遅延証明書
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遅延証明書(ちえんしょうめいしょ)は、鉄道事業者やバス事業者が自社局の運行する列車・バスの遅延を公式に証明する目的で発行する証明書である。事業者によっては延着証明書(えんちゃくしょうめいしょ)ともいう。
以下、おもに日本の鉄道の遅延証明書について記す。
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[編集] 鉄道における遅延証明書
[編集] 目的・意義
鉄道事業者が運行する列車が何らかの理由により定刻通り運行できなかった際、列車が遅延したことを証明するために発行される証票である。ただし、あくまでも列車が遅延した事実を証明するだけのものであり、列車が遅延したことによる損害の責任を証明するものではないため、注意が必要である。
通勤・通学時に列車遅延により遅刻をした場合、この遅延証明書を所属する会社や学校に提出することで、その遅刻が不可抗力によるものであることが認められ、遅刻を理由とした懲罰をしない、あるいは遅刻をしていないものと見なすといった配慮が所属団体からなされることがある。
[編集] 様式
概ね10cm×15cm前後の紙片に発行会社名、駅名(駅名の掲載がない場合もある)、列車が遅延した日付と遅延時分が記されている。
遅延証明書の様式は鉄道事業者によって異なる。また鉄道事業者によっては駅ごとに異なる場合もある。鉄道の場合、遅延による影響を受ける人数が多く、短時間で大量に作成する必要があるため、実際に発行するときには証明事項をその場で書かず、所定の欄に入鋏する、あるいはスタンプを押印する方式として作成にかかる作業時間の短縮を図っている。
[編集] 配布箇所
遅延があった路線の駅で配布される。
[編集] ウェブ上での発行
東京急行電鉄と東日本旅客鉄道(JR東日本)では、自社公式ウェブサイトでの遅延証明書発行サービスを行っている。
- 東京急行電鉄では、始発から24時頃まで(始発と10時までと10時以降の2段階に分かれている)の全路線における遅延証明書を同社のウェブサイトにて発行することができる。掲載基準は5分以上の遅延。掲載期間は発行当日含め7日間。
- JR東日本では、首都圏を走る18路線(山手線など)で午前7時~9時の間の遅延証明書を同社のウェブサイトにて発行することができる。掲載基準は「おおむね」10分の遅延(数本の列車が遅延した程度では発行されない)。掲載期間は当日の9時から翌々日の24時まで。なお、湘南新宿ラインにおける遅延は、専用の遅延証明書は無く、利用した区間に応じた路線の遅延証明書を発行する。横須賀線と総武快速線・宇都宮線と高崎線・埼京線と川越線・中央線各駅停車と総武線各駅停車(中央・総武線各駅停車)・中央線快速電車と中央本線は、相互直通していたり線路を共有している区間が長いため、一体化されて発行される。
[編集] バスにおける遅延証明書
バスの場合も鉄道と同じ目的で発行されるが、事業者によって扱いは異なり、運転士がその場で発行する事業者と、その路線を管轄する営業所で発行する事業者がある。
ただし、電車とは異なり、バスの遅延による遅刻は、不可抗力によるものであることが認められない(普段から道路事情に左右されて遅延していたりすることと、本当に遅延が起きたかどうか企業や学校の管理者が確認できないことが最大の理由だと考えられる)ケースがほとんどのため、ほとんど利用される事はないし、あまり周知もされていない。
一例として京阪バス男山営業所(一部枚方・田辺営業所管轄路線もあり)管内にある京阪くずはバスターミナルでインフォメーションセンターの係員が申し出があれば配布する事を行っている。
福岡市周辺の西鉄バスでは出口近く、フロントガラス窓枠に専用の箱に入って備え付けてある。福岡市は渋滞が激しいため、西鉄バスは遅延が多く、多数配布されている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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