から忘れることができないくらいの大切な仲間だ、と答えた。それを早合点した仲間たちから、息がすごく合っていた、結婚してしまえと声があがる。皮肉にもそれをドアの外で聞いてしまった奈緒子は、ショックで自暴自棄になり、ふらふらと道路に飛び出し、交通事故を起こしてしまう。
幸いにも奈緒子の怪我は軽傷で済んだが頭を多少打っていた。そのためか、言葉やしぐさが幼児に退行していた。ショックを受ける隆と佳和。
ちひろは、ワイドショーで、中野の専務が「けむりや」放火事件の後に手に火傷を負っているのを見た、と証言。また、大騒ぎになる。晶は、そんなちひろに大事な話があると、復讐をやめさせるための説得をしようとしたとき、14年前に久美子を取り調べた鳥羽刑事(丸岡奨詞)が「水沢オフィス」にやってくる。鳥羽刑事は、14年前から、久美子の黙秘がどうしても気になって仕方がなかったのだ。警察は悠長だ、とちひろに言われ、確信があるようだが、証拠があるのか、真犯人を知っているのか、と訪ねる。ちひろは、真犯人は、中野だ、と答える。あなたは母親そっくりだ、証拠をもっていながら隠し通すなら、母親同様間違った道を歩むことになる、と言い残して鳥羽刑事は帰っていった。晶は、人生かけて復讐してほしいなんて親がいるか、とちひろを説得しようとするが、ちひろは、いわれた仕事はきちんとします、どうせおしばいなんてつくりごと、わたしにとって復讐の手段で、水沢さんの商売の道具で、わたしは水沢さんの商品、と口走ってしまう。晶は、悲しみのあまりちひろを強烈にビンタしてしまう。
佳和は、子返りをおこしている奈緒子をつれて「けむりや」へ帰るが、奈緒子の相手をしている最中にマスコミ取材が押し寄せ、佳和に質問の嵐をあびせる。記者の一人が、ちひろがワイドショーでまた証言すると叫び、その声を聞いた記者たちは、潮が引くように去っていた。隆は、家出中の美由紀のところへ行くが、そこで、ちひろが母親の手紙を公開しているのをテレビで見てしまう。これをほうっておくわけにはいかないと、思わずくりかえし自分に言い聞かせてしまい、一度は帰る気になった美由紀は、嫉妬のあまり、わたしたちのことなんでどうでもいいんだ、帰らない、とごねだしてしまう。隆はちひろの事務所を訪ね、姉の手紙をさらしものにするのをやめてくれ、復讐は自分がするからほかの道を考えてくれ、と言うがちひろに復讐は自分がするからいまの家庭を大切にするよようにと断られてしまう。力を落とした隆は、「けむりや」へ帰ると佳和にちひろを説得してくれと懇願する。佳和は、「水沢オフィス」にちひろを訪ね、芝居を人を傷つけるために使っている、そんなのは女優ではない、人として芝居を愛する者として君を軽蔑する、と言い放つ。ちひろが自宅にもどると、今度は、健一がたずねてきた。父の社長解任の動議を考えている、会社がおちついたら自分も会社をやめる、だから社員を助けてくれとちひろに懇願するが、ちひろは聞き入れない。健一は、ちひろの父とは違う方法で会社を守る、子どもの頃、ちひろが夢を持って明るく生きていることが、うらやましく、自分と父にとってはしっぺ返しになっていた、と言い残して出ていった。真紀にも、自分が同じ立場だったら必ず復讐すると考えるが自分の娘には復讐してほしくない、水沢さんは同じことを言いたいんだ、水沢さんは、私たちのことを一度だって商品だなんて思ったことはない、と言われ、ちひろは、晶を訪ねて謝る。晶は、大原静子が自分の娘の敵をとろうとして無実だったお手伝いの女性を自殺に追い込んでしまい、自分自身が心を病んで全てを失ってしまった悲劇を語り、なんの関係もない人たちが心の中に憎しみを植え付けられる、復讐はやめてくれ、と説得しようとするが、ちひろは身体をふるわせ、中野への憎しみをつのらせるのだった。 健一は、ちひろに復讐をやめてもらうために、児童演劇についての企画書をつくり、佳和を呼び出して演出をしてほしいと頼む。しかし、佳和は、ちひろに対する想いを悟り、自分で説得してくれと断る。健一は、ちひろのことが好きなくせに、好きでもない遠藤奈緒子の面倒なんか見るな、佳和は、仇の息子だからと好きな女にぶつかっていけないで自分の陰にかくれるなと言い合って乱闘になる。やがて二人は、ちひろのために何とかしなければならないと和解する。
[編集] 放送リスト
- オズの魔法使い
- クリスマスの悲劇
- けむりやへ
- 夢の国
- 母の決断
- 罠(わな)
- 涙の誕生日
- 黙秘
- ハートの鈴
- 鏡
- ちひろの夢
- 黄色いリボン
- ゆびきり
- 光に抱かれて
- 祝福
- 新しい生活
- Pure
- 涙の記者会見
- 母からの手紙
- 素顔を隠して
- 4つの顔
- スクープ記事
- 疫病神
- 夢の代理人
- 一進一退
- 協力者
- 疑惑
- シャボン玉
- オズを夢見て
- 晶との再会
- 宣戦布告
- 箱の中から
- 復讐の女神(ネメシス)
- 時を越えて
- 父と子
- 悪女マリア
- 人として
- 大原静子
- レクイエム
- 蛇
- お前だけは許さない
- 赤い糸
- プロポーズ
- 人殺し
- 虹のかなたへ
[編集] 関連項目
- 狛江市
- 八王子市(八王子市の施設や企業などがロケ地に使われている。設定は、稲城市内であっても実際には八王子市内の企業などがロケ地に使われている。)
- ホリプロタレントスカウトキャラバン
- がきんちょ~リターン・キッズ~
- デザイナー
[編集] ロケ地情報
- 川嶋プロダクションのビルとちひろが申し込み用紙をもって走り去った通り(第11話)→品川クリスタルスクエアのビルとその前の通り(港区港南1丁目6番41号付近)
- しげ爺が大原静子を探すために、泊まっていたホテル(第12話、第13話)第一ホテル東京シーフォート
- 奈緒子につきとばされたちひろが腕を洗った公園(第14話)→西河原公園(狛江市元和泉2丁目付近。本文中に写真あり)
- 八王子市南大沢文化会館(第1話、第13話、第14話、第15話)
[編集] 外部リンク
- 第1話と第13話のミュージカル、オズの魔法使いの上演(第13話は舞台裏)、第14話及び第15話の川嶋プロダクション全国縦断タレントオーディション全国大会のロケ地
- 多摩川戦隊コマレンジャーHP(「けむりや」のひとり娘奈緒子がコマレンジャーとアルバムに一緒にうつっていたり、コマレンジャースナックが作品中に登場する。)
- ホリプロタレントスカウトキャラバン公式HP(「川嶋プロダクション全国縦断タレントオーディション」のモデルになったとされる。)
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