車両輸送
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車両輸送(しゃりょうゆそう)とは、鉄道車両・自動車等を他の交通機関などを利用して自力以外の方法で輸送することである。このため、フェリーで自動車を輸送する場合も広義の車両輸送に含まれる。しかし、一般には自動車・オートバイ等を輸送専用車で輸送する場合や大型な鉄道車両などを輸送する場合を指す場合が多い。
[編集] 鉄道車両の輸送
輸送される車両の車輪(仮設を含む)を用い、貨物鉄道会社の機関車の牽引で、貨物列車扱いで輸送されるものを甲種輸送(こうしゅゆそう)もしくは甲種鉄道車両輸送(こうしゅてつどうしゃりょうゆそう)と称する。新幹線車両や一部の私鉄など、在来線とは軌間が異なる車両を輸送する場合は、仮台車を使用し、引き渡し後に台車の交換を行う。
輸送に使用できる路線は輸送される車両のサイズにより異なるが、車両限界に抵触しなければ、在来線でフル規格の新幹線車両を輸送することも可能である。たとえば、愛知県豊川市の日本車輌製造から東海旅客鉄道(JR東海)への新幹線車両の輸送は、予め車両限界を広くしてある飯田線・東海道本線経由で実施される。また、機関車と連結できるように仮設の連結器を使用する場合があるほか、電気指令式ブレーキを使用する車両では、電源が取れないため一時的に仮のブレーキシステムを使用する場合がある。これらの理由で、最高速度は75km/h程度に制限される。
貨物列車扱いは自社の回送運転ではなく輸送の委託にあたるため、本来は甲種回送と呼ぶのは誤りである。
輸送される車両の車輪を軌道の上に直接載せず、「大物車」と称する貨車に載せて輸送するもの(主に路面電車)を乙種輸送(おつしゅゆそう)と称する。トレーラーなどに車両を載せて道路上を輸送する場合も乙種輸送で、車両基地まで甲種輸送できない場合は途中駅から車両基地までは乙種輸送ということになる。また船舶による輸送は丙種輸送(へいしゅゆそう)と称する。過去には航空機による輸送が行われたこともあるが、これをどう称するかは定かでない。
全長がおおむね15mを越え大型になる鉄道車両の輸送において、道路を使用する場合は深夜・早朝に行われることが多い。
列車の形態が見かけ上甲種輸送と同様となるものに、自社で製造した車両を輸送する列車や、自社車両を改造・定期検査・廃車解体のために、機関車牽引により輸送する列車がある。こちらは自社の機関車が牽引し、自社線内のみを走行することから配給列車と称され、貨物列車である甲種輸送とは性格の異なるものである。このうち、東日本旅客鉄道(JR東日本)新津車両製作所で製造された新製車の配給列車において、輸送される車両のパンタグラフを上げていることがあるが、これは自身の持つブレーキ装置を利用して輸送するために受電するもので、これにより臨時のブレーキ装置を搭載する必要がなくなる。
これら車両輸送は通常見られない珍しい状態であり、車両の履歴において大きな転機になることも多々あるため、車両ファンの注目も高い。鉄道雑誌「鉄道ダイヤ情報」・「とれいん」には輸送情報が掲載されることも多く、撮影のために多数の鉄道ファンが訪れる。
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