身長
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身長(しんちょう)、背丈(せたけ)は、人間が直立した時の体の高さ。
人間以外の動物は「体長」と言う。また、古語では身長と書いてみのたけとも読む。
現在、日本ではメートル法でセンチメートル表記を主に使用するが、古くは尺貫法で、尺・寸を用いて表記していた。特に成人男性の身長は5尺台(約150 - 180cm)であることが多いことから、「5尺」を省略して寸だけで身長を表すことが広く行われていた。
人間の身長は、多くの男性は20歳までに、女性は17歳頃には伸び終わっており、その後年を取ると共に身長は低くなる。ただ、人によっては20歳を超えても身長が伸びることもあるので、あくまで個人差がある。
身長は主に成長ホルモンの分泌によって左右され、成長ホルモンが異常に排出されると巨人症・末端肥大症と呼ばれる症状になり、2mを超える身長のものも現れることがある。
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各国の平均身長
男性 | 女性 | |
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日本 | 171.1cm | 158.4cm |
- 日本は平成7年度「体力・運動能力調査」による20歳のデータ
身長を決定する要因
身長は主に成長ホルモンの分泌によって左右される。
第二次性徴期の身長の伸びは、あまり個人差が無い→参考ページ)とされる。そのため、身長の伸びが著しい第一次性徴の期間でどれだけ身長を伸ばせるかが重要で、これが大人になってからの身長を左右しやすい。したがってこの年代の偏食(蛋白質不足)や不規則な生活、ストレスが無いようにしたい。
特に「規則正しく、快適に、十分な時間の睡眠をとる」ことは、身長の伸びに限らず成長に大切である。
気候の影響
ベルグマンの法則によると、同種の恒温動物では、寒冷地に住む種が熱帯地に住む種に比べて大柄になるとされる。これは、体が大きくなると表面積が増えて放熱量が増えるものの、体積の増加によってそれ以上の熱生産量の増加が可能になり、寒冷地での生存に有利になるためとされる。
ポリネシア地方は熱い気候であるが大柄な人が少なくない。海洋地域では低温に体がさらされることもあるためという説もある。
日本の平均身長の推移
もともと縄文時代には現代より小柄であった。ただし、有史以来少しずつ大きくなってきたわけではなく、概ね戦国時代には大きくなり、江戸時代に小柄になり、明治以降栄養状態がよくなり、第二次世界大戦後は食事の洋風化もあり過去最高の水準となる。1980年代以降は、身長の伸びは頭打ちとなり、男性は平均170cmくらい、女性は平均158cmくらいでほとんど変わっていない。
身長と生活
日本では、体格が大きくなることを「体格が良くなる」と表現するが、大きくなることが長寿や健康上とくに有利というわけではなく、必ずしも生物学的な進化というわけではない。例えば、心臓等の機能が同じままで体だけ大きくなった場合はそれだけ心臓の負担は増すということになり、健康上マイナス要因になる。また、体が大きいほうが維持するエネルギーも多く必要となりやすい。
多くのスポーツでは、身長が高いことが有利にはたらくことが多い。特にバレーボール、バスケットボールなど高さを要求するスポーツでその傾向が強い。サッカーなど他の競技でも、リーチや打点の高さなどの面で長身が利点となる。 ただし、長身の選手はそうでない選手に比べて、俊敏性や器用さの面で劣ることが多い(長身を動かすにはそれだけ余分にエネルギーが必要)ため、不向きとされるポジションもある。小さい選手が活躍しやすいポジションとしては、バレーのリベロ、バスケットのガード、サッカーのミッドフィールダーなどが挙げられる。
身長と性的嗜好
性的嗜好として身長が高いこと、低いことにこだわる人は少なくない。特に長身の男性を好む女性は多く、バブル期には三高の条件のひとつに数えられた。一方男性には小柄な女性を好む者が少なくないと言われる。ただし男性の場合は「自分より身長の高い女性」を苦手とする場合が多く、性的嗜好とは少々異なってくる。もちろん小柄だったり長身の女性を特に好む男性も数多い。一方女性にも小柄な男性を嗜好する者もいる。
身長に関する迷信
- 「寝る子はよく育つ」
統計的に、第一次性徴期に睡眠時間が少ない場合は第二次性徴を早めに迎えることが多く、結果、身長の伸びが早く止まってしまう。また、成長ホルモンは睡眠時(特に23時~2時)に最も多く分泌されることも関係してくる。
- 「牛乳を飲む」
他にも「小魚を食べる」等がある。共通するのはカルシウムを多く摂取しようということである。カルシウムの摂取が身長の伸びにどう関与するかは明確ではない。ただ、骨が頑丈になるのは確か。 身長を伸ばすためには蛋白質が重要で、カルシウムは骨を硬くするだけという指摘もある。もっとも、牛乳には蛋白質も含まれているため、摂取量の差が身長の差に現れてもおかしくはない。